まさかユノがあの嘘を覚えていたなんて…
キョンミは思いもよらないユノの言葉を聞いて背筋に恐ろしい戦慄が走った。
「ユ、ユノ!あれは事故よ!そんな・・・まさかずっと覚えていたなんて……」
「俺のせいなのに……忘れられるわけないよ…」
(あの日がユノを引き留める為にいない赤ちゃんを流産したと嘘をついた日だった!?なんて事!日にちまで覚えていたなんて・・・ユノに何の日か知ってる?って聞かれて私呑気にお義母さんの誕生日かな?とか言ってそのまま眠ってしまった・・・)
キョンミは当時母親から嘘の流産の事でずっと責められているユノを見て罪悪感に駆られていた。
「オンマ!そんなにユノを責めないで!ほんとは妊娠なんてしていないのに!私申し訳なくてユノの顔が見れない!」
「キョンミ。これくらい追い込まないとユノはまた韓国へ帰りたいって言うわよ?それでもいいの!?ユノが責められるの見たくなかったら早く本当に子供を作りなさい!本当にユノと結婚したいのなら!オンマはどっちでもいいわよ!」
そしてしばらくしてキョンミから誘う形で初めて結ばれ、ジヌを身ごもった。
「流産の事は私にとってとても辛い出来事だった。だから、早く忘れたかったの、ユノ、ごめん、ごめんなさい」
(ジヌを授かり、ユノは「よかった。本当によかった」と目に涙を浮かべた。
それからは私に献身的に尽くしてくれた。妊娠の報告した時、父親から罵られてもずっと耐えてくれて・・・
ジヌを初めて抱いた時、ユノが涙を流しながら「キョンミありがとう、これからこの子を二人で頑張って育てていこう」と言ってくれた時、私はやっとジェジュンに勝ったと思った。夢のようなユノとの生活と子育ての慌ただしさの中、嘘をついた事を忘れた。それなのに・・・ユノは覚えていたなんて、ずっと苦しんでいたなんて・・・)
キョンミは自分のついた嘘が長年ユノを縛り付け苦しめてきた事を知り、恐ろしくなり震えながら顔を手で覆って泣いた。
「ごめんなさい、ユノ本当にごめん、うう、、、」
「謝らなくていいよ。キョンミは何も悪くなんかない」
そう言ってユノはキョンミを抱きしめた。
「違うの、ユノ、私が悪いの!私が!うう、」
キョンミはユノに抱きしめられより一層声をあげて泣いた。
「ずっとオンマに責められ続けるユノを見るのが…(本当は妊娠なんてしていないのに)本当に…辛かった……だから忘れたかったの」
「キョンミ、俺こそごめん。すべて俺のせいだ。キョンミが必死で辛いことを忘れようとして忘れられたのに、思い出させてしまって本当にごめん」
ユノは流産した子を忘れたという事実に驚き、寂しい思いをしたがそれと同時にキョンミが自分のように重い十字架を背負って日々を過ごしてなかった事に胸をなでおろした。
(これからは俺がキョンミの分まであの子に懺悔しながら生きていけばそれでいい・・・)
「ユノ、一人であまり苦しまないで。これからは命日の日は一緒に供養しましょう」
そう言いながらもキョンミは気が重たかったが一年に一度だけの事だし一緒にその日を迎える事で少しでもユノに対して罪滅ぼしが出来れば、と思った。
こうなれば死ぬまで嘘を貫き通そうとキョンミは決意した。
ジェジュンが言った言葉をユノは思い出していた。
ーユノ、これからは俺も一緒に祈らせてほしい。一人で苦しまないで・・・お前の哀しみ、苦しみ、痛みも全て一緒に分かち合いたいー
(ジジ、ごめん。命日はキョンミと一緒にいなくちゃ・・俺とキョンミの子供だから・・・)
ジェジュンはきっと
「うん、そうだね、そうした方がいい」
そう言いながら微笑むだろう。
寂しさをを内に秘めながら……
ユノはいたたまれなくなってそっと目を閉じた。