知財アラカルト

医薬、バイオ、食品、化粧品、一般化学、高分子などの化学系分野に関する知財判決(主として特許と商標)や知財報道を取り上げ、その要点をコンパクトにまとめると共に、その要点についてコメントを付し、皆様方のお役に立つような情報として提供していきたいと思います。


テーマ:
平成27年(2015年)4月13日知財高裁3部判決
平成26年(行ケ)10179号 審決取消請求事件
平成26年(行ケ)10190号 共同訴訟参加事件

原告:リポコン、参加人:バイオエナジー ライフ サイエンス
被告:特許庁長官

 本件は、基本的には拒絶査定不服審判の不成立審決に対する取消訴訟ですが、2者の共同出願に係る審決取消訴訟において、
訴状の記載から1名が欠落した状態で提訴されたため、欠落した出願人が提訴期限を過ぎてから当該訴訟に参加の申出を行ったことで、固有必要的共同訴訟の問題は治癒し、当該訴訟提起は適法なものとなるか、また当該参加の申出は適法か、について争われた事件です。知財高裁は、結局、両方とも不適法と判断しました。(しかし、取消事由の有無は審理され、取消事由なしと判断されています。)
最高裁HP:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=85046

(1)事件の概要
当初、原告のみで、発明の名称を「心血管の機能を向上する為の組成物及び方法」とする発明について特許出願されました。その後、参加人に、特許を受ける権利の一部が譲渡され、当該出願は共有となりました。
②当該共同出願は拒絶査定となったことから、原告と参加人は共同で拒絶査定不服審判を請求しました。しかし、それも実らず、両名を名宛人とした拒絶審決が下されました。
③そのため、原告らは、当該拒絶審決の取消を求めて知財高裁に提訴しようとしたのですが、判決の事実認定によると、代理人の過誤により、原告の名称のみが記載された訴状が提出されました。
④そのため、参加人は、提訴期限を9日過ぎてから、参加の申出を行い、固有必要的共同訴訟の問題をクリアーしようとしました。しかし、以下のように結局ダメでした。

(2)裁判所の判断
①参加申出の適法性
 裁判所は、まず、次のように判示して、参加人
本件申出は不適法と判断しました。
1)民訴法52条に基づく参加申出において、共同原告として参加する第三者は、自ら訴えを起こし得る第三者でなければならないと解されるから、出訴期間の定めがある訴えについては、出訴期間経過後は同条による参加申出はなし得ないものと解するべきである(最高裁昭和35年(オ)684、同36年8月31日判決)。
2)特許法178条4項は、審決取消訴訟の出訴期間を不変期間と定めている。もっとも、不変期間であっても、参加人の責めに帰することができない理由で出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったときは、一定期間内に追完することができる(行訴法7条,民訴法97条1項)。
 しかし、本件においては、本件申出は、出訴期間経過後になされたことが明らかであるところ、参加人において出訴期間内に訴訟の提起をなし得なかったことについて、その責めに帰することができない事由があったとは認めることができない
②本件訴えの適法性
 裁判所は、次のよう判示して、本件訴えも不適法と判断しました。
1)共有に係る権利を目的とする特許出願の拒絶査定を受けて共同で審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、上記共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するべきである(平成7年判決:最高裁平成6年(行ツ)83、平成7年3月7日判決)。
2)固有必要的共同訴訟において、共同訴訟人となるべき者が脱落している場合であっても、民訴法52条により脱落者が共同訴訟参加人として参加すれば、必要的共同訴訟における当事者適格の瑕疵は治癒されるものと解される。しかし、本件申出は不適法であるから、本件においては、当事者適格の瑕疵を適法に治癒するものと解することはできない。
3)また、原告・参加人は、本件と同様に、別の拒絶査定不服審判不成立審決において、出願人の1名が欠落した訴状を提出し、期限後に欠落した出願人が参加を申し出た結果、瑕疵は治癒し、適法となったと認められた知財高裁判決(平成17年(行ケ)10069号、平成17年(行ケ)10087号)を持ち出し、またその判決や商標無効審決の取消訴訟等について類似必要的共同訴訟とした最高裁判例から平成7年判決の理論は見直されるべきと主張しましたが、裁判所は認めませんでした。

(3)コメント
①本件参加申出の適法性と本件訴えの適法性に関する今回の裁判所の判断は、同様な事実関係にある平成17年の上記知財高裁判断と真逆であると思いました。今回の判断の方が、平成7年の最高裁判例に忠実に従っているように思われます。
 ただ、今回の事件は、第三者には特に影響せず、また全くの手続的ミスで発生したものと思われますので、心情的には何とかならないのかなと思いました。無効審決取消訴訟のように、拒絶査定不服審判の不成立取消訴訟を類似必要的共同訴訟と考えることは難しいかもしれませんが、別の理論構築が望まれます。
②今回の裁判所判断は、平成17年の上記知財高裁の判断と異なりますので、最高裁に上告すれば、ひょっとすると受理され、新たな判断が示されるかもしれません。
 しかし、仮に最高裁が今回の知財高裁判断を破棄し、本件の参加申出等を適法と判断しても、肝心の取消事由について、知財高裁は「無し」と判断していますので、結局のところ、拒絶審決は確定するものと思われます。従って、本件参加申出の判断等について最高裁に上告する実益がどこまであるかは疑問です。最高裁がどのように判断するかは興味深いですが。
③本件訴えが不適法であれば、拒絶審決の取消事由の有無について裁判所は審理する必要が本来ないのかもしれません。しかし、本件では審理され、「無し」と判断されました。
 単に手続的な問題で門前払いにせず、実体的なところ(取消事由の有無)も審理され、その結論を表明されたことは、悪くないと思います。手続ミスをした代理人も一応面目が立つかと思います。
 しかし、仮に取消事由「有り」との心証の場合にもその結論を表明されるのか、興味があります。また、仮に取消事由「有り」でも、訴えそのものは不適法ですから、やはりその審決は取り消されないのでしょう。そうすると、手続ミスをした代理人は浮かばれませんね。

以上、ご参考になれば幸いです。
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