6000万字の力
6000万字、原稿用紙(400字詰め)にして15万枚、膨大な数です。
現在84歳の作家、曽野綾子さんが60年余りの作家生活で書かれた文字数だそうです。
その著書も400冊という大変な量です。
以前紹介した、最新刊の「人間の分際」(幻冬舎新書 7月刊)はすでに30万部を突破するベストセラーになっています。
小学校6年で視力が0.02しかなかったことと、文章を書くのが得意だったので、人と会わなくてもすむ作家という職業を選択したとのことです。
ところで、「スポーツ嫌い」を広言する、曽野さんが、全国マラソンブームの魁(さきかげ)となった「東京マラソン」の生みの親であることは意外と知られていません。
2007年にスタートした「東京マラソン」は、今や3万5千人参加の一大イベントです。
障碍者にも、健常者と同じように走ることを楽しんで貰いたいとの強い想いからでした。
閑話休題。
小説もさることながら、曽野さんの真骨頂は、エッセイにあると私は考えています。
“考えるヒント”を随分与えて貰い、触発されました。とりわけ、少数異見を持つことの大切さを教えて貰いました。
世の中には、当り前のようで当り前でないことが意外に多いものです。当り前だと考えない方がうまくいくことが多いことも、“当り前の呪縛(じゅばく)”から解放されるとよく分ります。
「人間の分際」は、そんなヒント満載の役に立つ本です。