ソフリットとラグー
食べ物中心。パリ生活。
おいしいもの、集めてます
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2008年4月30日 (水)
ラグー、わかったなり!
ー前回からの続きー
「ソフリット」がきっかけとなり、手持ちのイタリア料理の本を何冊か読み直してみた。
「ダノイ」の小野シェフ、「アクアパッツァ」の日高シェフなど有名シェフ9人が解説した『人気のイタリアン』(世界文化社)にも、おいしいラグー作りのヒントがちゃんと書かれているではないか。
ひき肉のラグーを作るなら、肉は焦げ付かせるくらいカリカリに炒めるのがコツなのだとか。カリカリにするために、あらかじめ肉に小麦粉をまぶしておく、とある!
フレンチでもおなじみのこの行程。基本中の基本。わかっているはずなのに。
自己流のミートソースを長年作り続けていたため、取り入れる発想がなかったのだ。
こんなところにも、応用力のなさが現れてしまう。
肉をこんがりと炒めた鍋に、ソフリットを加える。
鍋底にキャラメリゼした旨味をこそぎ落としながら、煮込む。今日はソテーしたシメジも加えた。
ずっと憧れていた”茶色のミートソース”がついに完成(写真上)。
トマトの色がほとんどついておらず、見た目は地味だが、十分すぎるほどのコクがある。全体を包み込むようにまろやかな野菜の甘みと、旨味を噛み締めるような肉の素朴な味わいに大満足。
「あーでもない、こーでもない」と”魔女鍋”のごとく、いろいろなスパイスや調味料を入れなくても、風味豊かなミートソースが簡単にできるのだ。
コツがわかったのが嬉しくて、”レバー入り””トマト風味(写真左)”のミートソースを立て続けに作り、食べた。
おかげで、ミートソースはしばらく食べなくてもいいくらい…。
なにはともあれ、ブオナッシージさん。今更ながら、ありがとう!
2008年4月21日 (月)
BRUTUS再読。
日本での暮らしが落ち着きつつあったのに、再び引っ越ししました。
すっかり、ブログの更新が滞りました。
覗いてくださった皆様、失礼しました。
メールをお送りくださった方々、お返事が遅れております。申し訳ございませんが、もうしばらくお待ちくださいませ。
引っ越しの荷造り中、“永久保存版”の雑誌『BRUTUS』を発見。「懐かしい!」と作業を中断し、しばし読みふける。
おお、もう10年も経ったのか。
この頃のブルータスは、赤ワイン・ブームを作ったり、F・シモンをメディア初登場させたりとハッとさせられる企画が続き、毎回注目していた。
今読み返しても十分読み応えがあり、新たな発見さえある。
だから処分できない。困ったものだ。
その中の一冊、パスタ特集”日本のパスタは、本物なのか!?”。
『パスタ宝典』の著者で”パスタ王”と呼ばれるイタリア人、ヴィンチェンツォ・ブオナッシージ氏が東京・関西の有名イタリア店を食べ歩き、バッサバッサと斬るという興味深い企画なのだが、再読するうち、ある言葉がひっかかった。
ソフリット。
タマネギ、ニンジン、セロリなどを炒めたものをこう呼ぶらしいが、ブオナッシージ氏は「煮込みをする時には45分以上のソフリットは欠かせない。オッソブーコ、ブラザート(牛肉の煮込み)など、どんな煮込み料理にも必ず入るものだ」とその重要性を特集の中でたびたび説いているのだ。
「?」と思い、彼の著作、『イタリア人のイタリア料理』(柴田書店)を久々に手に取ってみると、確かに序文でもこう強調しているのだった。
「(前略) イタリア料理の立役者は何と言っても『ソッフリット(Soffritte)」で、ソッフリットがいかにイタリア料理に重要な役割を果たしているかについては、十分認識しなければならない。(後略するがまだまだ言及は続く)」
フレンチでは”スエ”、和食だと”しんなり””野菜が透き通るまで”炒める調理法は一般的だが、イタリアンではさらにしっかり炒め、野菜の水分を飛ばして甘みや旨味を凝縮させるというわけだ。これが煮込み料理のコクとなり、すべての材料を調和させる役割を果たす。
なるほど。カレーを作る時にタマネギを飴色になるまで炒めるのと同じ要領だ。
普段はオイルベースか、南風のトマトベースのパスタを作ることが多いせいで、こんな大切な言葉、基本を読み飛ばし、ずっと知らずにいた自分はなんと愚か者よ。
なぜ私の作るミートソースはトマト味に頼りすぎるのか、コクが出ないのか、味が調和していないのか、etc,etc。長年の疑問が今更ながら、一瞬にしてクリアになった。
これで、お店でいただくような茶色のラグー作りも夢じゃない!
次回は、覚えたてのソフリット(写真右)をひっさげ、トマト味控えめの茶色のラグーに挑戦だ!
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