患者さんからは日々色々な事を教えられます。
最近、膝の痛みで以前から通院されていた患者さんが、今度は肩の調子の悪さを訴えてきました。
本人は肩を痛めるような原因に思い当たる節はないようです。
原因不明の症状はよくあることで、その大概は自覚のない癖が原因となっています。
患者さんの腕を動かしてみると「二の腕」の手応えのなさが気になりました。
通常、患者さんの身体を動かした際には「余計な力の入った抵抗感」や「脱力した時の特有の身体の重さ」を感じられるのです。
しかしその時は、「最低限あるべき抵抗感」すら感じられない違和感を覚えました。
そこで、肘を曲げ伸ばしの動きをしてもらい、どこの筋肉を使っている感覚があるかを確認してみました。
すると、やはり二の腕の筋肉の感覚が全くないようでした。
つまりは『上腕三頭筋』です。
肩関節に作用する腕の筋肉が一方向のみにしか機能していないとすれば、肩の具合が悪くなるのは当然です。
しかし、更にこの筋肉を意識をしてもらってもまったくその感覚を自覚出来そうにありませんでした。
最終的には三頭筋を強調させる姿勢を指導して、その筋感覚を感じ取ってもらうことで予防のアドバイスをしました。
さて、施術が一件落着してから、ある疑念を持ちました。
そもそも自分自身は『それ』が出来るのか??
患者さんに指導したような姿勢は以前から意識的に行っていたので当然のようにこの筋肉は機能していると思い込んでいました。
しかし、敢えて苦手な姿位から三頭筋を意識してみると、やはり予想以上に難しいのです。
幸い、集中すれば意識的に力が入らないこともないのですが、それは日常生活で使っているレベルではありません。
こうして、また自身の至らなさに気付き反省し新たな課題が増えるのでした。
ちなみに補足しておくと、以上に書いた上腕三頭筋の意味は
筋肉単体による作用のことではなく、
それを通じた全身の連動性を指しています。