住宅耐震化 部分改修では不十分 | ふるさとを守りたい、子供達の未来を守りたい

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熊本・大分での一連の地震を受けて、住宅耐震化への関心が高まっていますが、4月25日付愛媛新聞に関西大学社会安全研究センター長の河田恵昭氏が「熊本地震 進まない住宅耐震化 部分改修促す政策を できるだけ死者少なく」という記事を寄稿していました。


この記事では、住宅所有者の費用負担などがネックとなって、住宅耐震化が進んでいない問題を解決するために、間伐材で作ったパネルを住人がよく使う部屋(寝室、茶の間、台所)の壁にはめ込んで補強し、住宅が全壊しても、その部屋にいれば生存空間を確保できる「壁柱工法」の活用を促す政策が必要だという主旨のことが書かれていました。この工法は工事費が5万~10万円程度で他の耐震改修や建て替えと比べて安いという利点があり、年金生活の高齢者の住宅の耐震化を進めるのにも有効だとのことです。


しかし、私は住宅の部分改修は地震対策として不十分だと思います。なぜなら、補強した部屋が頻繁に使う部屋だったとしても、地震発生時に必ずしもその部屋にいるとは限らず、住人が瞬時にその部屋に避難できるとは限らないうえ、運よくその部屋にいて生存空間を確保できたとしても、住宅が全壊すれば自力での脱出は難しく、救助が必要だからです。しかも、救助される前に火災が発生した場合、生存空間が確保できたとしても命を奪われてしまいます。また、住宅耐震化は住人の命を守るだけでなく、住宅の倒壊による道路や鉄道の寸断により救助、消火活動や避難、救援物資の輸送、復旧・復興などが妨げられるのを防ぐという目的もありますが、部分改修ではその目的を十分に果たすことはできません。


政府の財政事情が厳しく、住宅耐震化への補助金などの予算を増やすのは困難なので、「壁柱工法」などの低コストの工法を活用するしか住宅耐震化のネックとなっている費用負担の問題を解決する方法はないと、河田恵昭氏は考えていると思われます。しかし、この認識は間違っています。


日本は経常収支黒字、100%自国通貨建て国債で、国債金利は史上最低水準を更新し続けており、政府の財政問題は全く存在しません。現時点(デフレ下)においては、政府が国債を発行して、必要に応じて日銀が国債を買い取って通貨を発行するかたちで財源を調達すれば、住宅耐震化への政府の財政支援の大幅拡充は十分可能です。また、デフレから脱却すればGDPが増えて税収も増加するので問題ありません。


住宅の部分改修を進めるよりも、住宅全体の耐震補強や建て替えへの補助率を大幅に引き上げるほうが防災・減災効果は大きいと思います。また、高齢者の住む住宅の耐震化が進んでいないのであれば、介護施設や保育園を併設したり住民同士の交流を活発にするような工夫をした集合住宅の建設を国の財政支援で進め、高齢者や子育て世代に低価格で販売、賃貸するのが有効な対策になると思います。しかも、これは介護、待機児童、少子化、孤独死など多くの問題の解決にもつながります。


耐震効果が高く、工期の短縮などにもつながるのであれば、政府は新しい耐震工法の活用を促進すべきだと思いますが、「壁柱工法」は工期の短縮にはつながるものの、道路の寸断を防止する効果が不十分です。「壁柱工法」よりも、特殊な繊維でできたベルトやシートを建物の柱などに巻きつけて補強する「SRF工法」や、木造で鉄筋コンクリート造と同程度の耐震性を確保できる「CLT工法」の普及を促進すべきです。



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