PTUハンター序章

Hステーション及びlivelihood protectioセクション、並びにCMオフィスからの緊急要請を受診し、我々は直ちに現場に急行する。

 

現場は一般人が立ち入りを規制される瘴気渦巻く巣窟と言う事がすぐに予想が付く。

 

そう、我々は表向きは何の変哲もない民家回収型デイサービスに過ぎない。が、裏ではそうした現場を収拾する事を生業としている。それを知る僅かな人々はこう呼んでいる(かもしれない)「PTU(patch things up)ハンター」と。

 

 

今日の現場は周囲に割と小綺麗な新築の民家も建ち並ぶ平和そのものの一地区。そこにある一見するとやや老朽化しているが問題のなさそうなアパートがいくつか建ち並んでいる。表向きはアパートだが…いや、その話は止そう。周辺住民に配慮する必要がある。

 

 

現場に到着すると、分からない者にとっては…いや、普通は何も感じないのだろう。ちょっとその能力に長けた者は何かしら感じ取ることができ、何故かその周囲に立ち入りたくない、すぐに立ち去りたい衝動に駆られるらしい。

 

僕はと言えば…このただならぬ瘴気にフル装備の手配を始める。ディスポーザーハンドガード、防塵マスク、ディスポーザーエプロン…そして今日、恐らくお別れすることになるであろうこんな時用マイソックス「オフル」。予備はあるが、今日は1枚しかないのが心許ない。足りるかどうか…それはこの後の緊急要請コールの有無に懸かっている。腰にはデオドライザ―スプレーガンとディスインフェクタントを携行。

 

配置につく。瘴気に当てられぬよう強く、そう、気持ちを強く持たなければならない。さもなくば一瞬にして気絶することになる。この場所で気絶もしくは意識を奪われると言う事は命に関わる。最悪の想定で細心の注意を払い突入・救出・脱出を図るべきであろう。

 

 

敢えて平然とチャイムを鳴らす…返事はない。15秒を数え、もう一度鳴らしてみる…何も起こらない。が、ドアの隙間と入り口斜め上上部のダクトから漏れ出ているからわずかに漏れ出している瘴気…それを見逃すほど私は素人ではない。

 

十分な酸素吸入を終え、突入の決断を下す。こんなこともあろうかと不動産業者から手配しておいたマスターキーの出番だ。静かに回す…見事一発で解錠に成功。アホ毛がざわついているが当然のことである。

 

気持ちとしてはこのドアを開けた後は開けっ放しにしたい。何故ならば増幅した瘴気が私の意識を根こそぎ奪い去ろうとするだろう。が、ミッションは「人知れず処理」だ。あいにくの無風状況を鑑みれば大っぴらに開けることは避けるべきだろう…状況に応じて判断するとしよう。

 

 

「おはようございま~す♪」と軽やかなご挨拶をかける事により、いきなり肺中の呼気を20%消耗する。もちろん計算内である。と、共にドアの反対側壁に身を翻す…猛烈な瘴気が眼前すれすれを通過していくのが分かる…無理だ、ドアはこのまま開放したままにして突入することと判断、突入!!

 

アルコールとタバコ、明らかに糖尿病と合併症とが組み合わさった大量の尿、脱糞、放置されたゴミ、それらが何かしらの化学反応やら発酵やらした強烈な悪sy…瘴気。床には茶褐色に染まった本来は透明であったであろう袋から滴り零れる謎の液体が怪しげな泡と共にちょいちょい広がっている…間違いなくトラップであるが敢えて踏み込む。

やはり…マイソックスは即成仏された。もちろん想定済みである。不気味に侵潤してくる上、やたら粘着する床を越え、psychopathicとsenile dementiaに侵された人体と思しき生命体(以下、利用者)に接触を試みる。「…ueklbna;lqi@oiw@う…みゅるわ、うをう、ああ、しゃっちょ…ぅあ、むをうあさすくわ?」意識を取り戻したものの日本語らしき語彙感はあるものの社会的常識が全く当てはまらない謎の言語を如何にも分かったかのようになだめつつ、布団の中から引きずり出そうと試みる。誇りの割にやたらと重量感のある様々な物質がちょいちょい飛び散る。

案の定、布団はすでにpeeとpooに侵潤されているため強烈に重い…と同時にあまりの悪sy…瘴気により防御反応により涙が溢れ、嘔吐を誘発してくる…が、これしきのレベルにひるむ私ではない(が、ホントに「ガスマスク欲しいな~」などと過ったのは別の話)。peeとpooは利用者をもすでに侵潤してお…いや、まあ、ここから排出されている訳だが、とりあえず片っ端に剥ぎ取りはぎ取ったものは予め捨てるつもりで持って来た大袋に格納収容していく。

 

この時点で呼気は保てず、瘴気が私の肺を侵していく。生体防御反応が容赦なく絶え間なく襲い、目からは刺激により涙が溢れ続け、嘔吐感は常に繰り返し続ける。…ひたすら耐える。それ以外にない。耐えながら作業は止めることなくひるむことなく続けなければならない。やがて自らも浸潤してしまうより先に事態を収拾せねば自らも瘴気を放つことになるだろう。

 

すでに返り血ならぬ返り瘴気塗れとなり始めていたがここで気を抜いてはならない。その上から、比較的瘴気の浅い衣類を次々と被せていく…時折気が遠くなりかけるが、その作業はよどみなく進めていき、見た目上どうにか連れ出せる状況を演出し正味5分で完了。取り急ぎpeeとpooそのものとも言いたくなるシーツもまとめて大袋に格納。瘴気地帯からの脱出を直ちに試みる。

 

しかし、一つ問題があった…利用者が重い。私は53㎏に対し、利用者は80㎏超。が、躊躇なくギリギリセーフと判断し、後ろから引き揚げる。


立位を取ることに成功したのと引き換えに、袖がほぼ全面的に成仏。ちょっと悲しい。どうしてアームカバーをはめてこなかったのかが悔やまれるところ。しかし「はい、右!左!右!左!」と元気よく歩行介助を重ね、どうにか脱出に成功!マイソックス「オフル」を脱ぎ捨て、靴を履き、日の下に…

 

 

…えー…書くのが飽きました(笑)。当然ここからも送迎やら洗濯やらが果てしなく長いんですが。

 

あ、ああ、そうでした。言うまでもなく、フィクションです、たぶん

 

やたら細かい描写があったかもわかりませんが。ちょっと肺が重い感じが今もしているのもきっと気のせいでしょう。

 

そういう事にしておかないといろいろと問題がありそ…いや、フィクションです。

 

 

まあ、この程度のことなど困難度ランキング上位には全く入りません。ただ、こうしたことを含めた介護報酬が妥当な気は全くしておりません。もちろん、取り組みはボランティアって事にしておかないと人員配置がどうだ、送迎基準がどうだ云々がうるさいので(じゃあ、ツッコんでくるテメーがやry…)黙ってやってますけどね。…ああ、違いました、フィクションって事になってるんでした。そうそう、きっと、いや、たぶん

 

フィクションなんで、こういう輩はリアル政府やリアル自治体的には存在しないことになってい…いいえ、何でもありません。

 

でも、ちょっと靴下と上着の代金はリアルに欲しい気がする今日この頃。

 

 

ところで怪しげな横文字たっぷり使うと爽やかなおとぎ話になるなぁ♪でした…よね?

 

 

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