三次創作小話「忘羨その後」(6-11)
さて、明日は座学最終日です。
真剣による試合対戦要項
一回戦 藍ジンイー X 座学生代表一
二回戦 藍スージュイ X 座学生代表二
三回戦 含光君 X 魏ウーシェン
出場したい座学生は、申し出て下さい
と書いた紙が、一週間前から、蘭室入り口に貼り付けてあった。
ところが、前日の夕方になっても、一人も希望者はなく、
座学生たちの間では、いくら剣に自信があっても、さすがに藍氏小双璧を相手に真剣は恐ろしすぎると囁かれていた。
そこで、この日、
一回戦 座学生代表一 X 座学生代表二
二回戦 藍ジンイー X 藍スージュイ
三回戦 含光君 X 魏ウーシェン
に変更された。
すると、今度は希望者が十二名にも及び、予選をしなければならないだろうか、とスージュイが頭を抱えた。(時間がかかりすぎる)
翌朝、スージュイから相談され、
「では、俺たちが審査をしてやろう。な、ランジャン」
座学生たちが、剣道場に集められた。
ウェイインが中央に立ち、
「俺に打ち込んでこい」
一人、二人と挑戦するが、素手のウェイインにかすることすらできない。
ウェイインは、あっと言う間に十二人を打ち負かし、ランジャンと協議している。
結果として、三名が選ばれた。
対戦表が、また変更された。
一回戦 藍氏子弟一 X 座学生代表一
二回戦 藍氏子弟二 X 座学生代表二
三回戦 藍氏子弟三 X 座学生代表三
四回戦 藍ジンイー X 藍スージュイ
五回戦 含光君 X 魏ウーシェン
こうして、予定より大幅に遅れて、開始が昼前になってしまった。
藍氏子弟と座学生の対戦は、面白いものだった。
藍氏は、きっちりと藍氏直伝の剣法を守り、不備がない。
かたや、座学生たちは、己の腕力や直感で攻める。
結果は二勝一敗で藍氏子弟の勝利となった。
もちろん、剣には、切れないように法術がかけられていた。
しかし、まるで切られた様な痛みは残る。
スージュイとジンイーの対戦はほぼ互角。
大変な熱戦だったが、ジンイーが床上の汗に、足を滑らせて、スージュイに袈裟斬り*にされた。
悔しがるジンイーをランジャンが慰めている。
といっても、頭をぽんぽんしただけだが、、、、
いよいよ、大将戦だ。
観衆は膨れ上がり、雲深不知処中の人間が集まったようだ。
この二人の剣には、術がかけられているのか、いないのか、それは二人以外には、分からない。
剣を構え、正対する。
指一本も動かない。
静けさの中、ひばりの鳴き声が、遠くに聞こえる。
その声もふっと消える。
それが合図になったように同時に斬りかかる。
相手の剣を避け、すれ違いざまに、また一振り。互いの剣を払い合う。
剣を交えながら、あちらこちらへ飛び違う。
無駄のない動きと、流れるような身のこなし。
突いたり、斬りかかったり、どちらも相手にかすり傷ひとつ、つけられない。
剣の軌道は隙なく厳しいが、剣の残像は美しく踊っているかのように見える。
また、睨み合いが続く。
「やめぃ」しんとした道場に響く。
沢蕪君が二人の間に割って入った。
「もうよい。これ以上やっても、決着はつかないだろう。
二勝二敗一引き分け、勝負つかず」
その後の遅い昼食兼夕食は、皆、大興奮、大はしゃぎで、部屋中を揺るがせている。
座学生だけでなく、藍氏子弟も入り混じっている。
罰など、何の重しにもならない。
皆、今見た対決の感動を語り合わずにはいられない。
一方、そんな騒動も知らず、
静室では、ウェイインがランジャン相手に、ぐだぐだとしゃべっている。
「聶ホアイサンの奴、『原作者を囲む会』とかに招待されて、さぞかし、楽しかったろうな。
大勢の女人に囲まれて、酒だの、ご馳走だの、ちやほやされて、なんで、あいつだけが、そんないい思いをするんだ。」
「君のせいだろう」
「そうだ、俺が温ニンに『原作者は聶宗主だ』って言ったんだそうだ。覚えてないんだけど、、、」
しゅんとなったウェイインの肩を抱き、
「『魔道祖師・狂信者との座談会*』でも開催しようか?」
自分の耳を疑ったウェイイン。
ランジャンの顔を見ると、顔をひきつらせて微笑んでいる。
「お前も冗談言うようになったのか、はははは」
つづく
*袈裟斬り(けさぎり)…相手の左肩から右脇腹にかけて切りつける。
*狂信者との座談会…ファンミーティング
可愛らしい動画です
もう2年以上前の作品ですね〜
Ellos ♥️#MDZS pic.twitter.com/4wIV6ot4LB
— 𝔸𝕟𝕖𝕝𝕖 ✰ツ (@AneleMiu) 2022年5月14日
艶っぽい、大人のキス
少年時代の激しい衝動!なんてね
「香炉」の一場面でしょうか?