また全部の歯がつながっている... 本当に頭が痛い治療計画... | 隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

隠れキリシタンの島で隠れてない歯学博士 高﨑智也のスローライフブログ

歯学博士/長崎大学臨床教授/東北大学非常勤講師
手術用顕微鏡を全ての診療室に導入し、1本1本の歯を大切にします。
歯科衛生士と共に取り組む予防歯科。
裸眼では見えない噛み合わせの調整、痛みが少ない歯ぐき蘇り手術を行っています。

年末は、どこの歯科医院も何故か急患さんが増える。
痛いのを我慢していたりして、家の片付けをしていると、お口の中も綺麗にしたいと思うのかもしれない。

今日も午前に一人、午後に一人、お見えになられた。
急患と言っても、昨日までに予約を頂いていた方達だ。
当院は完全予約制なので、窓口に突然来られても、すぐに診れない事が多い。

子供が何らかの事故で歯を折った場合を除く急患の方は、空いた時間に来て下さいと伝えている。
今日のお二人、診せていただくと、頭を抱えてしまった...

全部の歯がつながっている...

20年前ぐらいに流行ったクロスアーチブリッジといって、義歯を回避し、ズラズラッと特に問題がなかった歯も治療して、つなげる治療だ。
義歯を回避出来るので、患者さんにとっても良いのだが、問題がある。

メインテナンスをせずに、そのまま使っていると10年を超えたぐらいから不具合が生じてくる。
そう、治療もしくは抜歯する必要がある歯と問題がない歯がつながっているのだ。
少し昔の文献になるが、

Long-term follow-up of cross-arch fixed partial dentures in patients
with advanced periodontal destruction.
Evaluation of the supporting tissues
Yi SW et al. Acta Odontl Scand.1995; 53: 242-248

長く持たせるにはメインテナンスが大切と書かれている。
そう、メインテナンスをしっかりすれば、決して悪い治療ではないと僕は思う。

そのため、当院でも、インプラントはしない、義歯もしたくないという患者さんで、条件が揃えば、患者さんに重々説明して、つなげる治療を選択する事がある。

さて話を戻すと、メインテナンスがされず、悪くなってしまった状態を改善していくのは、本当に難しい。
普通だったら、悪い部分だけのやり直しが出来る事が多いのだが、つながっている場合は、一部を切ってしまうと、一気に噛めなくなる危険性もあるからだ。

下手をすると、全ての歯が残せず、総義歯という場合もある。
70歳を越している方なら、そのような治療も受け入れてくれるが、50代、60代前半の方には、なかなか受け入れてもらえない事が多い。

症状が出ていない場合なら、歯周治療をしながら、じっくり治療計画を練れるのだが、症状が出ている場合は、本当に悩む。
歯だけではなく、全身疾患との絡み、年齢も考慮しなくてはいけない。

どんどん高齢化社会になる日本。
歯科治療も、どんどん困難になると西の端の小さな島で実感している。
そんな時代だからこそ、やり甲斐を感じる。

治療、メインテナンスをしっかりしていけば、間違いなく健康に寄与できる。
もともと茨の道が好きな生き方をしている。
そんな歯科医師と一緒に働いてくれるスタッフと共に、これからも精進を続ける。

明日、明後日はクリスマス休暇と称してクリニックは連休です。
キリスト教徒ではないのですが、メリークリスマス。


明日も皆様と共に、良い一日でありますように。