ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

ひさびさに脳外科っぽいテーマを書きます。

 

お題は脳動脈瘤なのですが、

実は中年以降になると、だいたいクラスに1人か2人くらいの割合で、

MRIなどを撮ると脳動脈瘤が見つかると言われています。

 

脳動脈瘤が破裂してクモ膜下出血を起こすと、

生きるか死ぬかの重篤な状態になりうることは以前の記事でも何度も書いたことではありますが、

 

一方で動脈瘤というものは、通常は破裂しないかぎりはあまり症状を起こしません。

 

場所によっては、瘤がおおきくなることによって、

神経への圧迫をおこし、物が二重にみえるなどの症状を起こすことがありますが、

 

そうでなければ、多少、動脈瘤があろうとなかろうと、

特に痛くもかゆくも、なんの症状もないのです。

 

症状がでるのは破裂したときだけです。

 

破裂の確率は動脈瘤の場所や大きさ、形によります。

 

だいたい、平均的な動脈瘤ですと、年間1%くらいの破裂率、

というように説明することが多いですが、

 

場所がA-comやIC-PCと呼ばれる場所であったり、

サイズが7mmを越えて大きかったり、

こぶの中にこぶがある、つまりblebがある場合や、

動脈瘤が多発している場合なんかは破れやすいと言われています。

 

また、増大傾向の動脈瘤はもちろん、

危険なサインと言えるでしょう。

 

こういう情報をいろいろ総合して、

 

これは年間3%くらいは破れそうだな、とか、

これはめったに破れなさそうだ、とか、そういった印象をわたしたちは持つわけです。

 

統計的なデータを背景とした動脈瘤の破れやすさの印象で、

治療を勧めるかどうかを決めています。

 

また、一応、日本のガイドラインでは5-7mm以上のものは治療を勧めてよい、というようになっています。

5mm未満であっても何か症状を起こしている動脈瘤は先ほどのA-comという場所の動脈瘤とIC-PCという場所の瘤や、不整形の瘤やblebのある瘤についても治療を勧めるとなっております。

 

治療方法は開頭クリッピング術と、

カテーテルによるコイル塞栓術があるのですが、

 

いずれも、瘤が破裂しないように、ということで行う、

いわば予防的な治療です。

 

クリッピングでは、瘤の入り口を閉じることで破裂を予防し、

コイル塞栓術では内部を金属で詰めることで、血流を遮ることで破裂を予防します。

 

治療法は2つあるにしろ、

これらの治療の目的はたった一つ、

 

瘤を破裂させない、ということになります。

 

大きな瘤の場合には脳神経や、場所によっては脳幹を圧迫することもありますから、これらについては、動脈瘤をそれ以上大きくさせない、というのも治療目的になるでしょう。

 

よって、

これらの目的さえ達成できれば、

治療は成功と言えます。

 

もちろん、本来、瘤が完全に消えれば、

また瘤が再発するリスクはその場所に関してはほぼゼロと言えるので、

一番気持ちがいいのですが、

 

ただ、一方で、多少瘤が残った、もしくは完全に閉塞しなかったとしても、

それがもう大きくもならずに変化しないということであれば、治療としては十分なのです。

 

なぜなら、動脈瘤はあるだけでは特に症状もないからです。

 

つまり、未破裂脳動脈瘤治療においては、現状維持で十分と言えます。

 

たとえば、無理にリスクをとって動脈瘤を完全につぶしきる必要があることは少なく、

そのために脳梗塞がおきて後遺症が残る、というようなことはあってはならないということになります。

 

多少、甘めの治療であっても、

トラブルや後遺症は残さないというのが大切になります。

 

完全なクリッピングやコイル塞栓術でなくても、破裂予防としては十分な場合もありますし、

そのまま瘤が破れずにずっと変化もしないということも、往々にしてよくあるからです。

 

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