おびクリニュース2024年2月号を転載いたします。
Q. 独居の高齢者が増えているそうです。将来に備えて何を心がけたらいいでしょうか?
A.平均寿命の伸びとともに一人暮らしをされる高齢者の方が増えています。
特に女性は男性より長生きなので、一人暮らしとなる確率が高いと言えます。
一人暮らしの良さは、誰に気兼ねなく、自分のペースで暮らせることですが、病気になったときや防犯の面で不安ですね。
また、認知症が進行したり、身体機能の低下でトイレや入浴、家事が一人でできない場合は施設への入所、またはお子さんとの同居を考える方が多いです。
しかし、実際のところ、その判断に迷うことが多いのではないでしょうか。
健康状態、家の間取り、買い物や交通の便、ご近所づきあいの濃淡、ご家族の関係性など色々な要素が絡んでくるので、なかなか答えが出せない問題です。
今後、介護福祉サービスが充実するかどうか
※いまのところ希望ゼロです。自公政権と経団連、財務省、日本経済新聞は国民が長生きすると自分達の取り分が減るので、社会保障抑制策をとり続けています
経済的負担の軽い入所施設が増えるかどうか
※介護ビジネスに新規参入した営利企業が介護を口実に高齢者の資産を狙っています。入所の際は良心的なグループホーム等と比較検討してください
一人暮らしをサポートするデジタル機器が普及するかどうか
※機器をそろえるにもお金がかかりますね
など、社会情勢も関係してきます。
さて、どう準備したらよいでしょうか?
まずは一人暮らしに必要な能力を衰えさせない生活スタイルを早めに習慣化することがカギになると思います。
ポイントは二つ、認知症対策と身体機能対策です。
まず、認知症対策として脳を常に活性化させることが重要です。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚を刺激してください。
視力や聴力が衰えると認知機能低下につながります。
眼科、耳鼻科の健診を受けましょう。
食事は香りや味を深く味わって下さい。
おかずは一口で食べずに小さく切り分けて、1回1回よく噛みしめながら、その食材の成り立ちを想像しつつ、舌の前・横・全体で味わってください。
少ない量で満足感が得られるのでダイエットにもなります。
お風呂に入ったときはツボを押すようにすると触覚が刺激されます。
認知症の初期症状は数字が苦手になることです。
今日の日付と曜日を確認するとともに、10日後、100日後、200日後は何月何日何曜日か言えるようにしてください。
買い物の際は同じものを3個買うと仮定して、掛け算の暗算をしましょう。
おしゃべりや楽器の演奏も五感を刺激するよい習慣です。
身体機能は下半身の筋力と骨密度が重要です。
床に座る生活はゴロゴロしがちなので、椅子と机の生活がいいでしょう。
そして日常よく手に取る、リモコン、新聞、眼鏡、ティシュなどはテーブルから離れた高いところに置きます。
すると、何度も立ち上がる必要があるので自然と下半身の筋トレになります。
土の上や砂浜など緩やかな起伏のある所を歩くと、平地より筋力とバランス感覚が養われ転倒防止になります。
骨密度は整形外科で1年に1回は測ってもらうようにして下さい。
歩くには膝、股関節が大切です。
関節軟骨を守るためにぜひとも肥満を解消してください。
収納は扉のない棚にし、所有物をなるべく減らします。
棚に空きスペースがあるぐらいが丁度よいでしょう。
常に目に入るので探す手間が省けますし、保有する物の数が少なければ、そもそも忘れることがありません。
起床、食事、就寝時間を揃えましょう。
時間を一定にすることで生体活動の変動が少なくなり身体への負担が減少します。
こういったことを60代ごろから準備しておかれると、お金をかけずに一人暮らしが長く続けられると思います。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました