アンジュルムの新曲

 

『愛のため今日まで進化してきた人間
  愛のため全て退化してきた人間』

 

のMVがネット配信番組『ハロ!ステ』で公開されました。

 

 

 


新メンバー笠原桃菜さんが加入して初めてのシングル。

 

曲の冒頭からその笠原さんがフィーチャーされており、
リーダー和田博士のオペレーションから
3期メンバーの先輩たちに起動される
笠原さんのシーンが印象的。

 

今回の曲は未来を意識した世界観で、
振り付けも人造人間をイメージしているとのこと。

 

出来上がったばかりでまっさらな状態の笠原さんが
徐々に完成していく構成のダンスになっているようです。

 

まだフルバージョンが公開されたわけではないので、
曲の感想等はいずれまたあらためて。

 

 



 


まっさらな状態の人造人間と聞くと、
とある特撮ヒーローを思い出します。


『超人機メタルダー』


私が師匠からオススメされて観た昔の作品の中でも
屈指の名作として心に刻まれています。

 


軍事力・経済力によって世界を支配しようと企む
悪の組織ネロス帝国。

 

その存在に気づいたロボット工学の権威・古賀博士は、
第二次世界大戦末期、敗色濃厚な日本を救うべく開発した
人造人間「超人機メタルダー」を起動。

 

悪の野望を打ち砕くため、
メタルダーの孤独な戦いがはじまる!

 


・・・とイントロだけ書くと
ごくごくフツーの特撮ヒーローものに
聞こえるかもしれませんが、この作品、

 

私が勝手に頭の中に思い描いていた
ヒーローもののルールやお約束を次々と打ち砕いてくれる、
コイツは凄いぜ!って感じの衝撃作だったのです。

 

 

 


 


主人公メタルダーに変身するのは、
戦死した古賀博士の一人息子
古賀竜夫の姿を模した剣流星

 

目覚めたばかりの彼は自分が何者なのか、
何のために生まれてきたのか、
生と死の概念すらもわからない、
赤ん坊のようにまっさらな状態。

 

そんな彼に古賀博士は己の命と引き換えに
ネロス帝国と戦うことを教えます。

 

その体にはとてつもない力が秘められているにも関わらず、
力の使い方を知らないメタルダーは
自分のパワーにビックリ。

 

そんな有り様なので、第1話でいきなり
敵の怪人たちにボッコボコにされた挙句、
敵の幹部に一撃で倒されてしまいます。

 

ボロボロの状態でなんとか立ち上がったメタルダーは、
夕陽に向かって問うのです。

 

「風よ、雲よ、太陽よ。心あらば教えてくれ。
  何故この世に生まれたのだ!」

 


 


こうしてメタルダーの戦いは惨敗から始まるわけですが、

 

第1話では一撃で倒され、
第2話ではほぼ相打ち、
第3話で傷つきながらもようやく敵を倒し、

 

序盤は戦い終える度にいつもボロボロ。

 

最初のうちは共に戦ってくれる仲間もいないので、
傷ついても自分の力で立ち上がり、
足を引きずりながら基地へ帰っては修理を受ける日々。

 

さらに平和を愛する古賀博士は、
力での解決が全てではなく、
汝の敵をも愛せよという大きな想いを込めて
『自省回路』という人間の心と同じ機能を
メタルダーに組み込んだため、

 

敵を倒してもとどめを刺さずに
許してしまうこともしばしば。

 

敵はメタルダーの戦いを研究して
弱点をついてくるので苦戦が続きます。

 

途中、自分ロボットなんだから
部品を交換して改造すればパワーアップできるじゃん
と思いつくのですが、

 

戦闘能力と人間らしい心、
その一方を強化すればバランスが崩れてしまうので
改造はできないという、
古賀博士の課した縛りを知ることに。

 

ロボットにしてロボットに非ず。

 

そんなこんなで苦悩しながらも、
戦う度に少しずつ成長して強くなっていきます。

 

 

 

 

 


そして戦いのみならず、
人間らしい心も回を追うごとに成長していく剣流星。

 

まっさらな状態で生まれついた彼には、
とにかく見るもの全てが新鮮。

 

敵の手にかかって命を落とした古賀博士に始まり、
自分が倒して動かなくなった敵のロボットから
「死」という概念を学び、

 

自然の中に息づく動物や植物たちに「生」を学び、

 

初めて出会った女性・舞さんとデートを重ねることで
人間という生き物や人間社会のことを学び、

 

恋のライバル?北八荒と知り合って友情を学び、

 

さらには音楽の才能に恵まれていた
古賀竜夫の記憶が刻まれていたことで、
バイオリン演奏やサックス演奏など芸術にも目覚め、

 

ロボットでありながらも
段々と人間らしくなっていくその姿に、
観ているこちらも親心のような感情が湧いてきます。(´-`)

 

 

 


 


でもこの作品の本当に凄いところは、
主人公メタルダーのみならず、
悪の組織の怪人たち一人一人が実に個性的で
魅力的なキャラクターとして描かれていること。

 

普通この手の特撮ヒーローものというと、
毎週怪人が一体ずつ送り込まれては
ヒーローに倒されるを繰り返すばかりで、

 

仮にエピソードがあったとしても
幹部クラスの偉い人たちだけ。

 

怪人たちの寿命は短く、
個々の印象も薄かったりするものですが、

 

この作品では第一話からいきなり
最終回までに登場するほぼ全ての怪人たちが出揃っており、
一人一人の怪人たちはそれぞれ色んな事情を抱えて
悪の組織で働いています。

 

また、主人公メタルダーはその優しさ故に
敵にとどめを刺さなかったり、
一度倒された怪人でも修理や再生で復活したりして、
怪人たちのキャラクターや物語が紡がれていくのも特徴。

 

時には怪人たちの生き様エピソードの方がメインで、
主人公であるはずのメタルダーが脇役扱いな回も。(笑)

 

 

 

 

 


世界征服を企む悪の組織ネロス帝国の大ボス
帝王ゴッドネロスは、弱者に情けは無用、
失敗した者や自分に逆らう者は決して許さない
冷酷なTHE 悪の親玉。

 

表の顔は桐原コンツェルンの総帥・桐原剛造で、
さすがに大企業のトップらしく、
彼の組織したネロス帝国は一応
軍隊っぽい体裁を整えてはいるものの、

 

微妙に上から下まで命令が徹底しておらず、
上司や部下の裁量で割と自由に動くことも多い、
軍隊というよりはどこか会社っぽい組織

 

帝王ゴッドネロスは数多くの怪人たちを
作り出した天才のはずなのに、

 

戦いに嫌気が差して脱走する者や
作戦を無視して正々堂々と戦いたがる者が続出で、

 

「何故余の軍団員にはこうも己の本分を忘れる者が多いのか」

 

と嘆く始末。(笑)

 

 

 


 


敵の組織や階級がちゃんとしているのもこの作品の特徴で、

 

・ヨロイ軍団
  元は人間で、強化手術や特殊な鎧を着ることで
  戦闘力を高めた怪人たちの部署。

 

・戦闘ロボット軍団
  人型ロボットたちの部署。

 

・モンスター軍団
  バイオテクノロジーによって生み出された
  生物兵器怪人たちの部署。

 

・機甲軍団
  軍艦、戦闘機、ヘリ、戦車といった、
  兵器の能力を備えたロボットたちの部署。

 

怪人たちは出自によって4つの部署に配属され、

 

その能力や実績に応じて

 

・凱聖  (部長クラス)
・豪将  (課長クラス)
・暴魂  (係長クラス)
・雄闘  (主任クラス)
・爆闘士 (ベテラン社員クラス)
・激闘士
・烈闘士
・強闘士
・中闘士
・軽闘士 (新米社員クラス)

 

※カッコの中の各クラスは私の個人的な見解。パー

 

という10段階の階級が与えられており、
どの怪人も出世を夢見て功を競い合っています。

 

この他にもパートやアルバイト、嘱託社員のような
ポジションの怪人たちもいて、下の方の人たちは
ちょっとブラック企業っぽい働かされ方をしていたりもします。

 

作戦によっては下の方の人にもチャンスが与えられ、
功績をあげれば出世するし、
失敗すれば降格やクビ(処刑)もあり、
信賞必罰はちゃんとしている模様。

 

各部署を統率する軍団長たちも実に個性豊かで、
冷静だったり、熱かったり、卑怯だったり、真面目だったり、
それぞれの上司の性格や考え方が
部下である軍団員たちにも反映されていて、
各部署のカラーが明確になっています。

 

 

 



↑帝王の誕生日を祝ってダンスパーティー


ゴーストバンクと呼ばれる秘密のアジトでは、

 

作戦会議が開かれたり、

 

どの軍団がメタルダーに挑むかを決める
企画コンペ的な社内バトルが開かれたり、

 

帝王の誕生日にはパーティーが催されたり、

 

社員たちが飲み会やって盛り上がったりと、

 

さながら大会議室 兼 多目的ホールのような施設。

 

 

 



↑アスレチック施設を貸し切って大運動会


各軍団員たちは日々の訓練で己の腕を磨いており、
時には軍団の垣根を超えて合同演習をすることも。

 

たまに戦意高揚のために社内運動会を開催したりして、
レクリエーションにも力を入れています。


悪の組織ネロス帝国というよりは、
株式会社ネロス帝国といった感じ。汗

 

 

 


 


怪人たちが抱える事情や戦う理由も様々で、

 

メタルダーに命の大切さを諭され、
自分が犯した罪を償うためにネロス帝国を辞め、
全国各地を巡礼する旅に出る者、

 

病気の妹の治療費を稼ぐため、
自分の夢を捨ててネロスに入った元テニス選手、

 

過去に卑怯な手段を使って
ライバルを自殺に追い込んでしまったことを
ずっと後悔し続け、二度とそんな真似はすまいと
正々堂々戦うことを心に誓った元アスリート、

 

己が信ずる戦いの美学を貫き通すため、
命令に背いてでも一人で戦う一匹狼、

 

音楽を愛するが故に、
音楽を戦いの道具としてしか思わない
ネロスのやり方が嫌になり、
遊園地でバイオリンを弾いて
第二の人生を送る音楽ロボット、

 

戦いに嫌気が差して引退したにも関わらず、
かつての弟子を救うべく
再び戦場へと赴かざるを得ない老兵、

 

可愛い動物が大好きで、
地雷原に迷い込んでしまった仔犬を
己の身を挺して救ったロボット怪人、

 

上司である軍団長を愛してしまった女ロボット、

 

社内では無能者と虐げられながらも、
愛する人との幸せな結婚を夢見て出世を志し、
命をかけて戦いに挑むダメ怪人、

 

最愛の恋人をメタルダーに倒され、
復讐を誓う女怪人、

 

父が果たせなかった夢を叶えるため、
母の教えを無視してメタルダーと戦う息子怪人、

 

etc...

 

 

本当は一人一人のエピソードで
それぞれブログ1回分語れるほど
個性あふれる怪人たち。

 

ウルトラ怪獣たちが皆それぞれ生きるために
人間やウルトラマンと戦うように、

 

怪人たちもまた、皆それぞれ事情を抱えながら
悪の組織で働いているところに
なんだか共感を覚えます。(´;ω;`)

 

熱く生きた怪人たちの物語は、
また別の機会に語りたいと思います。

 



 

 

 


特撮ヒーローものとしては実に斬新で、
野心的な試みが随所に見られるのですが、

映像を見る限りおそらく世はバブル真っ盛り。

 

放送当時は泣けるお話がウケなかったのか、
はたまた子供たちに人情話は難しすぎたのか、

 

あまり視聴率は振るわなかったようで、
放送時間の変更を経て、
最後は打ち切りの憂き目にあったようです。(ノ_-。)

 

確かに中盤あからさまなテコ入れで
試行錯誤した跡が見て取れ、

 

それまでのシリアスなストーリーに
コミカルなシーンを織り交ぜてみたり、

 

夏場にオカルトな怪談話を取り入れてみたり、

 

アクロバティックなローラースケート集団が登場したり、

 

夜な夜なレオタード姿で宝石を盗む女怪盗が登場したり、

 

あのプリンセステンコーこと
二代目引田天功さんとコラボしてみたり、

 

制作陣の心情はなんとなく伝わってくるのですが、
完全に迷走しているように思えてなりません。汗

 


でも終盤は本来のコンセプトに立ち戻り、
最終回に向けてはまさに怒涛の展開。

 

盟友を失い、基地を破壊され、
もう傷ついても修理すらできないメタルダー。

 

軍団ことごとく壊滅させられ、
アジトを破壊され、
ただ一人生き残った敵のラスボス
帝王ゴッドネロスとの最終決戦へ。

 

どの回も涙無しには観られません。・゜・(/Д`)・゜・。

 

正々堂々戦って散っていった
熱き怪人たちはもちろんのこと、

 

不思議なもので
卑怯な手段ばかり使っていた外道な怪人でも、
それまで積み重ねてきた物語のおかげで
いざ倒されてしまうと一抹の寂しさを覚えます。

 

そしてメタルダーは戦い終えて
それまでの思い出を振り返り、
自分の人生が決して戦いだけの人生ではない、
幸せな人生だったことを知るのでした。

 

 

 


最後の方はずっと号泣しっぱなし。

 

もともと感動のストーリーに弱い私ではありますが、

まさか特撮作品でこんなに泣けるとは
思いもよりませんでした。(・・。)ゞ

 

 

 


 

 

この番組の主題歌『君の青春は輝いているか』は、
以前このブログ『ヒーローたちの歌』
お説教ソングの王様として紹介したことがありますが(笑)、

同時に私にとっては最も心に響く特撮ソングの王様。

 

 

君の青春は輝いているか
ほんとうの自分を隠してはいないか

 

君の人生は満たされているか
ちっぽけな幸せに妥協していないか

 


番組名も主人公の名前も
歌詞の中には一切出てこないのに、

最終回までの道のりを振り返ると
この歌が確かにこの作品のテーマソング
であることに気づかされます。

 

刺激的なワードを使わずとも、

なんなら口にするのが恥ずかしいくらい
真っ直ぐな言葉を堂々と並べることで、

 

人生、青春、夢、愛、友情、心、・・・

 

人間にとって大切なことを
ストレートに訴えかけてくる名曲です。

 

 

 


 


ロボットや怪人たちの生き様を通して、
人間らしさとは何か、幸せな人生とは何かを
あらためて考えさせられる作品。

 

時代を先取りしすぎたが故に
放送当時は世に認められることのなかった
不遇の名作ではありますが、

 

この愛すべきヒーローと怪人たちの物語は
ぜひ後世に語り継がれていってほしいものです。

 

 

 


 


個性豊かなネロス帝国は
なんだかハロプロに通じるものを感じます。

 

アンジュルムの今度の新曲は
人造人間をイメージしているようですが、

 

この作品はロボットたちが人間以上に人間らしいので、
あまり参考にはならないかな。(笑)(・∀・)