プロフィールの中、「好きな本」の欄に「大学受験参考書」と書きました。
いい年をして、いまさら大学受験…、と思っているわけではありません。
大学受験参考書を紐解くと、はるか昔、将来を思って、必死に頑張っていた若き頃のことを思いだして、熱くなれるからです。
私は、昭和30年代も後半に入る頃、工業高校の定時制に通う苦学生でした。
想えば、中学卒業を目前にして、家の貧しさから念願の高校受験を断念した私は、半ばやけ気味に、小さな鉄工所に勤めてしまったのでした。
それを知った恩師が、私の全く知らない間に工業高校定時制機械科受験の手続きを取ってくれた上に、私の勤めた鉄工所の社長に合って、私の高校受験と通学の了解を取ってくれたのでした。
何も知らない私は、社長に呼ばれて、そこに恩師のT先生がニコニコと笑いながら座っておられたのにびっくりしたのです。
「すべて社長さんにお願いしておいたから、これを持って頑張っておいで…」と言って渡された一枚の「受験票」…。
私の夢が…、そこから広がったのです。
このままで終りたくない。
やりたいことを、精一杯やってやろう!。
俺は俺らしく精一杯生きたぞ!って、最後に笑って死んでやる、ってノートに書きました。
いろいろ考えた末に「建築設計」の道を選びました。
当時、私の通った工業高校に建築科はありませんでした。
卒業したら、建築の大学に学んで「建築設計の仕事に就く」ことが、それからの私の目標になりました。
工業高校で、働きながら大学受験を目指すのはたいへんでした。
朝6時に起きて、7時に通勤、鉄工所は8時から午後の5時まで、学校は6時から9時まで、少し部活や生徒会の仕事をして、家に帰るのはいつも10時を過ぎていて、夕食を食べると後は、ほんのちょっと「大学受験参考書」を見つめて…、ただひたすら眠るだけ…でした。
でも、夢がありました。
「大学受験参考書」を見ると、その頃のことを熱く思い出すのです。
この年令になってもまだ、10代のあの熱い思いが甦ってくるのです。
まだまだ、やってやるぞ…と思うのです。
つづく 2012.10.15 記 ■わが社のホームページ ■