逆日影計算と天空率 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 早くも2月最後の土曜日。本日は全国的に快晴。いよいよ東京の花粉情報も「多い」に変わった。今週より本格的に花粉対策を始めた。本日より予報も「多い」に変わった事もありちょっと戦ってみたくなった。

 まずイオンでブロックのスプレーを顔から頭にシュッと吹きつけ。昨年の残りだが鼻の入り口には飽和炭化水素のクリームを塗りガード、そして朝、錠剤を1飲み込み花粉用ゴーグルで出かけた。ゴーグルにマスクだとあまりに哀れそうゆえマスクなし。マスクなしで戦えるか否かチャレンジした。(残りの目薬およびノーズスティックは、やはり昨年の残りだが有事の際の対処用として念の為持参)

 近くの公園を

ぶらついたのが花粉飛散量が多いと言われる1時過ぎ・・・・・。現在夜8時・・。大丈夫のようだぞ・・?。今のところ・・。家に帰ると玄関の靴箱の上には

昨年末の忘年会ビンゴゲームでゲットしたハンディー掃除機。家には花粉をできるだけ進入させない。・・・・これで完璧。今年はまけないゾー。

 

 話は変わるが、このところ記憶力の低下をとみに感じる様になってきた。
外出する際に玄関をでて5分ほど歩き出すとにわかに財布、スマホ、めがねなど必需品を忘れている事に気付きあわてて戻る事が多い。いつ頃からだろうか・・・。いつ頃からか憶えていればそもそも苦労しないわけだが・・・。

 そんな折、日経web版で[記憶は思考の邪魔になる 「覚えない頭」の作り方]慶応義塾 前野隆司 氏の著書の紹介に目が止まった。記憶と物忘れは、別次元の話だと思うが・・・

 その中から
知識や情報が多すぎる弊害は、「つい、“答え合わせ”をしてしまうこと」だと前野さんは指摘する。知識に頼りすぎると、脳が勝手に過去の記憶から正解に近いものを探すようになり、考えようとしなくなるのだという。それが積み重なると、思考力・発想力が弱まっていくのだ。

 なるほど記憶力の良い人はその分思考力・発想力が弱まるらしい。うん・・イイゾ・・・その方が問題だと思いたい。いい話だ。・・それから・

 記憶力を補う為には忘れてはいけない事を書くかPCなどで記録する事が肝要らしい。その事で記憶機能は充分補える。

 たしかにそうだ。そういえば毎年花粉のこの時期になると薬の飲み方をメモした比嘉ブログの回を自ら検索して確認している。毎年の事ながら見事に飲み方を忘れてしまう。うっかり処方箋どおりぬ飲むとグッタしてしまい仕事にならなくなる。2009年4月の比嘉ブログで毎年確認している。


 さて今週の講座も長い。早めに始める事にしよう。本日からまた天空率が始まる。

 前回までは日影規制の基本的な考え方から逆日影計算まで解説した。日影規制は、規制ラインから太陽をながめた際に建物に遮られて影になる時間が規定されている。

 結果的に太陽を屋根部で遮る場合には低層型と称する。(太陽高度より低い建物を想定する意味)

円弧で示す部分が6階(18m)の屋根部で、影の始まる位置を示す。日影チャートを斜めに横切る線分は太陽高度を示しこれがL=(h-4)×倍率で算出されたHの位置を示す。

 影が始まる時間は13時から終わりが規定時間の16時、JUST3時間、その位置に6階以上の建物を建てると3時間の日影規制時間を超えてしまう。


 日影規制をクリアーする為の他の手法として建物の幅をカットする方法でも良い。

 太陽が建物を横切り太陽を遮る時間が規制時間内であれば良い事になる。


この場合13時02分から影になり建物を横切り16時までの影ゆえ2時間58分で規制時間内におさまる。建物イメージでは

 

この様に建物幅をカットする事で


すべての規制ライン上の日影規制時間内に影の時間をおさめる事が可能になる。

 400%以上の容積率の場合建物幅を日影規制時間でカットする事により、日影規制内におさまる。その為、階数は容積率が消化するまで高層にする事が可能になる。

 この手法を「高層型」と称する。

 ただしこの場合、いずれも日影規制、基準法56条の2を解決しただけだ。基準法56条、道路高さ制限、道路斜線はどうする?

これが前回投げかけた疑問。


 道路斜線がNGになるのは確実だが確認してみよう。特に厳しいと思われる高層型の結果による建物で検証をすすめる。

この場合2方向道路ゆえ132条で敷地道路に面した部分の道路幅員が確定する。まずは最大幅員8m側から

縦の青線が斜線断面の指定位置。見事NG。

6m道路側にまわり込んだ8m道路対象部分も

NGとなる。当然6m道路中心10m部分,それを越えた最大幅員8mが適用される部分も

NGとなる。

 今週は、逆日影計算で算出された建物を天空率利用によりそのボリュームを保ったままクリアするか否かを検証してみたい。

道路斜線は大きくNGとなった。まずはそのまま天空率計算でどうなるか一気に天空率計算を実行してみよう。

 まずは、高さ制限適合建築物と算定基準線を自動発生する。

算定位置を発生し天空率計算を行うが

 TP-PLANNERでは、建物の種類が3種ある。申請用の建物の「通常建物」簡易プランニングでバルコニーなどの属性を持つ「想定建物」、逆日影計算等で算出したブロック図から建物変換した「ブロック図建物変換」の3種だ。これらを混合して解析したりする事が可能だが、初期値では「通常建物」に設定されている為、本例の様に逆日影計算結果で天空率計算を行う場合は「計算対象建築物」プルダウンから「ブロック図変換建物」に切り替える必要がある。


 「均等発生」で算定位置を発生し「計算開始」を行うと

全ての区域でNGとなる。最大幅員の区域でも右端がNGだ。6m道路側に回りこんだ最大幅員のNGが著しいのでその部分から天空率比較図を算出し対策をたてる事にする。

最大幅員が回りこんだP25からの天空率比較図では


左右の緑の空地に対して道路斜線を越えた建物ブロックの面積が大きい。

逆天空率チャート図でおおよそのカット幅を確認すると

逆日影による高層巾がさらにカットされてしまう。しかし日影規制による高層巾のかなりの部分が残せそうだ。

今回は「仮想建物領域」を6m道路に面した位置から西側に2m移動し後退距離を確保する事でカット幅を最小限に抑えたい。その前に逆日影高層型で逆日影計算を行う。

 逆日影チャートをセットする高層巾が確認できる。

16時13時による時間幅は同じだが西に移動した分わずかだが8時11時側の3時間日影幅が狭くなる。

 前回の高層巾と比較すると

ほぼ同様の規模が望める。計算開始!

やはりほぼ同様の結果、左上にある全ての容積率対象した数値が約469%、前回が470%ゆえにほぼ同程度の規模。検証をすすめる。

この場合の道路斜線は、

後退距離2m分、前回よりは緩和されたがまだNG部は大きい。

天空率計算を行うと

8m道路:最大幅員に面した算定位置は前回右端がNGだったがクリアーした。建物を西側に2m移動した分、NG算定位置の前面に空地ができた効果だ。


 6m道路に面した部分ではNGの多さが目立つが差分は最大-3.24%のNGから-1.5%程度まで低減された。逆天空率でNG部の幅をカットし天空率をクリアーする事としたい。

 

 赤線で示す上下のカット幅の目安で実行すると

NG幅が減少しNG算定位置も変化する為、3度ほど繰り返したが結果的に円弧で示した上下をカットする事によりクリアーした。この程度なら問題無い。

 同様に道路中心10mの区域では

この場合は最もNG幅の広い上側端部からカットすると

見事にすべてクリアーとなった。

差分グラフがそれぞれの区域で申請時に安全差分を保持する限界一杯で確定している事がわかる。

 この結果で日影規制チェックを行うと

これも規制時間内いっぱいのボリュームが算出された事がわかる。
この様に日影規制の時間幅カット(高層型)の考え方は天空率の幅カットとほぼ同様に利用する事が可能になる。


 長くなった本日はこのあたりでおしまいにしよう。来週は講座で関西方面に出没します。
来週までお元気で!


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