36.試練は続く | 脂肪肉腫との戦い

脂肪肉腫との戦い

2015年8月14日に腹腔内の巨大脂肪肉腫の摘出手術を受けました。
その後、2016年9月、2017年11月、2019年9月、2020年9月、2021年6月、2021年10月、再発手術を受けました。
私にとってまさに戦いです。
これまでの経過を綴っています。

平成27年8月15日、終戦記念日、手術2日目。
前日から痛みとの戦いは続いています。時間の感覚もなく、眼鏡をかけていないので時計も見ることができません。昼と夜しか分かりません。
そんな状態でもやっていたことがあります。運動です。術前に理学療法士のかたからとにかく動かせるところは少しでも動かすだけで、それは運動になり術後の回復に大いに効果があると教えてもらっていましたので、愚直に続けていました。まず、足では、足指をグーパーすること、ふくらはぎに力をいれること、太ももに力をいれること。手も同じくグーパーすること、手を上にあげること。これだけは続けていました。というよりこれ以外はできないのです。
腹筋は全く動かすことができません。
実は腹筋は大事な筋肉でほとんどの動きに腹筋が絡んでいます。なので腹部を縦横に切った場合、ありとあらゆる動きが制限されます。少しでも動くと痛むのです。
寝返りはできません。背中が痛むので時々看護師さんに頼んでくさび形のクッションを背中にいれてもらい少し身体を傾けます。しばらくすると痛むのでまた外してもらいます。この繰り返しです。
最初は、水を飲むことは禁止されており、口を漱ぐことのみ許可されています。
喉がカラカラなので、水で漱ぐことで潤されます。この時ほど水のありがたさを感じたことはありません。
少しすると医師の許可で氷をほおばることが許されます。氷の融けた水は飲むことができます。しかし個数は制限されます。初めは1日10個。看護師さんに頼んで1個の氷をほおばります。じわっと氷が融けて喉に伝わります。
おいしい!
痛みの中で唯一の楽しみでした。
お昼過ぎでしょうか。時刻は分かりませんが、何となく周りがわさわさしてきました。手術を担当してくれた矢嶋先生が慌ただしくなってきました。
聞くと腹部に挿入してある管から想定以上の出血が認められるとのこと。そして、今日夕方から緊急手術を行い、もう一度開腹して原因を確かめるというのです。
ヘッドの寺岡先生は通常東京にいらっしゃるのですが、急遽新幹線で熱海に戻られるとのことでした。
なんということでしょうか。
再手術です。
出血が止まっていないという事は、かなり危険な状態なのでは?もともと出血リスクの高い手術と言われていましたし、術中相当量輸血をしました。(後から分かったことですが、全身の血液が3回入れ替わる量に相当)術後も輸血をつづけています。
内科医の義兄からは、腹腔内の出血は止まりにくいとも聞いていました。
また、全身麻酔です。昨晩の苦しみをもう一度味わうのです。
いや、そもそも助かるのか。
一方で準備は着々と進んでいる様子です。
どうあがいても運命は神のみぞ知ることです。
腹を決めて現実に向き合うしかありませんでした。