人生フル回転「ノーベル平和賞と中国。天安門事件を振り返る」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生フル回転「ノーベル平和賞と中国。天安門事件を振り返る」

◇中国は遅れた国だという事を世界に示す事になった。獄中の人権活動家劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したことに激しく反発している点である。国民の人権を踏みにじって辛うじて国家を存続させている北朝鮮と同根だと思わざるを得ない。

 世界が中国に対して厳しい批判の目を向けている。オバマは、中国政府に劉氏の釈放を求めた。平和賞受賞に反対する中国はなぜ世界の批判を受けるのか。それは、表現の自由という人間の普遍的価値を侵害しているからだ。

 中国は共産党独裁体制をとり、政府に対する批判を認めない。これは、表現の自由という基本的人権、そして、人間の尊厳を否定することだ。小林多喜二を拷問で虐殺したかつての日本がそうだった。

 私たちは、表現の自由を日常生活の中で空気のように享受してその有り難さを感じないが、中国の人権抑圧は、その貴重さを改めて私たちに突きつけている。

 権力による幾度もの投獄に屈しない劉暁波氏の表情をメディアは伝える。それは、僧のように静で穏やかだ。信念に支えられた本当の強さとはこのようなものに違いない。

 世界の大きな潮流は、表現の自由を基盤にした民主主義を押し進めるものだ。そして真の平和は人間の尊厳を認める民主主義でなければ実現しない。13億の国民を抱え経済の面で怒涛の勢いを示す中国にそれがない。ノーベル賞委員会は中国での基本的人権を求める劉氏の非暴力の戦いを評価した。中国は激しく反発し圧力をかけたがノーベル賞委員会は決断を貫いた。

◇私は拙著「炎の山河」の中で、天安門事件について書いた。主要な登場人物松井かずが数奇な運命を辿って満州からふるさと群馬に帰国した直後天安門事件は起きた。文化大革命を体験した彼女は、更に大きな衝撃で日本のテレビに釘づけになった。

 1989年(平成元年)、天安門広場には民主化を求める20万人の人々であふれた。ついに広場に戦車が突入する。暗闇の中に銃声が響きオレンジ色の光が走る。人々の絶叫、黒いかたまりとなって逃げまどう群集。テレビはまさかと思える場面を写し出していた。死者5千人以上と報じる新聞もあった。

 リーダーの1人劉暁波氏は、逮捕され投獄されるが信念を曲げなかった。彼を支えているものは、天安門で命を落とした多くの同志の姿ではなかろうか。

◇10日、中国帰国者協会のマス釣り大会が敷島公園で行われた。日中の歴史の狭間で生きる人々は明るく元気であった。松井かずさんの娘さんも嬉しそうな笑顔を私に向けていた。(読者に感謝)


☆土・日・祝日は、中村紀雄著「炎の山河」を連載しています。