穂積陳重『法窓夜話』「72 ベンサムの法典編纂定義」を読む
67話から72話は18世紀半ばから19世紀初頭にかけて84歳まで生きた功利主義法哲学者、ジェレミー・ベンサムにあてられています。72話は19世紀初め、諸国の法典編纂に意欲を見せたベンサムについて語られています。何といっても「外国人立案の法典は公平」の法学者。風俗は異なっても、「法典の組織は大抵その基礎を同じくする」から。
しかし注文はこなかった。穂積自身が、商法実施延期問題がおこったとき、貴族院で、延期改修論を唱え、「国民行為の典範たる諸法典を外国人に作ってもらうのは国の恥と述べて」います。ベンサムはそういう心配を一向に解さない。ベンサムは平然と世界を家とし、人類を友とする。立法議員にさえ、外国人を選ぼうと論じています。ベンサムには国境がない。それがベンサムのベンサムたる所以ユエンだといいます。
「最大多数の最大幸福」説は何か制限民主制のようで、マイノリティ優先民主制を支持するものとしては、なかなか納得できませんが、国境のない世界の構想は無視できません。功利主義の天賦人権論批判やベンサム自身の功利主義の議論も読んでみます。日本の最高裁はどうも日本独自の政治に左右されて国境を越えた法の判断を示しません。法とは国境を超えるする考え方、それが基本のはずです。