彼ら(アーリマン)は人間を霊的な存在にしようとするのではなく、人間が自分の霊性を意識できないようにしようとするのです。そして自分が完全な進化を遂げた動物なのだ、という直観を人間にもたせようと努めます。アーリマンは唯物論的ダーウィン主義の偉大な教師です。また地球紀におけるすべての技術開発の偉大な教師でもあります。技術の開発はすべて、人間の外的感覚活動の及ぶ範囲内で行われます。

そこでは洗練された仕方で、基本的には動物が求めるのと同じ衣食住の要求を満たすために、広範囲に亙って生活のために技術を応用しようとしているのです。人間が神の模像であるという意識を人間の中から消し去ること、このことをアーリマンたちはあらゆる種類の洗練された手段を用いて、現代の私たちの意識魂に対して行っています。

十五世紀以来の第五アトランティス期になると、人間の思考力は力強く発達するようになりました。思考力が強力になったあまり、その思考によって自分の存在の根拠をも否定することができるくらいになったのです。つまり十五世紀以来、思考は意識魂によって担われるようになったのですが、その結果、意識魂は霊界へ参入することができなくなったのです。

そして現在、私たちが体験しているのは、科学理論が意識的な仕方で、神性や神的存在を認めることを人間に許さなくなったということなのです。このことは意識魂の時代でなければ不可能なことです。ですから今、アーリマンたちは、人間の神的起源を理解できなくさせる教えを広く普及しようと努めています。

人間の正常な進化に反するこのアーリマンの意図を知ることができれば、私たちはそれぞれ自分で自分の人生の軌道を正しく修正して、人類進化のための啓示を前に眠り込んだりしないですむようにすることができます。

そうしませんと大きな危険がいたるところに待ちかまえています。私たちはこの危機によく注意しなければなりません。そうしませんと、地球進化の未来を形成する大切な働きを忘れて、人類を危険なわき道へ逸らせるきっかけを生じてしまいます。

ルドルフ シュタイナー『天使は私たちのアストラル体の中で何をするのか』高橋巖 訳