老いた
母さんの感傷は
バルチック艦隊
のように手ごわい
なみだ
なみだ
なみだ
弾丸のように
心に飛び込む
母さんのなみだ
とあんたのためを
思って!
という言葉
この組み合わせに
勝てる人はいない
ぼくは連合艦隊
ではないので
母さんの
バルチック艦隊に
撃沈されたら
素直に
母さんの
海のなかに
沈むことにする
老いた母さんに
負けることは
おしめを濡らした
むかしの借りを
かえすことだから
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海へと続くドア

テーマ:

かならず海へと続く
ドアがある
必要なのは
勇気をもつこと
それを開けること
ドアの向こうには
青い海と水平線しかない
だから
その海と正面から向き合うこと
その海へ漕ぎ出すこと


ちょっと体調を崩し、更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

このつたない詩を青猫さんに捧げます。

もうやめられてしまいましたが、大好きなブログでした。

http://ameblo.jp/tukiakarinosita/

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いのちといのり

テーマ:

いのちを
一字
かえると
いのりに
なるのは
いのちが
たくさんの
いのりに
支えられて
いるからに
ちがいない
母のいのり
父のいのり
祖父のいのり
祖母のいのり
友達のいのり
見知らぬ人
のいのり
地球のいのり
この宇宙のいのり
かみさまのいのり
無数のいのりが
あなたとわたしを
ささえる

私もここでいのろう
みんなが幸せでありますように
赤ちゃんがにっこり笑いますように
苦しんでいる方が癒されますように
戦争や争いがいつの日かなくなりますように


この詩はゆめごろさんの「止まない雨」という詩に触発されて書きました。

ありがとうございます。

ゆめごろさんのブログへは、ブックマークからご訪問ください。

やわらかな言葉で書かれた心に響く詩ばかりです。

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再会

テーマ:

ひさしぶりにバスに乗った。
車が壊れたからだ。
奥の席の窓側が空いていたので、すわった。

 長い間ぼんやりと景色を見ていると、いつの間にか、となりに
女性がすわった。私よりおそらく年上の女性。髪に白いものが混じっている。
右の目が一重瞼で、左の目が二重瞼。その特徴のある顔立ちに
見覚えがある---。麻美さん。私の初恋の女性---。心臓の鼓動
が早くなる。横目でその女性をもう一度観察する。
黒目がちの目やしゃくれた顎にやはり見覚えがある---。疲れ
ているらしく、その女性は何度もあくびをかみ殺した。
 中学のとき、私はバスで学校に行った。附属の中学に通ってい
たのだ。通学のときに本を読むのが楽しみだった。SFやミステ
リーだ。ませていたので大人向きの本も読んでいた。

 ある日バスの中で本を読んでいると、声をかけてきた女性がいた。それ
が麻美さんだった。当時彼女は大学生で、バスで大学に通って
いたのだ。私と同じような本が好きだったので、自然と友達に
なった。朝、同じバス停からバスに乗っていたので一緒になる
ことが多かった。バスの中で、私たちは読んだ本のことについ
て、夢中になっておしゃべりした。時には夢中になりすぎで、
ほかの乗客にじろじろ眺められることもあった。
 あるとき、私は、朝、母と喧嘩をして家を飛び出した。途中で
雨が降り出し、すぐに土砂降りになった家に帰ることもできず
バス停で立ちつくしていると、「濡れたら、風邪をひくわよ」

と緑色の傘を、こちらへ差し出してくれる人がいた。麻美さ
んだった。いわゆる相合傘の中でバスを待つことになり、私の
胸は高鳴り始めた。麻美さんはいい匂いがした。黒い髪は流れ
るようでつややかだった。初めて麻美さんを女性として意識し
たのだ。
 それから、私は麻美さんとお喋りするときに、どうしてもぎこ
ちなくなってしまった。顔がほてる。口ごもってしまうことも
あった。麻美さんは私の変化に気づかず、相変わらず目を輝か
せて、自分が読んだ本のことについて、話してくれた。

 知り合って一年が経ち、麻美さんは大学を卒業して、都会で就職する
ことになった。最後に会ったときに、『長いお別れ』というレ
ーモンド・チャンドラーの本をプレゼントしてくれた。それは
私の宝物の一つで、本棚の片隅にいつも置いてあった---。
 物思いに耽っていると、肩のあたりに急に何かが触れた。それ
は麻美さんの頭だった。彼女はバスの中で居眠りを始めたのだ。
口をかすかにあけ、くうくうと可愛らしい寝息を立てている。
疲れているんだな、と私は思った。麻美さんも結婚して、家
庭を持っているだろうから、いろいろと苦労もあるだろう---。
そんな思いがふと湧きあがってくる。麻美さんの首はがくん
と傾き、とうとうこちらの肩にもたれてしまった。ときどきは
っと目を覚まし、首を真っ直ぐに伸ばそうとしたが、すぐに元
の位置に戻ってしまう。
 私は苦笑いしながら、麻美さんを少しでも休ませてあげようと
思った。やがて、第一高校前というバス停で、麻美さんははっ
と目を覚まし、立ち上がった。はずかしそうに、私にごめんな
さいといって、乗車口に歩いて行った。私のことに気づいた様
子はなかった。

 バスが走り出した後、私はどういうわけか窓の外の麻美さんに

手を振った。彼女はそれに気づくことなく、うつむいて、とぼとぼと歩き出した。


これは以前書いたもので、他の方のブログにのせていただきましたが、割合気に入っているものなので、ここに移しました。

全身全霊であたえる

テーマ:

出し惜しみ
なんかしないで
全身全霊で
ぼく自身を
あたえてみる
あなたに向かって
彼に向かって
彼女に向かって
彼らに向かって
お金とか
ものとか
そういうもの
ではなくて
頭をあたえ
腕をあたえ
足をあたえ
体をあたえ
心をあたえ
あんまりない
知恵をあたえ
みんなからもらった
やさしさをあたえ
みんなからもらった
いつしみをあたえ
計算や
打算や
怖れは
投げ捨てて
からっぽになる
まで
何もなくなる
まで
あたえ続け
そうそれば
ぼくの核から

ふたたび
何かかが
満ちてくるはずだ