dysglycemia

栄養療法実践整形外科医の今日の独り言です。

30代男性の話。

"肩こりと腰痛がひどい。
     特に左肩甲骨の内側の痛みが酷い。"
と、
問診票には書いてありました。

更に、

睡眠薬、
抗不安薬、

を飲んでいると書いてありました。

頚椎と腰椎のレントゲンでは、

30代の働き盛りの男性らしく
                      全く異常が見られず、

'これで何で
        肩こりや腰椎があるのかわからない' 

くらいにいい脊椎でした。

肩こりと腰痛が取れない、
     レントゲンで異常なし、
         精神科で薬をもらっている、
となれば、
この方の不調の原因は
          もうアレしかありません。

この患者さんはアレの典型的な例です。

アレであるのを確かめるために質問です。

『朝は何を食べていますか?』
→朝食は摂っていません、

『じゃあ、お昼は何を食べますか?』
→昼食はおにぎり3個とサンドイッチ、

『じゃあ、昨日夕食は何食べた?』
→牛丼です。

やっぱりアレのようです。

更にアレかどうか、
確信に迫る質問です。

『昼食後、
イライラしたり、
急にやる気が失せたり、
怠くなったり、
眠くなったりしませんか?』
→けっこうイライラして、
                 抑えるのが大変です。
そして、
        怠くなり、
              肩こりが酷くなります。

もう一つ質問、
『朝起きるとやたら疲れていない?』
→凄く疲れています。怠いです。

もう完璧にアレじゃん‼️ニヤリ

アレの正体はDysglycemia!

血糖値の調節障害とも言われますが、
わかりにくいのでこのblogでは、

     過剰なブドウ糖病(私の造語)

とでも表現してお話を展開しますね。

糖質を沢山食べると、
沢山のブドウ糖が身体に入って来ます。

この患者さんの場合を
                          想像してみましょう。



朝食を食べないで仕事をしていると、
血糖値が下がっていきます。

血糖値が下がると
身体のいろいろなセンサーが作動します。

いかん!
血糖値を上げなくっちゃ!

センサーに反応して身体は
血糖値を上げるための分子を放出します。

膵臓からグルカゴン、
副腎からアドレナリンや
              糖質コルチコイド、

そして血液には
血糖を上げるためのいろいろな分子が
沢山入り混じるのです。

しかし、
これらの分子は
ただ血糖を上げるだけではありません。

お腹空いた、
緊急事態だ、
戦え、
逃げろ、
血管を収縮させろ、
心臓を早く動かせ、
といろんな作用を持つ分子です。

血糖を上げろ!
どんどん上げろ!

こんな状態がMAXな頃に、
この患者さんは
                 "お腹が空いた" に反応して、

おにぎり3個とサンドイッチ
                               を一気に食べます。

昼休みに時間がないから、
              短時間で食べられるからです。

おにぎり3個とサンドイッチは糖質の塊。

これらが
一気に胃の中に入って来ます。

胃では"何が入って来たか" を
                                 ジャッジされます。
 
なんだ糖質か!
タンパク質じゃないのか。
糖質の消化は俺の仕事じゃないから、
早くあっちに行ってくれ!

胃はサッサと糖質を腸に送り込みます。

腸では、

あっ!糖質が来たぞー!
血糖が下がっているから、
すぐに吸収だ!

ってな訳で、
短時間で一気に血糖値が上がります。

血液中には
血糖を上げろ!分子で溢れているため、

それはそれは
大変な勢いで血糖は上昇して行きます。

すると今度は別のセンサーが反応します。

ヤバイよ、ヤバイよ、
血糖値が異常に高いよ。
マジで、ガチなやつじゃん!

身体のいろいろなとこで
センサーが反応しますが、
血糖を下げる作用がある分子は
たった一つしかありません。

膵臓のランゲルハンス島
という離れ小島にしか住んでいない
β細胞さんしか分泌できない貴重な分子、

インスリンです。

しかし、
血糖値が上がっているのにも関わらず、
血糖値を上げろ!警報が
                             鳴り止まないでいます。

血糖値が下がって大変だ!
血糖値が上がって大変だ!

身体には2つの緊急情報が巡っています。

風の谷のナウシカの王蟲のように、
"走り出したら
         もう誰にも止められないんじゃ"
って状態なんです。

しかし、
王蟲の暴走は止まりました。

ナウシカが命をかけて止めました。

身体の中にもナウシカはいます。

インスリンです。

沢山の血糖値上昇チームに、
           たった一人で挑むのです。

陸の孤島のβ細胞が
          世界(身体)を守るために。

β細胞が分泌し続けた分子は叫び続けます。

"お願いです。血糖値を下げてください。
お願いします!お願いします!"

ワンピースのアラバスタの大混乱の中、
ただ一人で
    戦いを辞めさせようと叫ぶ
                                   ビビ王女の様に。
すると、
インスリンの声が届いたのか、
血糖値を上げろ!分子は減り始めます。

しかし、
血糖値が高いぞ!センサーは
血糖値が基準値よりも
                         下がるまで鳴り続けます。

そうなると、
血糖値を上げろ!分子は
血液中にいなくなっているのに、

血糖値を下げろ!分子だけが
血液中に残ります。

血糖値が基準まで下がる頃、
血糖値を下げろ!分子のインスリンは
必要以上に出てしまっています。

一度分泌したものは、
"走り出したら、
もう誰にも止められないんじゃ。"状態。

今度は、
どんどん血糖値が下がっていきます。

すると、
またあのセンサーが作動します。

血糖値を上げろ!

また、空腹になり、
                      糖質を摂ると...



→過剰なブドウ糖が

血糖を上げろシステムと
           下げろシステムを混乱させます。

これが長期化したら、
陸の孤島のβ細胞さんは疲れてしまい、

"神様は時々仕事すればいいよって言ったのに、俺ばかり毎日毎日フル回転じゃないか!全然、お休みくれないじゃないか!
           もう、こんな仕事は嫌だ!"
と、

遂には

インスリンを分泌するのが嫌になり、
        強引に長期休業に入ってしまいます。

糖尿病と呼ばれる状態です。


この患者さんの血糖コントロールは、
           こうしてメチャクチャなんです。

血糖か低いと仕事の能率が上がらず、
上司に怒られて
               イライラしながら作業して、
昼食後は肩こりが強くなって
                             ストレスが溜まり、
気分が高まっているため眠れず、
朝起きても疲れが取れず、
朝時間がないから
            また朝食をとらずに出勤します。

悪の生活習慣、
悪のオーソモレキュラー。

これを引き起こしている分子、
それがブドウ糖です。

Dysglycemiaを

なぜ過剰なブドウ糖病としたか、
                  分かって頂けましたか?

食べたもの、
食べた量、
これで私達は健康にも病気にもなります。

これもオーソモレキュラーです。

悪のオーソモレキュラー、
病気になる方のオーソモレキュラーです。


だから、
     お食事は大切なんです。


私はこの患者さんの症状を取るために
何をしたか。

頭に鍼を刺してPAPT。
→痛みが無くなりました!

食事を改めてもらうために
ONPによる栄養、食事指導。

そして、
過剰なブドウ糖病を確かめるための
血液検査。

お薬と湿布は出していません。

私の予想では、
1週間後には症状が取れて、
笑顔の患者さんに会える気がします。

予想通りにいけばいいのですが。

ブドウ糖は単独ならエネルギー源ですが、
集団で悪玉栄養素になります。

かつては私もやられていました。

皆さんも
気を抜かないようにして下さいね。


では、また。