少し前のハナシになってしまいましたが



小原ペーパーアート・ファンクラブ





愛知県美術館で開催された

生誕150年記念

クリムト 黄金の騎士をめぐる物語展

        ↓

http://event.chunichi.co.jp/klimt/





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どちらも すでに会期終了してしまいましたが


折しも日展が開催されている最中


昔 2個めの学生時代に

東京国立近代美術館と

愛知県美術館にもお勤めになられた

芸大の恩師が

上の10階で よい美術の企画展をやっていても

 みな8階の日展で降りちゃうあせる」と


ぼやくように つぶやかれていた

その声のトーンを思い出します


この日も同じエレベーターに乗った

何人かの人が8階で降りていかれました

そして

10階に上がると・・・





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なんと! チケット購入のためにできた

長蛇の列目


帰りにはこの列の並びがさらに

層を成してましたアップ







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グスタフ・クリムトといえば たぶん 

   ↓

http://www.salvastyle.com/menu_symbolism/klimt.html

誰でもこの写真の絵画「接吻」のようなモチーフを思い浮かべるでしょう


絡み合う男女のシルエットの美しさと

周囲を囲む金彩の装飾画面の妙(たえ)


日本の琳派の影響も想わせる

その華やかなデザイン的な画面は

バッグやTシャツのデザインとして用いられ

愛用している人も見かけることがあるほど


クリムト人気は絶大 なのですね目


スタートは昨年12月21日から

もちろん 早く観たくてウズウズしていました

ようやく2月3日 節分の日に訪れ

もりだくさんの出遭いがあったこの日のことを

ブログアップが遅れたのはなぜかといえば

それはひとえに「寒いから汗


小原は平野部より数度は気温が低いと聞いています

今年はなかったけど 昨年は水道の蛇口も凍りました雪の結晶

なにげに書いているようですが 

山の陰の自宅にあって ちゃんと綿入れを着て

石油ストーブを背にしつつ

ふつうにPCに向かってるだけなのに

すっかり凍えきってしまい叫び 

いつも文字どおり‘命がけ’でブログを書いてます:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

今は体中にカイロ貼り付けて 湯たんぽも抱っこしてますラブラブ


さて クリムトといえば愛知県美術館には

                         


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人生は戦いなり〈黄金の騎士〉」(1903年)

というご自慢の所蔵作品があります


  ちなみにこれは実際の〈黄金の騎士〉ではありません

  この日の担当学芸員さんのスライド・トークによると

  著作権の問題から

  本来の森を背景に黒い馬にまたがる騎士の画像を

  こうした広報紙などに載せることができないのだそうです


  それくらい著名になり過ぎた作品


  そのため 今回の広報には元々の図像に

  異なる色彩を載せてこのようなチラシにせざるをえなかったそう


  ご苦労さまです


まさにこの〈黄金の騎士〉に焦点を当てた企画展

初期の油彩画含め本邦初公開の作品が多数紹介されるとあって


会期中はさまざまな関連イベントが行われ

そして なんと


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同館とウェスティン・ナゴヤキャッスルホテル との共同開発で

オリジナルのレトルト・カレーも販売されましたナイフとフォーク

http://blog.aac.pref.aichi.jp/art/2012/12/000663.html


一食だけ購入

食べるのが楽しみですラブラブ


クリムトの華やかな作風に合わせて 展覧会そのものを

盛り上げようという意図がもりだくさん音譜


クリムトの作品をまとめて観る機会は

もちろん初めてですが


絵を制作し始めたころの作品

習作や油彩画にはたしかなデッサン力を

感じることができます


そして若くして画家として装飾家としての地位を確立しながら

ウィーン大学大講堂の天井画の制作依頼のための

3枚の下絵『哲学』『医学』『法学』のスキャンダルにより

当時のアカデミックで保守的な美術界に対抗し

若手芸術家たちによる芸術家集団・ウィーン分離派を結成


その第18回展に出品されたのが この「人生は戦いなり〈黄金の騎士〉」であり

保守派に屈せずに独自の造形を切り拓いていこうとする

彼の当時の心境を写したもの


そしてその後の大作「ベートーベン・フリーズ」(1908-1910)

晩年まで続けられた写実と装飾 そして色彩の実験的な作品を

通観できるうように構成


また たびたび日本で紹介されているウィーン分離派の

他の芸術家・工芸家の作品や


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貴石をふんだんに使ったジュエリーなど

その華やかで自由な創造世界

そしてクリムトが取り入れたと思われる琳派の表現に象徴される

日本美術の金箔の屏風 その関連性についても併せて紹介されていました



さて 私は個人的に



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当時 議論錯綜の的となったという

『哲学』『医学』『法学』

(2枚はナチスに没収され焼失 『医学』の習作のみ現存)

の3枚の習作の複製パネルの

その自由で伸びやかな作風にとても圧倒されました目


それまでのクリムトの超越した写実の腕―人物の顔や人体表現の部分―と

そして図案化(デザイン化)―周囲の装飾的な部分―のバランスがみごとです恋の矢

のちにクリムトが制作した絵画に向かう要素がここには見てとれますグッド!


彼がどれだけこれらの連作制作に力を入れていたのか

想像に難くありません


それだけにこの3作が依頼主の評価を得られず

天井画としての完成を見ずに終わったことは

彼にとっては失意の極みだったでしょう


思い出すのは日本近代の洋画家・黒田清輝(1866-1924)

                     ↓

http://www.tobunken.go.jp/kuroda/gallery/japanese/kuroda.html


の滞欧中の作品「朝妝」(ちょうしょう)を第4回内国勧業博覧会に出品したことから起こる

裸体画論争です

   ↓

http://www.tobunken.go.jp/kuroda/archive/k_work/oil/oil065.html


古今 洋の東西を問わず

保守派と新派をめぐる争いというのは避けられないもののようです


また クリムトの早い時代からの卓抜したデッサン力や 

その才能のたしかさは 

スライド・トークにもあったように

ピカソ(1881-1973)や 日本の画家なら藤田嗣治(1886-1968)などに相通じます

                  ↓

               http://www2.plala.or.jp/Donna/foujita.htm


才能というとあまりにカンタンですが

先天的に「上手い」 または「神の手」を与えられた画家は

彼らが生きる同時代の流行や風潮に飽き足らず

また流されず 自ら独自の画風を切り拓いていく傾向にあるようです

そうしたアーティストの作品が時代を超えて

多くの人の目を惹きつけ 魅了する作品として

後世に伝えられていくものなのでしょう


さて肝心の「人生は戦いなり〈黄金の騎士〉」は

彼がよく用いるようになった正方形の画面に

正に馬と甲冑をまとい 剣を構えた騎士が

勇ましく前方に進む姿合格

守旧派に屈せずという彼の意図を反映させたと

言われる寓意的な本作


騎士の表現が少しぎこちないのが気になります目

反して馬の黒い毛並みが女性の髪のように活き活きと艶かしく・・・

真横を向く騎士の顔は兜に隠され 見ることができませんが

その後の「ベートーベン・フリーズ」「接吻」の表現にも

あるように 人体表現のかたさ(図案化)と

顔の表現の写実性が混在する絵画に通じるものを感じさせます


晩年 彼は



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「赤子(揺りかご)」1917-1918

ワシントン・ナショナルギャラリー蔵





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豊田市美術館蔵でおなじみの

「オイゲ二ア・プリマフェージの肖像」1913-1914






など 正方形の画面に

写実的な顔ときらびやかな装飾性の高い衣装を

まとった人物像を


そしてそれと平行して裸婦像の習作も多く為しています


その華やかだけど平面的な衣装に包まれた人体の表現の細かさは

衣服の下に隠されている人体の造形に関心が向けられていたことの

反作用のようです


彼の関心は終生人間の性の本質そのものにあったように思えます


ほかに

実際の建物の再現ではないながら実物大の複製展示で

一つの部屋が出来ていて

多くの人の目を楽しませていた



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〈ストックレーフリーズ〉下絵1908-1910

オーストリア工芸/現代美術館蔵




など 混雑といってもまだ観づらいほどではない会場の中で

たくさんの人がその展示品に観入っていました


会期終了一週間前

4万人 6万人を超えたところだった入場者は

最終日の2月11日(月祝)には8万2000人にのぼったと言います目

おめでとうございますクラッカークラッカー


しっかり観察してきませんでしたが

リーマンショック・トヨタショック以来の

美術館の美術界の盛況ではないでしょうか


もちろん企画展の良し悪しは数字ではないし

たくさんの人で混雑する施設で

ふだん美術館に親しみのない人がぐったりして 

次から美術館に来なくなってしまうのではという危惧叫びもありますが


あいかわらず景気も経済も不安定な昨今

美術館の面目躍如となる話題であるには違いありませんグッド!



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そして同館の次なる企画展は円山派の始祖・円山応挙(1733-1795)

                            ↓

http://www.salvastyle.com/menu_japanese/okyo.html

http://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/index.html


開館20周年記念と銘打ち

国宝・重文や展覧会初公開作品も公開されるそう


期待がもてますグッド!



ゴッホクリムトも日本美術に影響を受けたと

言われているように

実は江戸期を中心とする日本の絵画も

観覧してみるとその新しさ 秀逸さ 美しさに心惹かれますドキドキ

基本的に日本画の天然の画材を用いて制作された

作品は長く展示公開に耐えないため

同じ作品が貸借期間を揃えて展示される機会は

千載一遇のチャンスですアップ


次回は展覧会に人気が出る前に出かけたいものですね


また クリムト展とて同じ

もちろん企画展の担当者の企画意図も変わりますし

海外収蔵の作品とて 

綿密な事前の交渉 貸し出し依頼を経ても

所蔵施設の状況 作品の状態によって

貸し出し そして公開不可能なこともままあります

同じ個人の回顧展ではあっても

二度と同じ企画展は開催されません


名古屋で見逃してしまったという方

この後同企画展は 2月~4月上旬 長崎県美術館

                        ↓

                 http://www.nagasaki-museum.jp/


そして       4月~6月2日まで 宇都宮美術館

                         ↓

                       http://u-moa.jp/

巡回しますので

ぜひ おでかけください!


さて この日は 8階の日展も拝見しました

とくに工芸部門には小原の工芸作家の先生方の作品が

毎年出展されています


そして 12階のアートスペースで

11時スタートの担当学芸員氏のスライド・トークを聴講し終えて

外に出ると 同じ12階ほかの会場で開催中の


http://artholicf-topic.blogspot.jp/2012/12/2013.html

新進アーツチャレンジ2013 


スタッフ(?)の田中由紀子さんに遭遇音譜

お久しぶりです(^-^)


それではいくらなんでも長くなるので

このつづきは クリムト~黄金の騎士をめぐる物語~展 2 へチョキ



さて 会からおしらせですメモ

                                              

和紙のひなまつり展桜


と き:2月27日(水)~3月30日(土)
    9:00~21:00 月曜休
ところ:豊田市小原交流館 1Fロビー

豊田市永太郎町落681-1 ℡0565-65-3711

     

    http://www.hm10.aitai.ne.jp/~ph23/
    入場無料

ないよう:小原の女流和紙工芸作家をはじめ 

     豊田市内外の女性作家が和紙を使い 

     ひなまつりや春の季節をイメージして作った作品のご紹介です

     今年は17名の方々がご出品くださる予定です

     小原のひなまつりが旧暦の4月3日に行われることと 

     会場の都合により 3月末まで展示いたします

    ※)なお和紙折り紙のおひなさまを作って持ち帰れるコーナーも設置予定

      みんな観に来てね(^-^)/


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