●宮内家・リビング(夜)
健次郎「(廊下から来て)ちょっといい」
夏美「(テレビ見ていて)なに」
健次郎「冬物のコート知らない? 会社に着てくやつ」
夏美「知らない」
健次郎「いくら探してもないんだ。そっちの部屋にないかな」
夏美「あるわけないでしょ(ため息)」
健次郎「探してないのにどうして言える」
夏美「私が必要なものだけ移したんだから。持ってくはずない」
健次郎「じゃあどこにあんの。捨ててもないのにないって」
夏美「――」
健次郎「なぁ」
夏美「知らないよだから。自分の物は自分で管理するって決めたでしょ」
健次郎「でもいくら探してもないんだ」
夏美「買えばいいじゃない新しいの」
健次郎「まだワンシーズンしか着てない。気に入ってんだ」
夏美「――」
健次郎「そっちの部屋探すよ(行きかける)」
夏美「なかったらどうする」
健次郎「え?」
夏美「クリーニングには出した?」
健次郎「――あぁ」
夏美「春に出してちゃんと取り行った?」
健次郎「と思ったけど」
夏美「忘れてそのままなんじゃない。よくあるそれ」
健次郎「(思い当たる)かもしれない(自室に行こうとする)」
夏美「謝って」
健次郎「ん?」
夏美「疑ったんだから謝って」
健次郎「――」
夏美「なんでも自分でやるって言ったくせに(トゲトゲ言う)」
健次郎「(ムカつきを抑え)これじゃあれだな。一緒にいても意味ないな」
夏美「――」
健次郎「だろ。たまに話せばイラついて」
夏美「別れる?」
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