真夜中の水泳 | 手記

手記

戯去戯来自有真

最初に話した言葉はきっとありきたりな挨拶だったと思う。
でも始めて現場が一緒だった時のことは覚えている。

コーナー「タクミ!サラを呼んでくれ!」
 俺「サラはあっちにいる!」
コーナー「.....笑」

3回ぐらい聞き直してサラを呼びに行った。
2017年夏のこと。

ちぐはぐすぎる。笑

割といちいち凹む方だから、休憩時間も大した話は出来なかった。
それから何回か一緒に働いたけれども、事務的な仕事のことくらいしか話すことはなかった。


季節は変わり、冬になり庭仕事のシーズンが終わった。
会社のクリスマスパーティがあった。
日本で言うところの忘年会だろうか。

そこで
コーナー「タクミ!明日暇か?シェアハウスで友達とクリスマスパーティやるけどくるか?」

俺「Y  Yes...Yes」
 
なんで俺を誘ったんだろう。
英語も満足に喋れずに、仕事中もプライベートな話は少ししかしたことがないのに。

まさか......
ゲイ?..........


翌日何を血迷ったのか90ドルもするデラックス寿司とサッポロビール(15ドル)を手土産にパーティへ。

日本人というか、目と髪が黒いのは俺だけだった。
ひたすらに圧倒された。

BGMを付けるならテイラースウィフトで間違いなかった。

みんなで話してる話題すら予想できなかった。

でもひとつだけわかった。
コーナーはゲイじゃない。
彼女がいた!笑


最後にコーナーに聞いた。
俺「英語もたいして話せない俺をなんで誘おうと思ったの?」
心の底からのシンプルな質問だった。

コーナー「お前はグットマンだ!仕事中手が足りない時に助けてくれる」

なんといい奴なんだ!!
嬉しかった。


昨日も彼らと飲んで、夜中1時に公共のプールに忍び込んで男はパン1、女は下着になって飛び込んだ。

顔だけ出して浮いてみると
静かで
東京の夏のように蒸していた水の外が嘘みたいで
月は限りなく丸く
BGMのテイラースウィフトが聞こえてきそうだった。


得たものは大きい。
失っているものもきっと大きい。
ちょうど同日、小学校からの友達の結婚式があった。もちろん出られなかった。
きっといい式だったんだろう。
おめでとうと言って、思い出話をしながら死ぬまでみんなでビールを飲み散らかしたかったなぁ。



でも、何かを失ってでも
大好きな放浪記の主人公のような
本に出来るような
自分の人生を生きてみたい

と、思ったりもします。