★ストーリーで学ぶ地球環境問題
☆☆大好きな地球を大切に☆☆
【第22日】:
第2章
地球温暖化はもう始まっている
◆食糧生産が減少する
「おにいちゃんがさっき、食糧不足に
なるって言ったけど、ホントなの?」
尚子さんがたずねました。
「すべての人間が絶滅するかどうか
は分からないけど、食糧がなくなれば
人間は生きていけないわけだから、
大変なことになることは確かだね。
IPCCの予測(第二次報告書)だけど、
『害虫、異常気象の増加を考え
なければ全世界の生産量は増える
ところと減るところがあって、大きな
影響はない。ただし、熱帯・亜熱帯
では生産が低下して、最も貧しい
地域の飢餓の危険が増える』
と言っているんだ」
「一郎くんは内心では何か気づいて
いるようだけど、それが何か分から
なくて落ち着かないんだね。
リクエスト通り、もうすこし具体的に
説明してみよう。
・・・・地球の平均気温が2℃、海面が
50センチ上昇すると、コメの収穫量が
中国の場合で、現在より78%も減少
するそうだ。
ただし日本は45%減から30%増、
韓国は37%減から16%増と予測に
幅があるんだ。
小麦の収穫量はウルグアイで30%減、
ブラジル15~50%減、トウモロコシも
メキシコで6~61%減、アルゼンチンが
17~36%減など、中南米で減少が
目立つとしている。
つまり、全体として穀物の収穫量が
減る可能性が強いと予測しているんだ」
「今、何で落ち着かないか分かりました。
IPCCは、『害虫や異常気象の増加を
考えなければ』と仮定していますが、
地球温暖化が進むということは、害虫や
異常気象が増加するということじゃない
ですか?
それに害虫という表現には問題が
あります」
「それは先生も気づかなかった。
地球温暖化が進んで異常気象が
起こらないというのは、ちょっと
考えられないよね。
だったら、食糧生産はもっと深刻な
事態を迎える可能性が強くなるね。
そして害虫は、あくまで人間にとって
都合が悪い虫ということで、その虫も
食物連鎖の中で一生懸命生きている
のだからね」
大南先生は一郎くんに教えられた
ようで、感動しています。
「食糧不足については、ほかにも
情報が届いているんだ。
日本の環境省は、
『地球の温暖化で気温が1.5度上昇
すると、小麦(冬小麦)は生産量世界
3位のインドで60%、1位の中国で
10%減少するなど、南アジアで50~
60%、世界全体では13%の減産に
なる。
トウモロコシは生産量世界2位の
中国で40%、モロコシ(コーリャン)も
中国で54%、朝鮮民主主義人民
共和国(北朝鮮)で87%の減産。
インドのジャガイモも39%減る』
と予測しているんだ。
これは、気温が成長に適さないくらい
高くなったり、土壌中の水分や降雨
量が変化するからだ。
また、温暖化が進んで小麦などの
耕作に適する土地が北の方に移動
しても、中国やインド北部では砂漠
や高山で耕作地を増やすことは
できないということだ。
中国政府も、『地球温暖化の影響で
中国は将来、農作物の生産力は
平均10%前後減少する可能性が
ある』と言っている。
中国をはじめとするアジア地域では、
温暖化と同時に人口爆発も起こって
いることは知っているだろう。
このままでは、アジアは食糧問題が
ますます深刻になって、大規模な
飢餓や難民問題に襲われることは
確実なんだよ」
次回に続きます。