先日、日経平均の見通しで、ボリンジャーバンドの話をしたので、ちょっとボリンジャーバンドの説明を書いておこうと思います。

ボリンジャーバンド(ボリバン)とは
移動平均線に対して統計学で用いる標準偏差をプラス側、マイナス側にそれぞれ表示して中央の移動平均線からどれだけ乖離しているかを見るテクニカル指標です。
下のチャートでは、中央の紫の線が20日移動平均線
紫の線の上下にある黄緑の線が±1σ(シグマ)、その更に外側にある赤の線が±2σ、更に外にある水色が±3σとなります。
このバンドですが、統計学的には
±1σの範囲内に収まる確率、約68.3%
±2σの範囲内に収まる確率、約95.4%
±3σの範囲内に収まる確率、約99.7%
となっており、2σ以降については、高い確率でこの範囲に収まる数値となっています。

このチャートは日経平均の6カ月日足です。
6月末から7月中旬にかけて、日経平均は上昇していますが、ボリンジャーバンドを当てはめてみると、上側の赤の線(+2σ)に沿って上がり続けているのがわかると思います。
この2σを超えない範囲での上昇は比較的継続して上がり続けることが多く+2σに沿って上昇すること、または-2σに沿って下落することをバンドウォークと言いいます。
バンドウォークが出ている間は、一方方向の値動きが続きやすいので、一般的には順張りのサインですが、このバンドウォーク終了(+2σからろうそく足が離れて下落、もしくは-2σから離れて上昇する)を見計らっての逆張りの判断にも使えます。
上のチャートでも分かりますが、レンジの幅が狭い状態の相場が続いた後、どちらかトレンドが出ると、急にバンド幅が広くなりますので、値動きの大きな相場になりがちです。

次に、8月上旬の大きな下落があった時を見てみると、ボリンジャーバンド的には、丁度-3σで止まっていたことがわかり、それ以上の下落にはならなかったことがわかりますから、99%の範囲に収まったことがわかります。
ただし、こういったケースでは、-3σで止まって一時的に反発しても、悪材料が払しょくされなければ、その後-2σに沿ったバンドウォークが継続することもありますので、慌てて飛びつくのは危険です。
下落のバンドウォークも上昇のバンドウォークも、いったん終了した場合中央の移動平均線までいったん戻されることが多いとされていています。
これについても実際のチャートを例に見てみます。
下のチャートは日経平均日足を、今度は1年で見たものになりますが、年初の1月から3月にかけての部分を見ると、1月早々に上昇のバンドウォークが始まっているのがわかります。
2月頃に+2σを下離れてバンドウォークは終了しますが、中央の紫の移動平均線にタッチすると、再度3月にかけてバンドウォークが発生しました。
この例では上昇のバンドウォークでしたが、下落のバンドウォークについても同様の値動きになる可能性があるため、注意が必要なわけです。

個別銘柄で実践
さて、個別株のチャートも一つ見てみます。
下は高配当投資では割と人気なヒューリックのチャートです。
今週は株式売り出しによる需給悪化が材料視されて大幅安になりました。
売り出しが発表された翌日、株価は1300円ほどで寄り付いた後、1350円まで買い戻されて大陽線で引けました。
これも、ボリンジャーバンドを当てはめてみると1300円はマイナス3σを大きく下回る、明らかな下げすぎだったことがわかります。
当日陽線で引けた後、翌日も1350円付近で耐えています。
ボリンジャーバンド±3σは99パーセント、その範囲内に収まる確率だったわけなので、連日にかけて±3σを超えることは確率上非常に低く、短期のうちに範囲内の株価へ戻される可能性が高くなります。
ヒューリックのチャートは今のところそんなお手本のような値動きをしております。
当日、場中に見つけられた人は、デイトレに使えれば再現性が高かったと思います。
ボリンジャーバンドだけで長期での株価の変動は測れませんが、上記のように短期でのイン、アウトのし時を測るのには有効なテクニカル指標かと思われます。





