生活保護費の不正受給が話題になっているが、最近、知り合いから「生活保護費を不正受給している。生活保護を受けていながらギャンブルに興じている。」とのタレこみがあった。このような後ろ向きの案件はとても嫌なものだが、私も仕事だから対応しなければならない。

 大方はパチンコか競馬かと思いきや、宝くじだった。本人にも会った。よぼよぼのおじいさんだった。何でも日々の生活をやりくりして、月に一万円近くを宝くじに費やしているとのこと。当然のことながら、大当たりなどない。

 本人いわく。「もうこの歳で、これから仕事を頑張っていくこともできないし、この状況から抜け出すためには、もはや宝くじで大金をつかむしか道はない」とのこと。

 そんな話を聞いてると、何だか、とても侘しくなってきた。


 私は、「合法とはいえ宝くじもギャンブルの範疇に入るので、たまに年末ジャンボとか買って、ささやかな夢を持つのは良いが、あまりに大量に買い込むことは道義的にどうかと思う。あえて厳しく告発する気はないが、せめて他人に知れるような極端なことは、これからはやめて欲しい。」と穏当に説明した。


 しかし、よくよくこの話を考えてみれば、かなり悲惨な話だ。そもそも宝くじの期待率なんて50%くらいだ。つまり人々の全購入金額の半分は、胴元としての国や自治体に入っていく。

 行政から受給している生活保護費のうち、毎月一定額が再び行政の方に戻ってきているわけだ。そう考えると、あまり目くじらを立てる問題ではないのかもしれない。


 だいたい、ささやかな生活を切り詰めて、毎月1万円も宝くじを購入すること自体が、愚かな行為と言えよう。

 一年間やそこら、宝くじを買わないで小金を貯めていれば、強い円のもと[憧れのハワイ旅行」ですら可能だというのに。夢を追うのも良いが、生涯の思い出としては、そちらの方がよっぽど楽しいと思うのだが。