宇宙人ピピとコメットさん | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

日本で最初のアニメーションで描いた宇宙人と実写による人物を合成する新しい技術を使い、子供番組に新境地を開いたSF特撮ドラマに『宇宙人ピピ』(NHKで1965年4月8日~66年3月31日放送)があります。

ある日、小さな円盤(直径2~30センチ)が墜落。乗っていたのはピピと名乗る小さな宇宙人。地球より百万年科学が進んだ国からやって来たとのこと。その円盤を俊彦(安中滋)と良子(北条文栄)の兄妹が偶然見つけたことから、ピピは二人と友だちとなります。さらに、俊彦の友だちのゴン、ケン、シュンとも知りあいになり……

ピピの声をやっている中村メイコが歌う主題歌、♪~ピッ、ピッ、ピピピ、ピッピキピノ、ピピ~は、よく憶えています。高校時代だったので放送時間(木曜PM6時~25分)の関係で殆ど観ていないのですが、内容が濃くて充分に観賞に耐えるものでした。NHKアーカイブで37話と38話(前後編)を観ることができます。

ピピは俊彦たちと遊びたいのですが、塾や習い事で遊んでくれません。そこで、塾ではマンガを書かせたり、バレー教室では盆踊りをさせたりとイタズラばかり。遊んでいても一流になれるように、俊彦たちを天才にするんですが、世間が大騒ぎして遊ぶどころじゃありません。結局、タイムマシン(円盤にはタイムマシンの機能もある)で天才にする前に戻すんですな。

小松左京の原案を平井和正が脚色。諷刺と皮肉に充ちた内容になっています。フィルムは37話と38話しか残っていませんが、台本は残っており、ゴミだらけの東京を野原に変えたり、大人を消して子供だけにしたり、水不足を解消するために南極から氷を持ってきたりと、当時の社会問題を巧みに織り込んでおり、子供番組といえない濃さがありま~す。

 

怪獣ものの特撮番組に熱中できなかった女の子たちに人気があったのが『コメットさん』です。『コメットさん』は、TBS系列で1967年7月3日~68年12月30日に放送。叔母と一緒に家にきた従姉妹が観ていたのを憶えています。私は裏番組(『アベック歌合戦』『アニマル1』『妖怪人間ベム』など)を観たかったのですが、その時だけはガマン、ガマン。

コメットさん(九重佑三子)さんは、武(蔵忠芳)・浩二(河島明人)兄弟の家のお手伝いさん。科学の発達したベータ星でイタズラをしすぎ、校長先生の怒りをかって、平和部隊員として地球に派遣された女の子。その途中で星に落書きしてしまうほどオチャメで好奇心旺盛。偶然、到着した学校で武・浩二の兄弟と知りあい、「うちへおいでよ」の言葉に誘われるままに川越家へやってきます。パパ(芦野宏)は東都大学の理論物理学者、ママ(馬渕晴子)は同時通訳の仕事と主婦を両立させているキャリアウーマン。二人とも忙しく、コメットさんがお手伝いさんで居てくれるのは願ったり、かなったりだったんですな。

コメットさんが魔法のバトンを一振りすれば願い事がなんでもかないます。交通ラッシュを見ればバトンのひと振りで虹の陸橋を架け、安いカーネーションをカトレアに変え、身体の伸縮も変幻自在といった具合。調子に乗りすぎると校長先生が現れ、バトンはたちまち筆に早変わり。頬に大きなバッテンをつけられます。

魔法シーンには特撮がふんだんに取り入れられ、架空の世界を描く部分はアニメ、その他は実写というアニメと実写の合成が見事。『メリー・ポピンズ』をヒントにして作られているのは明白で、九重佑三子は主題歌だけでなく、劇中で「窓ふきの歌」などを歌っています。芦野宏が歌う「コメットさんが来てからは」は絶品。

当初は1年で終了する予定が、パパを伊丹十三に、ママを坂本スミ子に変えて半年延長されました。また、1978年には大場久美子のコメットさんでリメイクされていま~す。