Ⅲ.赤外線
赤外線赤外線(infrared rays)は、可視光線と電波の間の電磁波(波長0.7μm-1mm)で、可視光線の赤色より波長が長く(周波数が低い)、電波より波長の短い(周波数が高い)電磁波のことで人の目では見ることができません。
赤外線は波長によって 近赤外線(0.7~2.5μm)中赤外線(2.5~4μm)遠赤外線(4~15μm)超遠赤外線(15~1000μm)に分類されています。遠赤外線と超遠赤外線を遠赤外線ということもあります。
1. 赤外線の発見
イギリスの天文学者ハーシェル(Frederick William Herschel)が、太陽光をプリズムに通して虹色(分光)の各色の温度を測定していたとき、色のない部分が最も温度が高いことを発見しました。ハーシェルはこれに「calorific rays」と名づけ1800年にロンドン王立協会(The Royal Society of London)に報告しました。これが赤外線を実験的に見出した最初です。 尚W.ハーシェルは、太陽系の7番目の惑星「天王星」を発見しています。
® ハーシェルの分校実験
赤い色の外側に、たまたま置いていた温度計の温度が上昇したことから、「赤外線」の発見につながった。
2. 周波数とエネルギー
赤外線は、赤よりも周波数が低いためInfrared(赤の下)と呼ばれています。周波数とは光のエネルギーのことで、光のエネルギーが低いと周波数は長くなります。電磁スペクトルの赤外線領域は周波数1~15ミクロン(μm)で、可視光の周波数よりも2~30倍長くなります。(エネルギーは2~30倍低い)。
u 温度
絶対零度(-273℃)より温度が高いものは赤外線を発します。
u 波長
赤外線は目に見えない光です。見える光(可視光)と比べて、長い波長の光です。
u 「赤外線」はほとんどの物質で吸収されるので、物質の表面に近いところで吸収され、熱に変わります。
赤外線と温度の関係
・温度が高い 短い波長の赤外線を多く発します。
・温度が低い 長い波長の赤外線を少なく発します。
・言い換えると赤外線をキャッチすれば、物体に触らずに温度がわかります。
FLIR - 赤外線基礎知識
NASA - Infrared Waves
3. 熱の伝わり方と赤外線
u 熱と温度
身近な環境において熱とは、暖かい、熱い、涼しい、冷たいというような、ものの度合いを表す尺度単位です。
分子レベルでは、分子の熱運動の平均エネルギーを表す尺度です。
熱とは温度が異なる2つの物体が接触するとき、原子や分子間の振動などの運動エネルギーが伝播することです。
高い温度の物体から低い温度の物体に移動するエネルギーを熱という。
u 伝導・対流・放射
伝導加熱
加熱物と被加熱物を接触させ、熱伝導により熱を直接材料に伝えます。
放射加熱
空気・ガスなどを介さず、電磁波により分子を振動させ摩擦熱を発生させます。アイハロゲンヒータの加熱方式は、この放射加熱にあたります。
対流加熱
空気・ガスなどを媒体として熱を伝えます。
以上です。
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