ボクサーの矜恃… | 城島充の物書き的日常

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を感じる試合でした。


長谷川穗積選手の再起第2戦。

メキシコの元オリンピアン、サントス選手とときにノーガードで

打ち合う場面も作っての判定勝利でした。

試合前に足を負傷していたらしいのですが、

「ボクシングを好きだという純粋なモチベーションだけで戦える」と

話していたとおり、ときに危険な場面にさらされながらも

ボクシングという競技の魅力を彼自身が味わっているような戦いでした。


「お客さん、喜んでくれてますかね」


ラウンド間のインターバルでセコンドにそう聞いたという長谷川選手。

「ノンタイトルやから…。もし、世界タイトルマッチやったらそんなこと聞きませんよ」

そう言って笑ってましたが、

かつてバンタム級のベルトを初めて巻いたとき

「僕は地味やから、一般の人に顔をしられるようになるには

10回ぐらい防衛せんとあかんでしょうね」と語ったのも彼です。


今、長谷川穗積はあのころとまったく違うステージにいます。


そのことを改めて感じさせてくれるファイトでした。




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敗者の控え室にも行きましたが、

モンティエルと戦い、1-2の僅差判定で敗れたこともある

サントスは「長谷川のほうがはるかにスピードがあって

やりにくい」と、話してくれました。

「モンティエルはラッキーパンチで長谷川に勝てたけど、

あのパンチがあたってなかったら、ひどく痛めつけられていただろう」と。


しかし、その一撃で人生が暗転するのがボクシングです。


その苦しみを味わってなお、ボクシングが楽しい―と言い切れる

長谷川選手の純粋な気持ちにふれた夜でした。