しばらくぶりの更新になります。 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

ここのところ、長い間ブログの更新が滞っておりましたが、

また定期的な更新を再開したいと思います。

 

さて、

ここのところのビッグニュースといえば、とにもかくにもトランプ大統領ですね。

先日アメリカに行っていた際にも、現地のニュースもこの話題でもちきりでした。

 

そのトランプ大統領、就任直後からTPPの離脱とオバマケアの見直しを宣言し、

さっそく開始したようですが、

 

このTPPが日本の医療にどのような影響をもたらそうとしていたのかについて、

ちょっと気になることを書こうと思います。

 

まあ、政治的なことは本分ではないのですが、

こういった大きな流れは必ずあとあと末端の我々一医療人から、

患者さん一人一人にまで影響を及ぼすであろうことですので。

 

日本やアメリカを含めてTPPという太平洋を囲む多くの国々の自由貿易の枠組みとして、

TPPへの参加が日本でも承認され、進められていました。

 

これは、要はお互いの国で貿易の際にさまざまな物に関税をかけているところを、

それを出来る限りなくしましょう、というようなものと把握していますが、

 

たとえば日本ではアメリカに車や電化製品などを今より低い関税の環境下で輸出できて、

商品の競争力が上がるという反面、

農作物などは海外から安いものがどんどんと入ってきて、国内の農産業がダメになる、

というようなことでしたよね。

 

これが、一番テレビやニュースなどでも強調されていたことと思いますが、

 

実は、アメリカでTPPを一番推進してきた業界はなんだったか知っていますか?

 

それは、医薬品、医療機器、保険業界の企業なんですね。

 

これはなぜか、というと、

彼らはTPPによって儲かるからなんですよ。

 

だから、彼らが議員や議会に働きかけて、TPPをやりましょうと押してきた。

 

もちろん、オバマ大統領なんかはそれが主な目的ではなくて、

中国に対抗するアメリカ主導の経済圏をつくるためにTPPを進めてきたんでしょうが、

製薬会社なんかからすると、彼らは彼らの利益のために働きかけをしてきたわけです。

 

アメリカにいってテレビをつけていると、

日本と比べてはるかに医薬品のCMが多いことに気づきます。

 

逆に日本みたいにソフトバンクやauなど、携帯通信会社のCMなんてあんまりみませんでした。

 

つまり、それだけ製薬会社などの力が強い、資本が強いということなんですね。

 

事実、GDPに占めるアメリカの医療費の規模ってどのくらい多いか知っていますか?

これはアメリカのGDPの約2割に達し、日本の医療費総額の6倍です。

 

高齢化のあおりなどを受けて、

国家予算の約半分を社会保障と医療に費やしているのが日本で、

医療費はついに41.5兆円になったと騒がれていますが、

 

アメリカではさらにその6倍なです。

人口が約2倍としても、一人当たりの額にすると3倍です。

 

ただ、全アメリカ国民が日本の3倍のお金のかかった医療をうけられているかというと、

そうではなく、

一部の富裕層が最先端医療に医療に多大な額を支払っている一方で、

大多数の人は必要十分な医療を受けるために借金をしたりしている、というのが実情のようです。

 

とにもかくにも、

アメリカの医療業界というのはそれくらいの金額を動かしているわけですね。

 

そんな巨大資本の彼らがTPPで何を狙っているか?

というと、

 

日本や他国の医療制度をアメリカ化して、

医療支出を大幅に増やし、儲けようとしているのです。

 

でも、日本は医療費が年々増えていて限界なのに、

どうやって増やすの?と思う人も多いでしょう。

 

もちろん、現在の国民皆保険制度ではもう限界でしょう。

これ以上税金という財源だけで医療費をどんどん増やしていけるはずはありません。

高額な医療については、公的保険の外にしてしまおうということです。

 

つまり、国民皆保険下の公的保険で、

いままでのように3割負担で受けられる医療の範囲を狭めることで、

国としては医療費を抑制しつつ、

 

一方では保険外の高度な医療については個人個人で料金を払う、

もしくは高額な保険会社の保険に入るなどして、なんとかしてください、

というものです。

 

金持ちからは最先端の医療を提供するかわりに、今の国民皆保険制度下と比較したら比べ物にならないような金額を自分たちに払わせる。

 

これが、巨大資本の描く未来の日本の医療です。

 

その結果、医療全体が高額化して、多くの国民は必要十分な医療を受けるのにも、必死に金策をしなければいけなくなる。貧しい人は最低限の医療しか受けられない、となってしまいます。

 

高額な抗がん剤、最先端のカテーテル治療、除細動器などの埋め込み型デバイス、

これら数十万から数百万の費用がかかるような先端的な薬剤や医療機器については、

全て公的保険外となるかもしれません。

 

もしくは公的保険では、どれも型落ちの安いものしか適応とならなくなるかもしれません。

 

あれ、

でも、それってTPPで向こうの企業が狙っていたことでしょ?

トランプ大統領でTPPがなくなったら大丈夫じゃないの?

 

と思う方は多いかもしれませんが、それは大きな間違いです。

 

トランプ大統領は就任演説でも何度も繰り返していたように、

America First ! と繰り返していました。

 

日本に対しても貿易不均衡を目の敵にしており、

しかもビジネスマン大統領と揶揄されています。

 

トランプ大統領のアメリカはTPPは離脱する反面、

アメリカに有利な形のFTAを日本に要求する可能性があります。

 

日本の政府がトランプ政権に対して臣下の礼を示すような形で、

その方向に梶を切れば、

FTAの元で上述のような巨大資本のための医療改革が進んでいく可能性は低くありません。

 

日本の政府としても、

税金からの医療費の支出は減るわけですからね。

 

いわば、日本の政府もアメリカもアメリカの医療にかかわる巨大企業も、ある意味では、

win winなのです。

 

その結果として困るのは医療に多額のお金をかけざるをえなくなる国民全体ということになりますね。

 

遠くない未来、

どのような医療制度になっていくのか、気になります。

 

 

 

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