青い空を見上げていた | 小椋聡@カバ丸クリエイティブ工房

小椋聡@カバ丸クリエイティブ工房

兵庫県の田舎で、茅葺きトタン引きの古民家でデザイナー&イラストレーターとして生活しています。
自宅兼事務所の「古民家空間 kotonoha」は、雑貨屋、民泊、シェアキッチン、レンタルスペースとしても活用しています。

今日はJR福知山線脱線事故の慰霊式の日でした。仕事とはあまり関係のないことなので、事故のことを公開の日記で書くのは最後にしようかな…と思っていますが、「いのち」や「生きていること」「人が人に寄り添うこと」など、私にとってこの事故は、多くのことを肌で感じる事象であることは間違いありません。

毎年、この4月25日には慰霊式があるのですが、同日の午後に4・25ネットワークが主催するシンポジウムを開催しています。毎年それらのデザインを担当させて頂いていますが、悲惨な事故現場と不釣り合いな真っ青な空、そして遅咲きの桜…というのが、多くの被害者の記憶に焼き付けられています。これまで一度も桜を使ったことはありませんでしたが、ずっと撮りためていた桜の写真を、今年はあえて背景のデザインに使いました。

$小椋 聡@デザインオフィス・コージィ

今日までの約2週間、JR福知山線沿線の駅に貼られていました。

$小椋 聡@デザインオフィス・コージィ

こちらは、当時学生だった被害者や福知山線沿線での市民の取り組みをサポートする「思いをつなぐ連絡会」のポスターです。

$小椋 聡@デザインオフィス・コージィ

「あの日、同じ電車に乗ってたどり着くはずだった場所に一緒に行こう」というメッセージを込めて、毎年、青い空と鳥をモティーフにして制作しています。

「被害者」という言葉は非常に限定的でネガティブなイメージが付きまとうことは否めませんが、こうしたシンポジウムなどの中で訴えていることはとてもシンプルなことです。愛する人が「生きてそばにいる」ということの意味や、その「愛おしさ」に正面から向き合う作業なのです。国土交通省がどうのとか事故調査、ましてや刑事裁判というのは、そうした「命に向き合う」作業の方法のひとつでしかありません。

様々な困難がある人生の中で「あなたが私と共にいる」という事の意味と、その儚くてもろい大切な時間を教えてくれているのだと感じています。