こんにちは!
平成最後の日!

平成最後の日は、実家のある北海道に帰省しています。
実家でのんびり本を読みながら新しい時代を迎えたいと思います。

さて、今日は昨日のブログで言っていた超大作の感想です!

超大作とは
三島由紀夫『豊饒の海』全四巻!





暁の寺暁の寺
724円
楽天



昨日のブログにも少し書きましたが
いやー大変でした!笑


読書会がなかったら絶対に挫折してました。
やっててよかった読書会。

そして、学生の時に読んでおけば良かったと心から後悔しました。。
物語のキーワードのひとつが「20歳」で、自分が20歳のときに読み終えておきたかったです。

とはいえこれぐらい年と経験を重ねないとわからなかっただろう描写もたくさんありました。

この物語を読み終わって感じたのは

自分はこれからどう生きていたいか?
そしてどう死にたいか?

という死生観の問いでした。

20歳ではそんなこと考えもしなかったから、きっと放り投げてしまっていただろうなぁ。

わたしごとですが、結婚して30代に差し掛かるいまこそ考えるべき絶妙な問いだったように思います。
そういうタイミングもあり、さらに深くのめり込んで読めた物語でした。

さて、そんな『豊饒の海』のあらすじですが、先述の通り四巻構成の物語で、それぞれ「主人公のような存在」が登場します。

「第一巻 春の雪」では、やんごとなき家柄に生まれ育った松枝清顕(まつがえきよあき)。

「第二巻 奔馬(ほんば)」では戦争で不穏な空気が漂う日本の行く末を憂う剣道青年・飯沼勲(いいぬまいさお)。

「第三巻 暁の寺」ではタイ王室のお姫様・月光姫(ジン・ジャン)。

「第四巻 天人五衰(てんにんごすい)」では灯台守をする少年・安永透(やすながとおる)。

松枝清顕は叶わぬ恋情に、飯沼勲は純粋な心に、ジン・ジャンは肉体に、安永透は「見る」ということに執着するさまが描かれます。

彼らは生まれたところも時代も違うのですが、あるひとつの事象でつながっていました。

それは「背中に3つ並んだほくろがある」ということ。

そのほくろは、彼らが松枝清顕の「生まれ変わり」だとする証拠として働き、ほくろを見つけた瞬間に壮大な世界観の物語が動き出します……。

そのためには松枝清顕の生まれ変わりを証明できる「立会人」のような存在が必須です。
その役割を果たしたのが松枝清顕の友人・本多繁邦(ほんだしげくに)。

本多は清顕の恋の手助けをしたり、勲の純粋で危うい心を守ろうと画策しますが、彼らは自分の「使命」とも言うべき思いを全うし、20歳という若さで亡くなってしまいます。

第一巻では松枝清顕と同い年の青年だった本多は第四巻では80代になり、自身の人生をかえりみつつ自分の身の回りで起こった「輪廻転生」という事象の総括をしようとしますが、物語は思わぬ方向へ進み、わたしたち(読み手)の足元も掬われます。

この物語はなんといってもラストが衝撃的です。
突き放されたようなラストにわたしたち読み手はいったん呆然とします。

わたしたちに残るのは、物語で語られなかった謎と、喪失感と、読了までにかかった時間の経過なのです。

さらに、この物語は著者自身にとっても大事な作品でした。
三島由紀夫はこの物語を書き上げたのち、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺をするからです。

『豊饒の海』とはなんだったのか?
三島由紀夫が命を尽くして書き表したかったことはなんだったのか?

この物語を読み終えると、このことについて誰かと議論をしたくなります。
まさに読書会の課題図書にぴったりな作品だったのです。

というわけで今回の読書会では『豊饒の海』の感想を共有しながら、謎についての言及やこんな物語として読めるのではないか、というような議論を交わしました。

わたしがこの物語を読んで感じたのは、先述した「死生観」への問いと、「確固たるもの」を持たないもののむなしさと「老い」への嫌悪感でした。

この物語で「立会人」的な役割を果たした本多は理性的な人間で、生まれてから何かに執着をしたことがありませんでした。

その理性的な能力によって本多は裁判官、弁護士の道へ進み、晩年には莫大な富を得ます。しかし本多は一貫して「見る」側の立場に立ち続け、彼らの人生を追い続けるのです。

「確固たるものをもたない」もののむなしさがはっきりあらわれるのは本多が老いてから。

衝撃のラストでむなしさは極まり、「生き続けること」への疑問をわたしたちに投げかけます……。

何度も言っているように、この物語の世界観があまりにも壮大すぎるため、理解の及ばない箇所がいくつもありました。

自分の死生観すら未だにはっきりと答えられません。

ひとつだけ言えるのは
後悔したくないということ。

新しい時代になっても引き続き学びの姿勢を忘れずに、一歩ずつ着実に生きていきたいです。

そして焦らないで生きていきたい。
年を経てからいきなり理解が及ぶこともきっとあると思うので。

以上が『豊饒の海』初読の29歳の自分の感想でした。


ここで番外編ですが……
タイムリーなことに、鎌倉文学館で『豊饒の海』の展示が行われているということで、昨日は読書会がてら鎌倉まで文学散歩をしてきました!

鎌倉文学館は、松枝清顕の別荘のモデルとなった建物です。


空気がきれいで、建物も美しくて、椿が一輪だけ咲いているのがなんとも言えない風情を醸し出していました。


展示では自筆原稿や創作ノート(20冊以上あるそうです)を見ることができて、入場料500円でいいの!? と思うくらい大満足の内容でした!!

図録も800円(税抜)と大変お得でした(美術展とかだと2,000円くらいしますよね)。

とても充実した連休序盤でした。
それではまた更新します!!


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