ー告解ーいつか何処かで116 | ユンジェとトンと私

ユンジェとトンと私

奇跡の5人の中から生まれた
もう一つの奇跡の花 ユンジェ
윤재곁에있을거야

ユノが寝室に入るとキョンミはベッドに座っていた。

 

「キョンミ、大丈夫か?」

「あまり大丈夫じゃないかな…」

 

キョンミはユノの腕を組んだ。

 

 

「寂しくなるな」

 

「本当に心配。なんだかんだ言ってても箱入り息子だからジヌは、軍生活に耐えれるかしら」

 

「大丈夫だ、きっと立派になって帰ってくるよ」

 

「ならいいけど、駄目ねーいつまでも子供扱いしちゃって」

 

「親からするといつまでも子供だと思うし心配だよ」

 

「そうね」

 

(いつもこうして父親と母親としてジヌの事で話合ってきて共に喜んだり心配したりしてきた)


ジヌの事に関してはジェジュンとは共有できない唯一の事だとユノは思っていた。

 

 

「キョンミ、結婚の事許してあげよう」

 

キョンミはユノの腕を離した。

 

「それは無理」

 

「どうして?少し早い気もするが俺はミレの事を気に入っている。明るくてバイタリティーがあって、きっとジヌと明るい家庭を築いていけると思うけど」

 

「・・・ジヌがあそこまで本気で付き合ってるとは思わなかった。兵役行っている間にどちらかが心変わりして、それで別れると思っていたのに」

 

「驚いた。君がそんなことを思っていたなんて…キョンミはミレの事を嫌いなのか?」

 

「あの子の才能を見抜いて私の一番のアシスタントに育てたのは私よ、ほかの弟子より特別にかわいがっているわ。娘のようにも思っていた。この子が本当の娘だったらどんなにいいかとも思っ。ミレの母親代わりになれれば、とも。だけど結婚となれば別よ。


キョンミは立ち上がった。


「うちに嫁に来るという事は社交界デビューもするし、色んなパーティーにもうちのグループの嫁として参加することになる。あんなに人見知りしなくてニコニコしていたら一般ならかわいいお嬢さんで済むけど財閥社会ではバカにされる。それに少しガサツね。気品がない。これは幼い頃から高級品に囲まれて良質な暮らしの中で育ってこそ自然と身に付くものなの。今からでは遅いわ」

 

キョンミが結婚してたらこんなにはっきりと自分の意見を語るのが初めてだったのでユノは少し驚いた。


「キョンミ、俺も一般の家庭の出じゃないか」

 

「男は経営能力の素質とカリスマ性があればいいと思うの。多少のガサツさも魅力の一つにもなる。私は容姿端麗なユノを初めて見た時、この人ならきっとアッパも気に入るって思ったの。そして私の目に狂いはなかった。ユノは私が思っていた以上に素晴らしい逸材だったわ。気品も段々と備わってきてるし、財閥育ちからは出てこないハングリー精神も魅力の一つだし」

 

(キョンミは俺を後継者候補としてふさわしいと思って選んだのか?だからあそこまで俺に執着したのか)

 

そんな理由だけではないということを長年一緒に暮らしてきてわかってはいたがユノは少し複雑な心境になった。


しかし、財閥の一人娘として育ってきて、常に幼い頃から父親にこの家にふさわしい婿を、と言われ続け政略結婚は絶対嫌だったと言っていたキョンミにとって、無意識に自分の婿にふさわしい人間を値踏みして見てきたのも必然的だったのだろうと思った。

 

育ちのよさ悪さ関係なしに育ってきた環境の溝はなかなか埋めれるものではないとユノは改めて感じた。

 

そうなるとミレも結婚したら苦労するのだろうか。

 

いずれか家を出ていく俺はずっと守ってあげられないし…

 

ユノはふっと力が抜けた。

 

(それはジヌが守っていかなくちゃいけないことだ。どうしても娘としてミレを見てしまう)

 

「ユノからも説得してちょうだい。両親が反対したらきっとジヌは考え直すはずよ」

 

「俺は反対しない。ジヌの意思に任せる」

 

「ユノ!」

 

「俺はいずれはミレがジヌのお嫁さんになってくれたらと思っていた。君たち二人も本当の親子のように仲がいいし、あの子が生きていたらきっとこうして4人で楽しく食事をしていただろう、と…キョンミもあの子の面影を探していたのだと勝手に思っていた」

 

「ユノ・・・もしかして・・あの子って?」

 

「俺のせいで生まれてこれなかった子供・・ミレとその子を重なってみていた」

 

ユノの言葉にキョンミの背筋が凍った。