チェジュ島の8時間。 | 若き親友への手紙

チェジュ島の8時間。

さて、ソウルの金浦空港から
2時間のフライトで
チェジュ島の玄関、チェジュ国際空港に。

古くは流刑地として、
哀しい歴史も刻まれてきた済州島。

チェジュ島というと、
「冬のソナタ」とか、
カジノ、リゾート、ゴルフと
どこまでも明るいイメージにあふれているが、
済州島というとイメージは一変する。

日本軍がかつて
許し難いとんでもないことを
この島のひとたちにしでかしたことも
僕らは決して忘れてはならないことだろう。

ソウルで、今回のガイドを務めてくださる
韓国が誇る世界のトップ企業の方と落ち合い、
同じ飛行機でチェジュ島に飛んだ。

チェジュ空港からはレンタカーで
今回の仕事先を回る。

慌ただしく午前の仕事を終え、
午後の訪問先に向かう途中で
昼食を取ることになった。

韓国に来てはじめての
食事らしい食事は、黒豚焼き肉。

オモニが丁寧に焼いてくれるのを待って、
サンチュで巻いてほおばる。

美味なるものには
昼とはいえどもビールが欠かせない。

心のエネルギーもたっぷり補給して、
午後の訪問先に向かう。

夕方まで仕事をして、
空港に向かう途中、
「抗日記念館」の文字が。

これは、日本人として
見学させていただく義務がある。

そう思って、
アテンドしてくださっている方に
相談申し上げると、
「私たちもはじめてです」と
おっしゃるではないか。

「抗日記念館」では、
日本軍が犯したさまざまな愚行非道を
生々しい写真とともに紹介している。

拷問、子どもたちの虐殺は、
戦争という言葉で言い訳してはいけない。

いや、もし君が
チェジュ島を訪問することがあったなら、
ここには必ず立ち寄るべきだ。

複雑な胸の内を隠しながら、
チェジュ空港へ。

立派な建物だが、
期待していたお土産物屋さんはなく、
デューティーフリーの品揃えも残念だった。

しかし、あの「抗日記念館」で目撃したことを想うと、
そんなことで文句を言っている場合ではない。

それやこれやで、
6時過ぎの飛行機で出発し、
成田に着いたのが8時半近く。

羽田から出て、成田に戻る1泊2日。

疲れ具合からは朝出夜帰りの
2泊3日といった感覚だった。

韓国の南の島、チェジュ島は、
決して表面的な楽園ではなかったが、
どこまでも有意義な
韓国滞在18時間、チェジュ島滞在8時間だった。

次は、ぜひゆっくりゴルフをしにきてくださいと
おっしゃってくださった韓国の国際ビジネスパーソンは、
実は翌日日本にいらっしゃるとおっしゃっていた。

無事出張を終え、
ひとりキムチを食べながら
ビールを飲んでいるうちに日付は変わっていた。

とりとめのないチェジュ島報告で
君をがっかりさせてしまったかもしれない。

でもそれは、韓国の、チェジュ島のせいではなく、
僕のせいであることだけは
忘れずに申し添えておこうと思う。