禍狩り狩り ネタバレ含む感想。 | 職業は女です.

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吾峠呼世晴先生の、禍狩り狩りのネタバレを含みますので、苦手な方はご注意くださいね。












吾峠呼世晴先生の、デビュー作前の受賞作「禍狩り狩り」が公式のジャンプブックストアで読めるのですが、未読の方は私の脳トレ代わりの感想文などで先入観を持つ前に是非ニコニコ


進撃の巨人の投稿作の時も思ったのですが、持ってる人は持ってるなあ…と感じるくらい面白いです。


編集さんじゃないので編集さんのような評論はできませんので、ただのオタク論ですね。
最初に書き添えておきますと、禍狩り狩りから、大体の感じで台詞を抜粋しています。



もちろん絵は荒いんですけど、荒いなりの何か……雅趣?
そんなのがあって、これはこれで好きって感じです。
むしろ荒いのは味だと感じます。
大正の時代に生きてもないので、これまた勝手なイメージですが、写真で見るせいか大正はセピア色の霧がかかったようなイメージ。
そう言った感覚ならそれなら、こちらのほうが強いのかなあと。


始まりはおむすびから。
(関係ないけど笹の葉の上に乗った沢庵とおむすびって異様に美味しそうに見えるです)
おそらくは孤児と見られる子供が老人からおむすびを貰います。
この子供が物語の主役かと思われます。

次に民家で人が襲われている様子。
何者かが家人の出した刀を簡単に折ってしまいます。

そのような流れから取り調べが行われているのか、顔の正面よりやや上に酷い傷痕と片方腕のない登場人物がいまして、帯刀しているので警察に呼び止められるのですが、腕に刻まれた文字を見て不問となります。
文字はウー拾壱号。
盲目なようです。
この人物、鬼滅の刃でいうなら炭治郎というより義勇さんよりに見えますが、仮称を拾壱さんとさせていただきます。

鬼舞辻に似た雰囲気の人物、時川が「返事を聞かせて貰おうか」と、珠世さんと愈史郎を訪ねます。
「協力致します」と答える珠世さまは相変わらずお美しい。

「どこのどなたか考えなしの、浅ましき人狩り。もっての他です」

「最初からそう答えていれば良いものを…。この縄張りからも近い。取り澄ました顔も崩れよう。"アレ"も動く」

「何をえらそうに」と愈史郎。

「敵がこちらの縄張りに侵入してくるとは限らない。それでも珠世さまは協力するとおっしゃっているんだぞ」と愈史郎相変わらず珠世さま溺愛。
相変わらずって表現もおかしいですね。
だってこれは過去作なのですから。
「西の伊勢尾にでも頭を下げて頼めば良いのだ」と愈史郎。


縄張りとか西の伊勢尾とかのワードから伺えるのは、鬼滅の刃と違って時川、珠世さん、西の伊勢尾と殆ど対等な勢力図が展開されているような気がします。
東西に分かれているのか、東西南北と分かれているのかは不明です。そして愈史郎の能力が隠れている人物を探知できる能力のようです。

一方、街では異国の鬼(?)吸血鬼(?)のような人物に人が襲われて倒れています。

「不味い」
「口に合わん」
(やはりここでは女の血だ。薄味だがとても香りがいい)

その様子を見た時川が「なるほどな」と登場。
「外から来た者か。道理でおかしいはずだ。人の縄張りでつまらんことを」

珠世さん惑血発動。
時川の腕も変化します。
協力体制で異国風の男を追い詰めようとします。
陰から見守る愈史郎。

そこへ拾壱さんの背中が。

異国風の男は素早く、背中から刃のようなものを出す能力があるようで、時川、珠世さん苦戦します。

(やはり短時間で叩かなければ。力を抑えて戦える相手ではなかった)と時川。

「脆弱じゃないか。本当に同族か?大体がここの人間共は我らに対して畏怖の念が薄い。まさか2人だけとというわけではあるまい。絶滅寸前じゃないか。だとしたら大変楽しく笑えるけれどね」と異国男。

「珠世」
「一息に叩きますか」
「そうする」
と時川と珠世さんの会話。

「"アレ"がまだ来ていないとすれば、これほど力を抑えた戦い方、滑稽極まりない」

(来て、いなければね)と珠世さん。

メキメキと変貌する時川。

1ページ丸ごと使用しての、おそらく修行であろうシーンが挟まれるのですが、狭霧山で炭治郎が受けた修行に似ているかもしれません。拾壱さん(子供)が罠に引っ掛かる様子や、それを見守る老人がいます。

街を走る片腕の男の背中。

何かを察知する愈史郎。

自分の腕を噛もうとする珠世さんに愈史郎は首をふります。

異国男が隠れていた愈史郎の気配を感じている次の瞬間には珠世さん、時川、愈史郎の3人が片腕の男の姿を確認して驚愕の表情を。

片腕の男が抜いた刀には"悪鬼滅殺"の文字が。
やっと片腕の男に気がついた異国男は笑いながら、「なんとまあ、狩猟者か。そんな華奢な剣一つで戦おうというのか。女の首より容易く折れたぞ。ええ、おい?」と言った次の瞬間には片腕を斬られています。

(まぐれ)
(ただの…)
(まぐれだ!)
と歯向かうそばからもう一太刀。両腕を斬られてしまい、背中から出した刃も斬られます。
見渡せば、時川、珠世さん、愈史郎の姿は消えており、やっと非常事態であると悟った異国男も逃げようとします。

(なんなのだ。これは。なんなのだ。あいつは ただの人間だろう。あの女の幻覚が見えているのか。やつらは常に何かを気にしていた)

戸惑いながらも逃げる異国男。

そして、鬼滅の刃でもあった最終選別の様子。
拾壱さんは老人に連れられてその場へ向かうと、他にも数名の人間がいます。

「現在この囲いの中に19体の鬼がいる。この中で7日間生き延びよ。生き延びた者だけが。その者だけが」

そして異国男の心理描写に戻ります。

(なぜ俺の力が届かない)
(俺の腕はどこへいった)
(おかしい おかしい おかしい)
その間にも拾壱さんに追いかけられ追いつかれる異国男。

選別の結果の描写です。
「大丈夫だ!お前は死なん!」と老人に励まされながら手当てされる拾壱さん。

「変貌の兆候はないが」
「仮に死なねどもその子はもう駄目だろう。片腕を失っているし、目も…」
と宣告する者に老人は、この子は一人で6体を相手にしたのだ。誰よりも才能があったと主張します。

(なぜ、俺の首が飛んでいる)
と異国男の首が拾壱さんによって斬り飛ばされます。

その様子を"目"の札による能力で見ていた愈史郎は、抱えて逃げている珠世さんに「死にました。あの男」と報告します。
「先程の"彼"は人間なのですか」と問う愈史郎に珠世さんは「そう。間違いなく。ただし、鍛え抜かれ、選び抜かれた人。狩り過ぎれば狩られる」と答えます。

異国男を狩った拾壱さんは、欄干の上から気配が辿れない。一体に時間をかけ過ぎた。あと三体いたと考えています。

川から何故か猫を咥えて上がってきた時川。
(なんというザマだ。暫くは潜まねばなるまい。鼠のように)
「クソッ」と猫を吐き捨てます。

老人と拾壱さんのシーン。
咳き込み、吐血しながら「さっさと行け」と拾壱さんに告げる老人に拾壱さんは一見無表情とも言える表情を見せています。
そして烏。
「カア、天秤をォー、狂わせてはカアーなりまセン。南 三の村へ行かレヨ」
「すぐに向かえ」
「悪鬼滅殺ゥ」
「殺してエェー カアー チョウダイねーッッ」
と叫んでいます。

それから蕎麦屋でうどんをすする拾壱さん、先日職質したであろう警官に声をかけられます。

「よォ、まだいたのかい。ピタリと止んだな殺しは。お前さんがカタをつけたんだろう」

「…………」

「悪い悪い。聞かないよ。片腕じゃ不自由だろう」と言う警官に「問題ない」と告げてお代を置くシーン。






以上です。


これはジャンプなので吾峠先生には既に担当がついていらしたのか、それとも全くの投稿作なのかは不明ですが、ウィキでは投稿作となっていたのでその通りなのかもしれません。
鬼滅の刃の前身であることは読めば明らかなのですが、もし、仮に私がこれを読んだ友人だったとしたら、間違いなく"持ってる"と思うと感じるのですけど、以下の点が少し気になります。


鬼と表現されているけれど、吸血鬼なのかどうか。
理由は選別で「変貌の兆候はない」とされていることから、鬼なのか吸血鬼なのか、または全く違う種類の生物なのかが分かりにくいように感じます。
鬼も吸血鬼もかなり知名度の高い架空の生物な点から読んだ人はそのどちらかを想定してしまう。
そして接触することで変貌するなら吸血鬼のイメージの方が強い。
一方で日本では古来より"鬼"、"天狗"、"龍"などは伝承でもあり、時の為政者や土地の人物に何かを隠す時の隠語として、あるいは近づくと危険な場所を伝える為の口伝として伝えられている部分もあるので、そこははっきりさせるか、もしくはこういう生物ですと言い切るかが必要かと。

時川、珠世さん、愈史郎は凄く良いので残したいし、拾壱さんを"アレ"と表現して狩られることを警戒しているのがよく分かります。
鍛え抜かれ、選び抜かれた拾壱さんの能力が高いため、彼らは異国男のように人間から恐れられるのではなく潜まねばならないと感じているが、他所者が浅ましく人狩りをしているのを看過出来ないあたり、凄く面白いです。

異国男を拾壱さんが狩る描写と、拾壱さんの生い立ちがころころと変わるのがちょっと読みにくい感じもします。

それから烏。
カアーカアーと言ってなければ喋る黒い鳥はちょっと九官鳥に見えるかなあ…。
でもカアーカア言ってるから良いのか…。

ラストの「問題ない」の小さなコマで終わるのはちょっと寂しいので、ここは小さくして、後ろ姿とかで決めて欲しい気はする。
けれど、それだと時川らを見逃すことになるのかどうか微妙。
と言うよりは、既にこの時点で時川らは見逃してあげてと愛着を感じてしまえるのが凄い。

読み切りにしてしまうのは勿体無い。
こうして設定を練られて、肉付けされ、鬼滅の刃は作られたのだなあ…と感じます。
制作の判断なのか、これを未来の漫画家さんが読めるのはとても良い勉強になるかもと感じました。


その鬼滅の刃本編なのですけど、これ、補充上弦に沙代ちゃんも出て来そうな気がしています。

足りない人員。
足りない戦力。
何故なら無惨さまが自ら減らしてしまったので。

悲鳴嶼さんのエピソード的に、なんか有りそうな気が。