「真野鶴」五代目留美子の蔵元日記 -703ページ目

We are all thinking about you~折鶴に祈りを込めて。

地震後、海外からいっぱい届いたお見舞いやエール。

みんな心のこもったメッセージで、日本はとても愛されているんだな、と感じます。


今日もたくさんのエールのメールが届きました。

「My sympathy goes with the people of Japan」

「 I believe JAPAN will recover !!」


3月上旬にアメリカからもらっていたお酒のオーダー。

正直、キャンセルになるかなと思っていました。

一時、円は最高値を更新し、先方の受ける負担が容易に想像出来ましたから。

なのですが、オーダー続行の連絡と気持ちのこもった一言が今日届きました。

「 We are all thinking about you all ! 」


$「真野鶴」五代目留美子の蔵元日記

今回お届けするお酒の中に、鶴をモチーフにしたラベルのお酒があります。

アメリカ人の間でも、ORIGAMIは浸透しているのだそうです。

私たちが作る本物の「折鶴」も一緒に送ることにしました。

日本の力を信じて、一つずつ、祈りを込めてご用意しています。


日本酒はふるさとのお米やお水、そして地域に支えられて
長い歴史を歩んできました。

世界に誇るSAKEになった今、逆に世界中の多くの方々が被災した蔵をはじめ
日本酒業界全体を勇気づけて下さっています。

様々な酒業界のプロジェクトの先行きが不透明になった瞬間も、
震災にあった東北の先輩蔵元が、「僕が今動けない分も、続けるように」と
激励の言葉を下さいました。

希望をもって、前を向いて進まなくてはですね。

日本の酒で、笑顔が一つでも増えていきますように。




蔵便り~蒸きょう

米を蒸す。

$「真野鶴」五代目留美子の蔵元日記

この作業を蒸きょう(じょうきょう。「きょう」は「食へんに強」)と言います。

深々と冷え込む蔵の朝。

冷たい空気の中を大きな大きな湯気の塊が煙突を上っていくのが毎日の光景です。

ゴ~ッという音とともに立ち上る湯気。


この作業に先立ち、早朝から仕込み蔵は活気づいています。

仕込みに使われる精米済みの酒米は、一粒一粒、水に浸漬して
甑(こしき)に運ばれるのです。

$「真野鶴」五代目留美子の蔵元日記


そして蒸きょう。

蒸しあがると、杜氏の合図とともに布がはずされ、湯気が一面高く立ち上ります。

その瞬間、コシヒカリの香りとは一味もふた味も違う、酒米のこおばしい香りが広がっていくのです。

酒を醸す。

うちの蔵は古くて小さくて、機械化も進んでいなくて、

人の力や心に負うところがとても大きいです。


造りが始まる10月から3月は、

仕込み期間を通して杜氏が泊まり込みをして酒造りに向き合います。


若い杜氏と若い蔵人たちにとって、大変なのではないかと思うのですが、

「手間をかけた分、応えてくれる環境」

そんなところが、ありがたいと言ってくれます。

素晴らしい造り手たちがそばにいることに、心から感謝せずにはいられません。


夜中に何度も起きてお酒の様子を伺う様子は、まさに赤ん坊を育てる親のようです。



「真野鶴」五代目留美子の蔵元日記


タンクのお酒は、櫂入れ(かいいれ)と呼ばれる作業で撹拌されます。


もろみをかき混ぜ、温度を均一に。


多くの作業を通して、日本酒は丁寧に醸されていきます。



酒を醸し、時を醸し、人を醸す。



寒くて静かな仕込み蔵の中で、手間をかけたお酒がどんどん醸されていきます。


蔵の中にいると、私の心もゆっくりと醸されていくようです。