大家業を生業にしている者の1人として、このニュースに触れないわけにはいかない
。
ニュース記事から事故の概要を以下に記す。
【アパートの階段が崩落】
・東京、八王子市の築8年の3階建アパート
・入居者の女性が2階に向かっていたところ、階段が崩落
・約2mの高さから落ちて、頭を強く打ち、意識不明の重体
・6日後の22日に外傷性脳挫傷で死亡
・警視庁の調べでは、階段の部品が腐食していた可能性が高いとみる。

まずは、入居者の女性におかれましては、大変気の毒なことです
。
本当に心が痛みます。ご冥福をお祈りいたします。
では、何の罪もない被害にあわれた入居者に対して誰が責任を持つのか![]()
答えは明白。
大家さん(オーナー)![]()
![]()
。
その根拠は、ずばり『無過失責任(むかしつせきにん)』。
無過失責任・・・損害の発生について、加害者(大家)の過失の有無(あるなし)に関わらず、損害賠償責任を負わせること。
この無過失責任があることを大家さんは常に意識していなければいけない
。(非常に厳しいものです
)
この制度は、被害者保護(救済)の観点から成り立っている。
責任の所在をたらいまわしにされたら、それこそ、被害者が気の毒。
万が一、大家さん(オーナー)がこの責任を知らなかったり、この責任を逃れようとしたりするようなことがあれば、厳しい言い方だが、『大家業をやめるべき![]()
![]()
』。
しかし、現実問題として、八王子のアパートの大家さんの立場になってみると、こちらも気の毒
。
<八王子アパートの大家さんの今後>
①被害にあった入居者に対して、損害賠償を負う。
②階段が崩落したことから、少なくても2階、3階入居者に対して転居費用等の負担を負う。
③心理的瑕疵により、このアパートの経営が非常に困難になることが予想される。
大家さんは、単に亡くなった方の補償をするだけではないことは明白。(心が痛みます
)
ここまでだと、大家さんは踏んだり蹴ったりのように思える
。
しかし、救いの手がないわけではない
。
今回のケースは築8年ということがキーワード。
以下の3つは宅建試験で勉強したこと。
・住宅瑕疵担保履行法
・住宅品質確保法の瑕疵担保責任
・資力確保の措置
簡単に言うと、新築住宅を引き渡してから10年は売主は責任を負う
。
※ マイホームだけでなく、賃貸アパートにも対象に含まれる。
構造上主要な部分について、損害賠償請求、解除、瑕疵補修請求ができる
。
このことから、八王子のアパートは築8年、また、階段は構造上主要な部分と言えるだろう。
したがって、売主(業者)に責任を問える
。
最後にまとめをする。
①大家さんは、亡くなった入居者について全責任を負う。(この責任は逃れられません)
②次に、売主に対して、損害賠償請求を求償する。
大家業をしている私としても、今回の事件をしっかりと受け止め、他山の石としたい
。