スターン『トリストラム・シャンディ』 | ぬめんちょ君、かく語りき

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文芸評論家や美術評論家の柄谷行人、絓秀実、浅田彰、岡崎乾二郎、渡辺直己や、小説家である奥泉光、島田雅彦が選定委員になって、新たな時代の教養のためのカノンとなる本を150作列挙した『必読書150』という本があります。

社会科学系から50、海外文学から50、日本文学から50、合わせて150作の中、海外文学の中にスターンの『トリストラム・シャンディ』が入っています。

彼らがそこまで奨めているなら是非読んでみようということで、古本屋を歩き回って見つけてきました。読んでみて、本当にぶっとぶくらいの衝撃を受けました!この小説、あらゆる手練手管を使って読者を翻弄してくるんですが、とにかくやり方がものすんごいのです。この作品は岩波文庫で全3巻あるのですが、中巻くらいまで主人公のトリストラム・シャンディは生まれていません。生まれる前の話をひたすら詳細に語っていくのです。そしてその語りの中でメインのストーリーから脱線に脱線を重ね、途中からもはや何がメインか分からなくなってしまいます。

その他にも本作はさまざまな仕掛けに溢れています。死の哀しみを表現するために真っ黒のページを提示してみたり、それまでのストーリー展開を線で表してみたり(山あり谷ありを視覚化してるわけです)、本当にやりたい放題なんですね。しかも、この作品は当時、まとめて発表されたわけではなく、分巻で順次発売されていったので、後半は「読者の反応や批評」をふまえて、批判に対する批判を小説内で繰り広げたり、といったメタ小説の恰好も見せています。この辺りは夏目漱石に影響を与えて『吾輩は猫である』にその陰がうかがえます。

普通の小説に飽きてしまった方がいたら、ぜひ読んでみると良いと思います。





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