「20人のアメリカ人歴史家の声明」に対する日本側反論 | 日本のお姉さん

「20人のアメリカ人歴史家の声明」に対する日本側反論

天皇からの贈り物として軍隊に捧げただって?ふざけるな!!失礼にもほどがある。第一、それは作り話。マグロウヒル社のアメリカの教科書は間違いだらけ。
そして激しく日本と天皇と日本人を貶(おとし)める酷いウソが書かれた教科書である。

こんな酷いことをされて黙っているのは本当にいけない!!

~~~~~

・2014年11月:米国のロス・アンジェルス市を中心に使用されている加州公立高校のためのマグロウヒル社(本社-ニューヨーク)の歴史教科書『伝統と遭遇』(7Yadt'tl'ons&Encounters)に、慰安婦関連の事実と著しく異なる記述があることが判明

(『産経新聞』2014年11月3日)。記述内容のうち著しく問題のある箇所は、例えば以下の通り。「日本軍は、14-20歳の女性を20万人も強制的に徴用し、軍属させ、(慰安所)と呼ぶ売春宿で働かせた」、「終戦時、その活動を隠蔽するため、多くの慰安婦が日本軍によって虐殺された」、「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊に捧げた」など。

- この本の初版は、2000年であるが、最初から同じような表現の事実と異なる記述があることが、後に判明
・2014-12-05:日本、歴史学研究会委員会(委員長-久保亨)、同年10月15日付け声明の
英訳を発表

~~~~~~~~~
2015年8月26日
http://hassin.org/01/wp-content/uploads/2015-rebuttal.pdf
テーマ:「20人のアメリカ人歴史家の声明」に対する日本側反論
会見者:伊藤隆、東京大学名誉教授
田中莫逆、東北大学名誉教授
山下英次、大阪市立大学名誉教授
司会:茂木弘道、史実を世界に発信する会・事務局長
日時:2015年9月4日(金)、3:m p.m~4:30p.m.
場所:日本記者クラブ大会議室(内幸町プレスセンター・ビル内)
主催:歴史の真実を探求する学者有志の会
使用言語:日本語

日本人の歴史家と連帯する」(Siandiq m'th触sofeTapan)と題する19人のアメリカ人歴史家の声明(後に1名が加わり,最終的には20名となる)が、2015年3月初めに,アメリカ歴史学会(AIIA)の月刊の機関誌『パースペクテイヴズ・オン・ヒストリー』(b pectiveson月詣tozy)に掲載されました.

この声明は、日本政府が米国マグロウ・ヒル社の歴史教科書の記述に重大な誤りがあるとして訂正要請を行ったことを批判する内容となっています。

今回は、この米側声明に対する日本側学者の反論(rebuttal)です。

なお、2015年5月5日、欧米の日本研究者を中心とする187名の学者の「日本の歴史家を支持する公開書簡」(Cbez2Letteupiz2Supportofu Tikns血JapaD)が公表され安倍晋三首相に歴史認識問題に対して大胆な行動をとるよう促しました。

この公開書簡に対する日本側反応(署名者110名)は、さる8月6日、拓殖大学の渡辺利夫総長を中心に、日本外国特派員協会(FCCJ)で発表されました

05/5付けの米側の公開書簡は、よりソフトな内容ですが、われわれが今回対象とする「20人のアメリカ人歴史家の声明」は、かなり強硬な内容であり、これをしっかり批判しておこうという趣旨

*問い合わせ先;山下英次TEL:03-6425-8559、e一mai1:belloどOS碗aどate.I)lala.or.11⊃


今回の日本側反論の呼びかけ人(9名)
長谷川三千子、埼玉大学名誉教授渡部昇一、上智大学名誉教授
伊藤隆,東京大学名誉教授渡辺利夫、拓殖大学総長
北村稔、立命館大学特別任用教授山下英次、大阪市立大学名誉教授
西尾幹二、電機通信大学名誉教授(名前の英語のアルファベット順)
田中英道、東北大学名誉教授
田久保忠衛、杏林大学名誉教授
2015年9月4日
「20人の米国人歴史家の声明」に対する50人の日本人学者による反論

一般論としては、政府が教科書の内容に介入しない方が好ましい。

しかしながら、教科書に明らかに事実誤認と認められるような記述があり、それがある特定の国家と国民の尊厳を著しく損ねるような場合には、当該国政府が当該記述の訂正を求めるのは極めて自然なことである。

問題となっているマグロウヒル社の歴史教科書はそれに該当する。

2015年 3月17日付けの19人の日本人歴史家有志による「McGraw-Hill社への是正勧告」は、同社の教科書の慰安婦関係の記述について、僅か2パラグラフ・計26行の中に8カ所も、明らかな事実の誤りがあることを指摘したO

アメリカ政府が、もし同じ立場に立たされたと したら,おそらく、日本政府とは比べ物にならないほどもっと遥かに激しいやり方で抗議 したことであろう.

「20人の米国人歴史家の声明」のタイトルは、「日本の歴史家に連帯して」("StandingwithHistoriansofJapan")となっているが、同声明の中で高く評価している書見義明教授 ですら、尋ねられれば、あの教科書については、何カ所も事実関係の間違いを指摘するで あろう。

結局のところ、あの教科書の内容を全面的に支持する日本の学者は、おそらく皆無であろう。

20名の米国人歴史家たちは、あたかも「亡霊」と連帯すると言っているかのようである。

米国議会の要請により、省庁横断的な詳細な調査が行われ、2007年4月の米国IWG報告書が提出されたが、第2次世界大戦中の慰安婦の問題については、E]本政府の戦争犯罪 を示す文書は一つも発見されなかったC

これは、米国国家公文書記録管理局(NARA)によって行われた大々的な調査の結果判明したものであり,2000年から7年間と3,000万ドル をかけて、OSS (戦略情報局)、CIA (中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、米陸軍対情報部隊(CIC)などが保有するドイツと日本の第2次世界大戦に関する機密文書が対象とされ,両国について戦争犯罪があったかどうか吟味された。

日本については、142,000件の機密文書が確認されが、慰安婦に関する戦争犯罪を示す文書は何一つ発見されなかった。

しかしながら、マグロウヒル社の歴史教科書も、20人の米国歴史家の声明も、このことには一切 触れていない。彼らが、同報告書の存在を知らなかったとたら、歴史家として不勉強の誹 りを免れないし,他方、知っていて意図的に触れなかったとしたら、学者としてのフェア ネスが厳しく問われることになる。

マグロウヒル社の教科書には、「慰安婦は天皇からの贈り物である」とか、「終戦に際して、証拠隠滅のために多数の慰安婦が殺された」などという全く根拠のない表現も見受け られる。

これらは、いずれも、あたかもフィクション作家による「創作」のようであり、本来、学者が書く歴史教科書には、決してあってはならないものである。

また、すでにべたように、当該教科書の慰安婦の箇所については、僅か26行の中に8カ所も間違いがあ ったわけであるが、その他の部分については、間違いがほとんどないとは考えにくい。

あ の教科書全体の信濃性が問われるわけであり、これは,アメリカの歴史学会全体の名誉に かかわる問題ではないだろうか?

アメリカの歴史家は、日本政府に対する抗議声明を出す より、米国の歴史教科書の内容の妥当性について、全面的な検討作業を開始するよう米国 内において然るべく働きかけ、また、自らもそうした方向で行動すべきである。

なぜなら ば、アメリカの次の世代の人々が正しい歴史認識を持てるかどうかは、それにかかってい
るからである.

そして、それは、アメリカにとってだけでなく、国際社会全体にとっても極めて重要なことである。

*この文章は、アメリカ歴史学会(AHA)の機関誌『パースぺクテイヴズ・オン・ヒストリー』の2015年3月に掲載された「20人の米国人歴史家の声明」に対する日本の学者有志による反論である。

畳星室(ファミリー・ネームの英語のアルファベット順
青柳武彦、国際大学客員教授
荒木和博、拓殖大学教授
岡本幸治、大阪国際大学名誉教授
藤井厳喜、元・拓殖大学客員教授
藤岡信勝,拓殖大学客員教授
袴田茂樹、新潟県立大学教授
*長谷川三千子、埼玉大学名誉教授
秦都彦、元・日本大学教授
樋泉克夫、愛知大学教授
平間洋一、元・防衛大学校教授
稲村公望、中央大学大学院客員教授
石井望、長崎純心大挙准教授
*伊藤隆、東京大学名誉教授
金岡秀郎、国際教養大学特任教授
勝岡寛次、明星大学戦後史研究センター
北村稔、立命館大学特別任用教授
窪田哲夫、拓殖大学客員教授
久野潤、大阪国際大学講師
馬淵睦夫、元・防衛大学校教授
松浦光修、皇学館大学教授
日良浩一、元・南カリフォルニア大学教
丹羽文生、拓殖大学准教授
百地章、日本大学教授
村瀬哲司、京都大学名誉教授
中西輝政、京都大学名誉教授
西舘数芽、岩手大学教授
*西尾幹二、電機通信大学名誉教授
西岡力、東京基督教大学教授
大原康男、国学院大学名誉教授
岡田・コリンズマリ子、米国ワシントン州立セントラル・ワシントン大学講師
酒井信彦、元・東京大学教授
石平、拓殖大学客員教授
島田晴雄、千葉商科大学学長
島田洋一、福井県立大学教授
塩揮修平、慶鷹義塾大学教授
副島豊次郎、元・近畿大学教授
杉原誠四郎、元・城西大学教授
高橋史朗、明星大学教授
高山正之、元・帝京大学教授
*田久保忠衛、杏林大学名誉教授
*田中英道、東北大学名誉教授
田中哲二、タシュケント国立経済大学(ウズベキスタン)名誉教授
鄭大均、首都大学東京名誉教授
富岡幸一郎、関東学院大学教授
潮匡人、拓殖大学客員教授
*渡部昇一、上智大学名誉教授
*渡辺利夫、拓殖大学総長
八木秀次、麗揮大学教授
*山下英次、大阪市立大学名誉教授
吉原恒雄、元・拓殖大学教授(計50名)
*印は、呼びかけ人(9

September4,2015
50JapaneseAcademl'cs'Rebuttalof地e20ARZen'canHl'storl'aDS'Stateme

Generally speaking, it is better that governments do not intervene in thewriting of history textbooks. 
However,if clear,factual mistakes are foundin textbooks,andif  

~~~~~~以下、文字が全部ひっついているので、PDFを読みに行ってください。↓


Signatories
AOYAGITakehiko,
ARAEIZazuhiro,TakushokuUniversity
OKAMOTOKoji,OsakalnternationalUniversity
FUJIIGenki,TakushokuUniversity
FUJIOKANobukatsu,TakushokuUniverslty
HAKAMAI)AShigeki,NiigataPrefecturalUniversity
*HASEGAWAMichiko,SaitamaUniversity
HATAIkuhiko,NipponUniversity
HIIZtJMIKatsuo,AichiUniversit,y
HIRAm Yoichi,NationalDefenseAcademyofJapan

INAMURAKobo,ChuoUniversity
ISHIINozomu,NagasakiJunshinCatholicUniversity
'ITOTakashi,UniversityofTokyo
EANEOEAHideo,AkitalntemationaltJniversity
KATSUOEAKanJ'i,MeiseiUniversity
'KlTAMURAMinoru,RITStJMEIKANUniversity
KUBOTATbtsuo,TakushokuUniversity
KUNOJun,OsakaInternationalUniversity
MABUCHIMutsuo,NationalDefenseAcademyofJapan
MATSUUn Mitsunobu,KogakkanUniversity
MERAKoichi,UniversityofSouthernCalifornia
NIWAFumiO,TakushokuUniversity
MOMOCHIAkira,NipponUniversity

MERAKoichi,UniversityofSouthernCalifornia
NIWAFumiO,TakushokuUniversity
MOMOCHIAkira,NipponUniversity
MURASETetsuji,KyotoUniversity
NAEANISHITerumasa,KyotoUniversity
NISHII)ATEKazume,IwateUniversity
'NISHIOKanji,Universit,yofElectro-Communications
NISHIOEATsutomu,TokyoChristian University
OH-HARAYasuo,KokugakuinUniversity
OKADA-COLLINSMariko,CentralWashingtonUniversityintheStateofWashington,
USA
SAKAINobuhiko,UniversityofTokyo
SEKIHei,TakushokuUniversity
SHⅢ止ADAHaruo,ChibaUniversityofCommerce
SHM AYoichi,FukuiPrefecturalUmiversity
SHIOZAWAShuhei,KeioGi5ukuUniversity
SOEJm吐AToyojiro,KinkiUniversity
SUGUHARASeishiroh,JosaiUniversity
TAKAnASHIShiroh,MeiseiUniversity
TAKAYAMAMasayuki,TeikyoUniversity
*TAm OTadae,KyorinNiverslty
*TANAKAHidemichi,Tohokn University
TANAKATetsqi,TashkentStateEconomicUniversityinUzbekistan
TEITaikin,TbkyoMetropolitan University
TOMIOKAKoh-ichjro,KantoGakuinUniversity
USHIOMasato,TakushokuUniversity
*WATANABEShoh-ichi,SophiaUniverssity
iWATANABEToshio,TaliuShokuUniversity
YAGIHidetsugu,ReitakuUniversity
*YAMASHITAEiji,OsakaCityUniversity
YOSHIHARATsuneo,TakushokuUniversity (50academiciansintotal)
*9initiatorsoftherebuttal

2015年9月4日(金)
於・日本記者クラブ
日本側反論(rebuttal)の基本的考え方
東京大学名誉教授伊藤隆
今回の呼びかけ人の一人の伊藤隆です。

今年3月初めに公表された「20人のアメリカ人歴史家の声明」(当初19名であったがその後1名増えて20名となる)は、慰安婦の問題を扱っております。

私はマグロウヒル社の教科書の該当部分(藤岡氏の翻訳)を読んで、その記述の全く根拠のない作りごとに駕惜しました.

これについては既に秦郁彦氏等が具体的に批判をしておられ、同感しております。

ここでは、むしろ彼らの声明を出している方々の学者・教育者としての姿勢に注目したいとと思います。

いくつか非常に大きな問題点があると考えていますO

ここでは、以下の4点を挙げます

第1に、3月初めの「20人のアメリカ人歴史家の声明」のタイトルは、「日本の歴史家と連帯して」("Standing with Historians of Japan")となっており、他方,5月5日の「187人の日本研究者の公開書簡」の方は、「日本の歴史家を支持して」("InSupport of HistorianS in Japan")となっております.いずれも、「日本の歴史家」に対する連帯もしくは支持の姿勢を示しているという点で共通しています。

おそらく、彼らが言いたいのは、「日本の歴史家」はわれわれ米国の歴史家と同じ考えだということでしょう。

ここには、何か、安倍政権が、日本内外の言論を抑圧しており、それに対して、われわれ米国人歴史家が「日本の歴史家」と連帯して、安倍政権を牽制しようという政治的考えがあるのではないかと思われます。

しかし、はたして、安倍政権が、いま、日本の言論を抑圧しているということはあるのでしょうか?

ここにお集まりのメディアの方々に聞いてみたいぐらいですが、私には、むしろ逆に思えるのです。

8月14日の総理の戦後70周年の談話にしても、総理が、内外のメディアに追い込まれて、元々、考えていた趣旨とは少なからず離れた主張をせざるを得なくなったという事情があるのではないかと疑っています。

ところで、現在のアメリカの歴史家の主流は、左派的な思想の持ち主のようであり、とりわけ、日本研究者にそうした傾向が強いようです。

それに、ライシャワー教授等が主流であった頃と比べると、現在のアメリカの日本研究者の研究の質は、遥かに劣っていると見る人も少なくありません。

これが、大問題です。

また、「日本の歴史家」と言っているのは、誰のことでしょうか。

彼らが連帯できると思っているは、歴史学研究会の人たちなど日本の左派の歴史家たちではないでしょう か。

確かに現在のところ、彼らは多数派かもしれませんが、当然のことながら、私のように、それと異なる意見の歴史家も多くいますし、また、歴史以外を専門とするものの、近現代史について、歴史学研究会とは異なる見方で精力的に発言している日本の学者は、 いまやたくさんいます.

歴史家だけが、歴史について、発言する資格があるなどということは、無論ありません。

第2に、「20人のアメリカ人歴史家の声明」は、日本政府が米国歴史教科書における事実関係の重大な誤りについて訂正要請したことに対して、「検閲」とか「介入」だとして、非難していますが、日本政府には、そもそも、米国の歴史教科書を検閲する権限は全くないわけですから、「介入」とか「言論の自由に対する侵害」だという批判は当たりません

第3に、具体的に歴史的事実の間違いをいくら指摘されても、これを無視し、事実を直視しようとしない姿勢が甚だ問題です。

すなわち、彼らは、きちんと教科書の記述を読んだのであろうか疑わしく思えます。

具体的な議論を避け、われわれの指摘を、ひたすら無視しようとしているように思われます。

非科学的な(unscienti丘C)姿勢と言うはかはありませんO

すなわち、彼らの学者としての姿勢が問われます。

また、教科書の出版社であるマグロウヒル社も、訂正を完全に拒否しているわけであり、全く同じ非科学的な姿勢をとっています。

第4に、彼ら米国の歴史家たちは、自分たちの次の世代のアメリカ人に対する正しい歴史教育にあまり関心がないようにみられることです。

事実関係に重大な誤りが歴史教 科書の中に多数あると指摘されているのに、それを検証しようともせず、日本政府を非難しています。

彼らの教育者としての姿勢も厳しく闘わねばならないでしょう。

なお、歴史の評価は、少なくとも100年ぐらいたたないと固まらないとよく言われますが、第2次世界大戦終了からまだ70年なのですから、いま、新たな歴史認識が出てくるのは当たり前です。

むしろ、これから、第2次世界大戦について、新たな歴史認識がどんどん出てくるでしょう。

ちなみに、今年は、第1次世界大戦の開始から101年になりますが、同大戦の歴史的評価が固まったとはまだ決して言えない状況です。

彼らは、すぐに我々を修正主義者(revisionist)と批判しますが、開かれた心と自由な思想の持ち主ならば、修正(revision)に対して、常にオープンな姿勢を取らなければならないはずです。

我々を、修正主義者と批判する人たちの姿勢は、科学的とは言えないわけであり、そもそも知識人としてあるまじき態度ではないかと考えます。

「それでは、あなた方は固随(ころう)な守旧派(bigotedoldguard)ではないですか」と、こちらから逆にレッテルを貼りたくなります。

日本人歴史家による「20人の米国人歴史家の声明」に対する反論
2015年9月4日於・日本記者クラブ
田中英道
東北大学名誉教授、文学博士(日、仏)、日本国史学会代表理

アメリカのマグロウヒル社の高校生向けの世界史教科書では、日本の「従軍慰安婦」問題を二
十六行で書いているが、そこに八カ所も誤りがあることが、日本側の研究者から指摘された。

誤りは、ニト万人も「強制連行Jされ、彼女らが「天皇からの贈り物」だったなとと書いているの
である。

当然の事ながら、日本の外務省が抗議したところ、それに対してアメリカの歴史学会の19人(後に20人)が、日本政府の検閲は、学問の目由を脅かすものだ、と抗議した。

私は、その抗議は、歴史的事実に即して誤りであることを指摘できるが、すでに伊藤先生をお話しになったので、別の観点から反論したいO

それは「日本政府の検閲は、学問の自由を脅かすものだ」、という発言である。

日本の外務省が、外国で日本の国益を犯すものに、常に抗議するのは、世界共通の当然の行為であるO

それなら我々学者が抗議したら、彼らはこう答えたであろうか。

つまりこの発言自体に、彼らの政治に対する誤った態度があるということである。

その態度自体に、アメリカ日本学者の偏向性、党派性を感じ、反論するものであるO

アメリカの日本学者が、内容のこと自身を学問的に再検討して、これに答えるのが研究者とし
て正しい態度であるo

なぜそうした態度を取らず、すぐさま、こうした日本の政何引こ対し、政治的な反論を出すのであろうか。

つまり、内容の是非よりも政府から抗議されたこと自体に、学問の自由を侵す、という軽卒な態度自体、学問的態度よりも、イデオロギー的偏見をもっている学者であることを感じることが出来るO

つまり、日本政府のような権力は常に悪であり、常に反対しなければならない、というフランクフルト学派的な「隠れ共産主義」の思考方法であるO

もともと政治社会は権力のもとに動くのは当然であり、社会主義国では最悪の権力政治を行っ
ているこては、ソ連圏の崩壊でおわかりだろうO

問題は、その権力の行う内容そのものが問うべきなのに、権力自体が悪である、という思想的態度は、史実を常にこうした思考法で見ていることを意味する学者たちの偏見に強い危候をもつものである。

マルクス主義イテオロギーの権力論の誤謬を信じている不勉強な人々である、ということなのである。

声明では、20人の学者が、日本学者と連帯して、と言っているが、その日本学者の糾こ、吉 見義明・中央大学商学部教授を一人あけ上げているG

たしかに日本にも事実をよく調べない、最初から左翼・党派的な学者も多くいる,.

しかし、連帯したはずの吉見教授の「従軍慰安婦」の見解は、決して「学問」的であるわけで はないO

同教授は、朝鮮や台湾において日本軍が奴隷狩りや強制連行をLた資料はないと言っているにも関わらす、河野談話の「朝鮮半島は日本の統治下にあって、その(慰安婦)募集・輸送・管理も甘言と強圧など全体的に本人の意志に反してなされた」という言葉を肯定しているのである。

前はr自由意志」の場合も強制性があった、と述べていたが、現在はそU)場合は奴隷制・強制性はないと見解を変えているO

要するに、これも日本がアジア諸国を「侵略」したか、しないか、という問題と同じで、軍部が関与した強制連行という、資料がない虚構を,左翼的イデオロギーでわざわざ作りだしているのである。

朝日新聞が吉田清治偽証を長く認めなかったのと同じ態度であるG

アメリカの日本学者が、左翼的偏見を持っていることは、戦後の風潮でいたしかたがないかもしれないが、それが、事実そのものを見る眼を曇らせていることに気づかねばならない。

それは学者としての良心を犯すものである。

おかしいのは、日本学者が、戦後のGHQのC工E((民間情報教育局)がつくったWar Guilty nformat,louProgram(戦争罪障報道計画)にひっかかってしまったのは、占領Fで仕方がないにしても、アメリカの学者までも、そのアメリカ政府が命じた政策を、批判していない点である。

この「従軍慰安婦問題」も、「南京大虐殺」も、このCiEによってその計画に従って作られた「大平洋戦争史」によって糧道されたものであることをLらなければならない。

さらに二二二十年、アメリカ公文書館から出されたoss(戦術局)の文書に「日本計画」が1942年6月に書かれ、そこに天皇を象徴として残す旨も書かれていた。

ヴェナノ文書もまた-ルノートがソ連スパイによって書かれていたことを明らかにしている。

戦争自体、当時左翼が多かった/レ-ズベルト大統領下のアメリカ政府が誘導したことの証拠が数々出てきていることを知るべきなのである。

いずれにせよ、今回のマグロ- ヒル社教科書の誤りを認め、撤回させるように、アメリカ日本学者は協力すべきなのである。

2015年9月4日
参考資料:若干の背景説
時系列的に振り返ると、今回の事の発端は、2014年11月3日、『産経新聞』朝刊の1面
に米国マグロウ・ヒル社の高校歴史教科書『伝統と交流』(加dftl'onsandEncounteTS)の 中の日本軍の慰安婦問題に関する記述に重大な事実誤認が含まれているとの報道であった。

それを踏まえ、わが国の外務省(担当課-アジア大洋州局地域政策課)が、同年11月から12月にかけてニューヨーク総領事館を通じて、教科書の発行元であるマグロウヒル・エデ ュケーション社に対して記述を是正するように要請した。

また、同教科書の該当部分の執 筆者であるハワイ大学のハーバート・ジーグラー准教授に対しては、同じ時期に、ホノル ル総飯事館を通じて、本邦外務省が記述の修正を要請した。

なお、同教科書の該当部分の 記述については、付属資料1(英文)及び付属資料2(邦訳)を参照。

それに対して、「日本人の歴史家と連帯する」(SbZDdl'ngwl'thmstoz・)'ansofeTapaD)と題する19人のアメリカ人歴史家の声明(後に1名が加わり、最終的には20名となる)が、2015年3月初めに、アメリカ歴史学会(AHA)の月刊の機関誌『パースぺクテイヴズ・オン・ヒストリー』(Perspectl'T7eSOnEl'stwy)に掲載された。この声明は、日本政府が教科 書の記述に対して「介入」したことを批判する内容となっている

(詳しくは、付属資料3および付属資料4を参照)0

それに対して、秦郁彦・元日本大学教授を中心とする19人の日本人歴史家有志は、2015年3月17日、「McGraw-Hill社への是正勧告」と題する冊子(付属資料5)をまとめ、同社教科書の慰安婦問題の記述に数多くの重大な事実誤認があることを指摘したO

具体的には、当該部分の記述は僅か2パラグラフ、26行にすぎないが、その中に8カ所もの事実誤認があることを指摘した。

なお、この内容は、3月17日午後、日本外国特派員協会(FCCJ)で開催された討論会において、秦郁彦・元教授から報告され、海外紙『ワシントン・ポスト』を含め多くのメディアによって報道された。

その後、2015年5月5日、米国の日本研究者を中心とする学者187名の「日本の歴史家を支持する公開書簡」(OpenLetterlnSupportofHl'stor1-aLZSl'nJapan)が公表され、安倍 晋三首相に歴史認識問題に対して大胆な行勤をとるよう促した。

本年8月に予定されてい た安倍総理の戦後70周年談話(実際には閣議決定後8月14日発表)を見据えてのこととだったとみられる。

また、同年5月19日、この公開書簡への賛同者は270名増えて、合計約460名に達したことが判明した。

他方、マグロウヒル・エデュケーション社は、誠に遺憾ながら、2015年5月14日産経新聞社の取材に対して、面会要請を拒否した上で、書面で、歴史教科書について、如何なる修正にも応じないと回答したとのことである(5月16付け『産経新聞』で報道)0

本年5月5日付けの187名(後に460名に増加)の米側声明「日本の歴史家を支持する公開書簡」に対する日本側反応「慰安婦に関する米学者声明への日本の学者からの返答(署名著110名)が、8月6日、日本外国特派員協会で公表された。

しかしながら、3月初めに発表された「20人の米国人歴史家の声明」に対する日本側反論はまだ出ていないので、今回は、それについて署名を募り、公表しようということであ るO

「20人の米国人歴史家の声明」は、歴史の事実を直視しようとしないかなりの強硬論であり、日本の学者として、これをしっかりと批判しておこうという趣旨である。
大阪市立大学名誉教授
山下英次

2015年9月4日
日本記者クラブにおける会見資料
歴史の真実を探求する学者有志の会
歴史問題に関する日米間のやり取り一タイムライン

・2014年11月:米国のロス・アンジェルス市を中心に使用されている加州公立高校のためのマグロウヒル社(本社-ニューヨーク)の歴史教科書『伝統と遭遇』(7Yadt'tl'ons&Encounters)に、慰安婦関連の事実と著しく異なる記述があることが判明(『産経新聞』2014年11月3日)。

記述内容のうち著しく問題のある箇所は、例えば以下の通り。

「日本軍は、14-20歳の女性を20万人も強制的に徴用し、軍属させ、(慰安所)と呼ぶ売春宿で働かせた」、「終戦時、その活動を隠蔽するため、多くの慰安婦が日本軍によって虐殺された」、「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊に捧げた」など。

- この本の初版は、2000年であるが、最初から同じような表現の事実と異なる記述があることが、後に判明

・2014-12-05:日本、歴史学研究会委員会(委員長-久保亨)、同年10月15日付け声明の英訳を発表

・2014年12月初め:本邦外務省が、ホノルル総領事館員を通じて、マグロウヒル社の歴史教書の当該部分を執筆したハワイ大学のハーバート・ジーグラー准教授に対して、事実と異なる部分について訂正を要請

・2014年12月半ば:本邦外務省は、ニューヨーク総領事館を通じて、マグロウヒル・エデュケーション社のCEO(デイヴィッド・レヴィン)と面談し、高校歴史教科書の慰安婦に関する記述に深刻な誤りがあることに加え、日本政府の立場と相いれない部分があるとして是正を要求。

・2015-01-02:アメリカ歴史学会(AHA)の総会(於・ニューヨーク)において、学者有志が集まり、のちに、3月初めに公表する「19人のアメリカ人歴史家の声明」の文案が作成される

・2015-01-15:2014年12月半ばの本邦外務省のマグロウヒル・エデュケーションの高校歴史教科書の慰安婦に関する記述に関する是正要求に対して、同社は、学者の意見は一致しているとして、その要求を拒否する旨、同日回答。

また、別途、外務省は、当該部分を執筆したハワイ大学のハーバート・ジーグラー准教授にも要請を行っていたが、同氏も是正要求を拒否した。Wall St.Joumalの報道(1/16)

- しかし、外務省アジア大洋州局地域政策課に問い合わせたところ

日本政府としては、まだ、マグロウヒル社からの回答を待っているとのこと。

報道内容は、マグロウヒル社が、メディアに対して、一般論を述べたにすぎないと理解しているとのこと

・2015-02-05:この頃、「19人アメリカの歴史家の声明」が,公表前の段階で、インターネットに漏れ出る

・2015-03-02:19人のアメリカ人歴史家の声明「日本の歴史家と連帯する」を公表

;アメリカ歴史学会(AHA)の月刊機関誌『パースぺクテイヴズ・オン・ヒストリー』に発表。後に賛同者が一人増え、20名となる。

・2015-03-17:秦邦彦など19人の日本人歴史家有志、マグロウヒル社の高校歴史教科書に ついて、「McGraw-Hill社への是正勧告」(全25ページの冊子)を発表(於・日本外国特派員協会):僅か26行の文章中に8カ所の事実の誤りを指摘

・2015-05105:187名の欧米学者、公開書簡「日本の歴史家を支持して」を公表

・2015-05-14:マグロウヒル社、『産経新聞』に対して、面談要請を拒否した上で、教科書 を訂正しないと書面で通告(5/16付『産経新聞』が報道

・2015-05-19:187名の欧米学者による公開書簡に対する賛同者が270名増えて、約460名になる

・2015-05-25:日本、歴史学研究会など16団体の声明

・2015-06-08:和田春樹ら17名と287人の声明(日英韓の3各国語)

・2015-08-06:110人の日本人学者の声明「慰安婦に関する米学者声明への日本の学者から の返答」を発表(於・日本外国特派員協会)

;5/5の「187人のアメリカの日本研究者の公開書簡」に対する日本側返答
(response)

・2015-09-04:「(20人の米国人歴史家の声明)に対する50人の日本人学者による反論
(rebuttal)」を発表(於・日本記者クラブ)

2015年9月4日
登壇者の紹介
伊藤隆:1932年東京出身。東京大学文学部国史科卒業、同大学院人文科学研究科国史
専攻修士課程修了。東京大学文学部教授、埼玉大学大学院教授、政策研究大学院
大学(GRIPS)教授などを窟て、現在・東京大学名誉教授。著書;『昭和初期政
治史研究』(東京大学出版会、1969年)、『日本の近代16日本の内と外』(中央公
論新社、2001年)、『歴史と私一史料と歩んだ歴史家の回想』(中公新書、2015
年4月)ほか多数。
田中英道:1942年東京出身。東京大学文学部フランス文学科、美学・美術史学科卒業。
仏ストラスプール大学博士号取得。東北大学文学部教授、ローマ大学客員教授、
ボローニヤ大学客員教授、新しい歴史教科書を作る会会長、国際教養大学特任
教授を経て、現在・東北大学名誉教授・文学博士O著書;『イタリア美術史』(岩
崎美術社,1990年)、『新しい日本史観の確立』(文芸館、2006年)、『日本と西
洋の対話』(講談社出版サービス・センター、2010年)I『日本の歴史本当は何
がすごいのか』、(育鵬社、2012年)ほか多数。

山下英次:1947年東京出身。慶鷹義塾大学経済学部卒業o東京銀行に入行し,調査部、
国際投資部、海外部などに勤務後、1988年大阪市立大学に移籍。同大学大学院
経済研究科教授、欧州大学研究院((EUI)ロベール・シューマン高等研究所客
員フェローなどを経て、現在・同大学名誉教授・経済学博士。著書;『ヨーロッ
パ通貨統合-その成り立ちとアジアへのレッスン』(勤草書房、2002年)、『国際
通貨システムの体制転換一変動相場制批判再論』(東洋経済新報社、2010年)な
ど。近現代史に関する論文;「日米歴史戦争に備える」、『歴史通』(ワック出版)
2015年9月号、pp.82-102、など。

(司会)
茂木弘道:1941年東京出身。東京大学経済学部卒業。富士電機、国際羊毛事務局を経て、
1990年に世界出版を設立。現在・「史実を世界に発信する会」(代表-加瀬英明)
事務局長O著書;『小学校に英語は必要ない』(講談社、2001年),『文科省が英
語を壊す』(中公新書ラクレ、2004年)など