土曜日に真樹は塾へ行っている。僕は塾の入口が見える位置で電柱の影に隠れた。そして、塾が終わって真樹が出てくるのを待った。

何時間待ったんだろう…5時間くらい待った。
 塾が終わって、真樹がやっと出てきた。同じクラスの友達と出てきたので、後をつけた。しばらくして、真樹はその友達と別れた。その後、なかなかしゃべりかける勇気もなく、ずっと後ろをつけた。家までの距離がどんどん短くなった。そして、なぜか真樹の歩くスピードがどんどん早くなっていく…。早歩きになり…軽いランニングになり…ダッシュになった。僕も見失わないように、ダッシュであとをつけた。
「きゃーーーーーー!!」
真樹が叫んだ。そうです、ストーカーに間違われてしまったようです。しょうがないので、「僕だよ、栄汰だよ」と声をかけた。僕の方を振り向いた真樹の顔は涙目だった。
「久しぶり。何か用でもあった?」ちょっと怒ったような顔で真樹が言った。
「えっと、お願いがあるんだけど…たいしたお願いじゃないんだけど」
「何?」
「写真撮らせて欲しいんだけど」
真樹がにらんだような顔をした。やっぱダメか…
「なんで撮ると?」
「ぅーん、ちょっと事情があって…。撮ってこないとまずいんだ。だから、待ってたんだ。ずっと。塾が終わるの」
「ずっと?」
「うん、昼ごろから」
「え?昼から?何やってんの」
「ごめん…」
「謝ることじゃないけど。また、いじめられてるの…?」
「ぅ、ぅん」
「そ、そっか。わかった。じゃぁ、1枚だけね」
 とりあえず、写真をゲットできた。それに、笑った写真を撮ることに成功した。いい写真写りだ。真樹は僕に同情してるんだろう。結城に命令されたと思ったんだろう。
 そして、家に戻り、セイファに写真を送った。「かわいいじゃん」って反応。そりゃぁそうさ。かわいくないと好きにならないさ。