12月中旬に発表される芥川賞・直木賞候補作に備えて(?)
こないだ文庫化された第157回直木賞受賞作を手に取りました。

佐藤正午さんの『月の満ち欠け』。
この作品は「熟練の小説」と選考委員に絶賛され、
異例の「岩波文庫的」文庫化を果たしました。
(「的」とつくのは、岩波文庫のポリシーから外れるかららしいです)

この物語はあらすじを細かく言ってしまうよりも「とにかく読んでみて!」と言いたくなる種類の物語です。

だからあんまりあらすじを語りたくないのですが、でもざっくりと言うならば
この物語は「生まれ変わり」の物語なのです。

でも、この物語が「生まれ変わり」を題材にしたものだとはすぐわかりません。

物語のはじめに大きな謎があって、それがすこしずつ紐解かれていき「生まれ変わり」に行きついていく、そんな流れで物語は進みます。

生まれ変わりという題材って漫画やアニメの設定でかなり使われているイメージがあって、ありふれた題材なのに直木賞…?と読みながら困惑しました。

ですが、すべて読み終わって納得。

この物語は「生まれ変わり」の物語を"共有"している人たちが織りなす、壮大な愛の物語でもあったからです。

それがどういうことかを説明すると本当につまらなくなってしまうので感想文がとても書きにくいのですが…笑、

この物語を読んで、「信じる」ということが「愛」なのだ、ということを強く感じました。

「信じる」って言うのは簡単ですが、やるのは難しいことです。

なぜなら自分の中の「不安」や「恐怖」が自分を追い立てて、相手や自分を疑おうとしてしまうから。

疑うこと自体は防御本能にのっとった健全な行動です。

ですが、距離の近い人間同士で疑ってしまうとまぁ~ややこしいことになってしまう。

この物語は「信じる」ということの厄介さとややこしさを見事に書き尽くしていました。

そしてもうひとつ感じたのが、会いたい人に会えないことのつらさ。

会いたいときにいつでも会える、とわたしたちはつい錯覚してしまいます。

でも、大人になればなるほど「会いたいときに会う」が難しくなり、疎遠になってしまう人がたくさん出てしまいます。

わたしは今年、「突然の別れ」を初めて経験し、「会いたいときに会える」と当たり前のように思っていた自分に強い衝撃が走りました。

過去のことをどれだけ反省しても、悔やんでも、時間はもう戻りません。

「会いたい」と感じた瞬間に即行動しなければ、とてもつらいことになってしまうかもしれない。

そんな思いがあり、わたしは今年「やらない後悔」をしない、と決意しました。

この物語を読んで、会いたい人に会いにいきたくなりました。

大きな謎と愛と切なさと苦しみと悲しみと巧みな物語構造が詰まった直木賞受賞作でした。


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