ファンダメンタルズ分析で、最近耳にすることが多くなったPBR。
これがなぜ今話題になっているかについてお話しします。
最近東証がPBR1倍割れの企業に対して是正勧告を出したことが話題になり、企業側もそれを受けて株価対策を始めたため、話題になることが増えたのです。

PBRの算出方法
PBRは日本語で株価純資産倍率と言い、その企業の株の価格が、その企業の純資産と比べて高いか低いかを表したものになります。
具体的な計算方法は以下となります。
PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)
となり、1を超えると純資産よりも高い株価で取引されている状態、1を割ると純資産よりも安い株価で取引されている状態です。
ちなみにBPSは純資産÷発行株式数となります。
(以前紹介したEPSの純資産バージョンと言ってもいいですね)

PBRを使った株の割安の判断
例えば、ある企業の本社ビルやら工場設備やらの資産の評価額が100億円だったとします。
そして、もし、その企業の株の時価総額が50億円だったとします。
この場合、企業の資産の価格の半分の株価にしかなっていません。
であれば、会社を解散して全ての資産を売却し、株主に返却してしまえば、株主は持っていた株は紙くずになりますが、企業の共同オーナーと言える株主は、売却した資産を受け取る権利があります。
そしてこのケースなら、50万円分の株を持っていた株主は、100万円分の現金を理論上受け取ることが出来ます。
ゆえにPBRのことを別名、解散価値と呼ぶこともあります。

実際の企業で計算
日本製鉄を参考に、PBRを見てみます。
BPS:5187円

なぜPBR1倍割れは是正が必要か?
所で、なぜ東証はPBR1倍割れ企業に是正勧告をしたのでしょうか?
そもそも株式会社は、株主から出資を募って企業を経営します。
企業の持つ本社ビルも、工場も、株主に出資をしてもらって作り、企業活動するために所持しています。
それらを利用して生み出した利益を得るために株主は出資をしているわけです。
しかし、PBRが1倍を割るということは、株主から見た場合に、その資産を利用して利益を生みだしてもらうより、全ての資産を売り払ってしまうほうが出資額の回収になりうるということです。
いい方を変えると、利益を生み出すことが出来ない企業だと市場から思われているから、株価が(PBR1倍以下の)安値に放置されているということです。
ですから企業は、利益を増やすなどして企業の価値を高め、それに伴って株価を(PBR1倍以上まで)上昇させる必要がある、と、東証は言っているのです。

PBRを基準とした株の見極め
PBR1倍割れの企業がやり玉に挙げられたことで、多くの企業が1倍割れ是正に乗り出しました。
すなわち、株価上昇のための対策を講じ始めました。
これには収益改善策もあれば、増配や自社株買いなどの株主還元などの施策も含まれます。
今後もPBR1倍割れ対策に力を入れ始める企業が増えるという思惑から、PBR1倍割れ企業を先回りして買う向きもあります。
ただし、PBR1倍割れ企業には、ただ単に株価対策を怠ってきただけの中身は優秀な企業もあれば、過去の遺産としての資産が大量にあるだけの斜陽産業なため、PBRが大きく1倍割れ手している企業もあります。
そのため、PBRが割安というだけで買いの判断をするのはあまり筋がよくありません。
企業の価値は、基本的にはその企業がどれだけ稼げるか?にかかっています。
ですから、EPSやPER、ROEなどの企業の稼ぎがわかる指標をベースに稼げる企業を洗い出し、その中からさらに割安な企業を洗い出す、などの使い方にPBRを用いるとよいでしょう。
とすると、上記の日本製鉄は果たして、良いPBR1倍割れ企業でしょうか?それとも悪い1倍割れ企業でしょうか?
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