有機栽培は、劇的進歩を遂げている!!! | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一







日本の農業技術の進化が止まっているなどと書いている私ですが、過去私が見てきた30年間で劇的な進歩を遂げている分野があります。

有機栽培です。正直に言ってしまうと、30年前の有機栽培のレベルは現在より数段低かった。当時の農家の方のレベルが低かったということではなく、たゆまぬ努力が現在の有機栽培の技術レベルを上げてきたのだと思う。

私が農業に飛び込んだ当時の有機栽培の農産物は、理念先行でとても食品とはいえないようなものが流通していました。(申し訳ないですが、当時はそう思っていました)

現在においても、有機栽培の方々の勉強熱心さには頭がさがるばかりです。

これは、本当に技術的に見るとすごい進歩だと思います。などと上から書いていますが、慣行栽培の技術が停滞しているのと比較すると、本当に劇的な変化だと思っています。農薬を使用して効率のよい農業を目指しているはずなのに、ちっとも進歩がないという点でまだまだだなあ、と思うのです。

私の個人的考えを述べると、有機栽培が劇的変化を遂げたことによって、逆に慣行栽培の方々が迷ってしまっているように思えます。有機肥料を使用すれば少しでも近づけるのではないか、土づくりを熱心にすれば、いいのではないか、私から見ると迷走です。擬似的に有機栽培に近づこうというような、方向性です。

私は、農薬をたくさん使用しろとか、肥料を使用しろ、とか、そんなことを述べたことはなく、自然の摂理に従うと適正量になるだろうし、不要なものを使用しなくなるだろうというというスタンスでいつも考えています。

しかしながら、無農薬が安全であるというような単純な価値観は、「奇跡のリンゴ」の映画が上映されている今がピークだと思っています。

理由は簡単で、お客様が食べてみて、価格に見合うかどうか、だけで価格が決まってゆくわけで、最終的にはお客様が納得できるかどうかだけだからです。美味しさも含め様々な価値観がある中で、無農薬だから安全などという安易なマーケティングが長続きするはずがないです。欧米でのオーガニックに対する需要というのは、オーガニック農業者のライフスタイルを応援するというような哲学的なものもかなり含まれていると思っているのですが、今後、日本の有機栽培がそのような方向に行って、もっと普遍的なものとして根付くのかどうかは、今後のマーケティングにかかっていると考えます。

有機栽培に取り組んで、本当にお客様から信頼を頂いている方々は、ネガティブマーケティングを行なっていません。自らの農産物の価値が単に無農薬である、というようなレベルでは、付加価値をつけて販売することが出来ない時代になると思っています。

農薬に関する議論については、消費者の方の安全に対する懸念が後押ししているのが現状だと思いますが、率直に言って、今の日本の農薬に関する安全審査は過剰すぎて、本来もっと利用されてしかるべきものすら利用できないという状況を招いている、と思っているのは私だけでしょうか。

(農薬として登録するためには、億単位のお金がかかり、そのために大企業しか農薬として利用するものを申請できない)農薬パッシングをする方の声があまりにも大きいために、規制は厳しくなるばかりなのです。農薬パッシングをすることによって、さらに、行政の規制が厳しくなるという社会的コストは、増大しています。

私は、元来、有機栽培、慣行栽培などというのは、対立する概念ではないと考えており、同じ農業であって使用する資材にちょっと違いがあるだけだと思っています。

慣行栽培の方は、有機栽培の良いところをきちんと取り入れるべきだと思っています。

慣行栽培 対 有機栽培 もう終わりにしましょう。垣根は限りなく低いです。

私の尊敬する有機栽培の方がおっしゃっていたのですが、有機VS慣行ではなく、無知VS知、理解VS非理解の時代なのではないでしょうか。

本当は、このようなことを書くのは嫌いですが、アクセスが多い今の段階で書いておこうと思いましたので、書いてみました。有機栽培だの、慣行栽培だの○○栽培での議論はもう終わりにしましょう。


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