アラン・ロブ=グリエ『嫉妬』 | ぬめんちょ君、かく語りき

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実験的な小説が大好きです。このブログでも以前紹介しましたが、筒井康隆の諸作品や、イタリアの文豪イタロ・カルヴィーノ、2つ前に紹介したフォークナーなど、文学の定型をぶち壊そうといろいろな手法で試みている作家には、手放しでその努力を褒めてあげたいと思っています。

しかし、そのような実験的な作品は、その実験だけに頭が占領されてしまって、小説としてはあまり面白くないという事態が往々にして起きてしまっています。特に筒井康隆の作品は、安易にメタ・フィクションに逃げすぎていて、最初のうちはそれでも一定の完成度は保っていたのですが、後半になるにしたがい勢いを落して取るに足らない作品ばかりになってしまっている印象があります。

そんな中で、アラン・ロブ=グリエの仕事はかなり信頼できるといえるでしょう。どの作品にも、頭から足のつま先まで神経が行き届いていて、安心して(?)興奮することができます。特に好きなのが『嫉妬』です。この小説の主人公を敢えて挙げるならば、「妻が他の男と戯れることに嫉妬する夫」になるでしょうが、実際はこの夫は小説の中には登場しません。語り手であるのは確かなのですが、「視点」としてしか登場しないのです。ですから、この男性が妻とその浮気相手に抱く「嫉妬」という感情も、男性の内面的告白によって吐露されるのではなく、「視点の移動」によってのみ示されるのです。この発想と、その発想を実現しているテクニックには舌を巻きます。

この『嫉妬』は単行本が絶版になっているので、古本屋で手に入れるしかないですが、他の作品『迷路のなかで』、『覗くひと』などは講談社学芸文庫から出ていますし、最近は河出文庫から『快楽の館』が発売になりました。フランスのヌーヴォー・ロマンを思いっきり堪能したい方はぜひ!!

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