ズルい外来診療の儲けのカラクリ&実例 再診料と管理加算 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

前回の続きとして、


「ズルい外来診療」について、掘り下げていきましょう。


薬の継続処方が必要なだけの安定した患者を、


たとえば2週間おきであったり、1か月おきに頻繁に通わせることは、


病院が儲けるためのズルい外来診療だと前回書きました。


発売後1年以内の新薬にかぎって、たしかに2週間までしか処方できないというルールはあるのですが、

実際にはそれ以外でもあえて短めにしか処方しないようにしている病院はあります。



これはたくさん患者を通わせることで再診料を稼ぐという仕組みになっています。



投薬が主目的の外来であれば、


3か月おきであれば年4回ですむところ、


1か月おきとなると年12回、


2週間おきとなると年24回も受診が必要となります。



つまり、3か月分薬を処方した場合と、2週間おきの場合では、


年に20回もの受診回数の差が出てくるのです。



さあ、


それではこれが金額としていくらくらいになるのかを計算してみましょう。


通常の診療所や200床以下の中小病院の場合、


再診料というのは720円となっています。



ただ、実際にかかるのはこの再診料だけではありません。


病気を外来で管理しているという名目で、「外来管理加算料」というものが上乗せされます。


これは、520円です。



この2つを合わせると、実際、再診には1240円かかることが分かりますね。



さらに、これだけではありません。


「特定疾患療養管理料」としての「指導管理料」いうものがあります。


これは、


結核、がん、甲状腺機能異常、糖尿病、高脂血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳梗塞、慢性気管支炎、喘息、胃・十二指腸潰瘍、慢性肝炎、慢性膵炎など


の病気の外来管理について月に2回までに限り、適応される加算です。


ここに、高脂血症や高血圧が含まれていることがわかりますね。


また、たとえば脳に関わる診療科では、脳梗塞が含まれています。



これらの病気の患者の外来診療では、診療所の場合、


上記の再診料と外来管理加算に加えて、2250円が追加されます。



この金額は入院ベッドが100床未満で1470円、100-199床の病院で870円と、

病院が大きくなるにつれて下がるのですが、

開業医の診療所など、小規模の病院では2250円となっています。


つまり、


たとえば、診療所では高血圧の患者が1回外来にくるだけで、


「再診料」+「外来管理加算」+「特定疾患療養管理料としての指導管理料」 で、


720 + 520 + 2250 = 3490円になるのです。



これが年間20回分違ってくるとすると、


69800円、つまり、七万円です!



患者一人につき、同じ薬を処方するだけでも、


2週間おきにこさせるか、3か月おきにこさせるかだけで、


七万円の収入の差になります。


患者が100人いれば、七百万の差です。



短い期間分の薬しか処方したがらない診療所がある理由がわかるような気がしませんか?

同じことをしていても、

薬を出す量を減らすだけで、こんなにも収入が違うのですから。


ところで、


200床以上の大病院となると、この計算は大分変ってきます。


なぜかというと、

「外来管理加算」も「特定疾患療養管理料に関する指導管理料」も取れないからです。


つまり、この2つがゼロなので、200床以上の病院では再診料730円だけになります。


かなり違いますよね。

診療所では3490円の収入になるものが、

大病院では730円にしかならないのです。



これは、なるべく大病院では外来再診を診ないようにして、大病院の負担を軽減させるように仕向けるという国の方針の結果ですし、


まあ、ある意味、小規模の診療所や病院を助ける方策なのでしょう。


そもそも、大病院に勤めているのは私みたいな勤務医ですから、

外来の収益や病院の収益が直接自分の給与に響くわけではありませんし、


大病院では勤務医は状態が安定していれば、逆になるべく長い期間の分の薬を処方しようとします。


外来はそうでなくとも混んで大変ですし、

処方だけのための外来は少ないに限りますから。


さてはともかく、


診療所などではあえて少な目にしか薬を処方しない理由が、ここまででご理解いただけただろうとは思います。


多くは収益のためなのです。


診察の回数が多ければ、

それだけ小まめに管理できる! というような理屈もあるでしょうが、


実際はほとんど状態の変わらない患者に薬を出しているだけ、というのが大部分なのですから。


患者の負担としては、


診察に毎回行く手間、交通費、時間 に加えて、


上記金額の1-3割分の負担があります。


3割負担の方であれば、年間4回と24回の受診では、7万円の3割として、約2万円の支払いの差が生まれることは言うべくもありません。


1割負担の高齢者ではそれでも7000円程度の差ですが、


そもそもは国民全体の税金から成り立っている医療費から支払われていることを忘れてはいけません。


得をしているのはその医療機関だけなのです。


まあ、

とはいえ、


実際には患者のなかにも1か月に1度は診てもらうと安心、という方も、

半分もいないにしても何割かはいらっしゃいますから、


なんともいえないところもあるのですが、


そうではなくて、


「状態も安定しているのに、特にたいした診察するわけでもなく、薬をもらうためだけに頻繁に病院に通っている」


という方がいらっしゃったら、長期処方を希望するべきとも思います。


もし何か体調の異変があったら、そのときはそのときで病院に行けばいいだけなのですから。



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