生化学的妊娠 | 医療法人オーク会 不妊ブログ|不妊診療と婦人科を中心に診療
2016-12-17 10:53:35

生化学的妊娠

テーマ:林 輝美
医師の林輝美です。

体外受精で受精・分割した良好胚を戻します。
そのあと妊娠反応陽性という結果をお伝えしたのに、あえなく
月経となったり超音波検査で胎嚢を見ることなく妊娠終了となる
場合を生化学的妊娠(chemical pregnancy)といいます。

実はこの生化学的妊娠を何度か経験しながら、ついに順調な
妊娠を迎えることになる人は多いのです。

新しい命の出会いを感じたいのに、あまりに早い妊娠の終了は
悲しい別れのようですが、実は臨床的にはこの生化学的妊娠は
妊娠や流産のひとつとして扱われていません。

染色体異常による流産は少なくありません。
流産胎児の約80%に染色体異常が見つかっています。
もっとさかのぼれば、受精をした時点での染色体異常が40%、
そのあと分割をくり返して子宮の内腔に移動し、着床の時期の
胚盤胞の染色体異常の率は25%に減っていきます。

着床が成立して妊娠反応が陽性となり、妊娠した事実に気づく
ときに胎芽の染色体異常の率は10%になります。
この妊娠が何らかの治療により、もしすべて継続したら生まれて
くる子どもの10%は染色体異常児となってしまいます。

ところが実際に生まれてくる染色体異常児は0.6%とのことです
からすごく早い時期(生化学的妊娠)かもしくは遅くなってから
(流産)か、いずれかの時期で自然に淘汰されているわけです。

不育症について考えるとき、この染色体異常の要素をもつ妊娠が
中断されることは避けられませんしまた継続させるべきとも思え
ません。

「ご妊娠」の報告をした1週間後くらいに、血液検査によって妊娠の
終了をお伝えする場面は日常で多いです。
悲しい、残念な結果と受けとめられて次の妊娠への自信がなくなり
そうですが、ひとつ妊娠へ足をふみ入れたのだと自信をもっていただき
たいです。

確率的にうまく妊娠継続する番が回ってきます。
ですので、この生化学的妊娠をくり返しても不育症と呼ばずにいます。
もしご心配なら不育症の検査をしておいてもいいでしょう。
「根本的な原因は何もない」という確認になりますね。


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