会えない子どもへの誕生プレゼント | 夜明け前の寒さに凍える時・・・

夜明け前の寒さに凍える時・・・

離婚後17年間1度も面会交流をさせてもらえません
8年間で1度しか子どもの顔を見れなかった時期もあります
顔も知らない我が子会いたさに理不尽な壁に苦しむ毎日でした

それでも諦めない事が奇跡の再会につながりました

離婚してからもう10年近くなり、1歳半で離ればなれになった子どもはもう小学5年生。 9月12日は11歳の誕生日。

 

毎年誕生日やクリスマス、子供の日などにプレゼントを贈るが捨てられたり受け取り拒否だったり、面会交流の調停を始めると今度は住所非開示で送る事さえ出来なくなった。

 

毎年子どもの誕生日がくると、悲しく切なく子どもに申し訳なく涙が止まらない気持ちになる。

 

本来なら両親に愛され、誕生日の祝福をうけ、欲しかった物を貰える1年で一番嬉しい日だろう。 今年なら今流行りのNintendo Switch が欲しいんだろうなぁ。

 

そんな誕生日が来ても何もしてあげられない。 本当にゴメンね。 離婚を申し出たパパが一番悪いんだよ。

 

自分も片親で育ち、誕生日は毎年味気ないものだった。うちは中流家庭よりも生活は良かったが誕生日に欲しい物を買って貰った事は無い。 今思うと自分の誕生日はめでたいものではなかった。よその家庭がいつも羨ましかった。

 

だからこそ自分の子どもの誕生日は喜ばせてあげたい。でも叶ったのは婚姻中の1歳の誕生日だけだった・・・。

 

それから毎年のように謝罪を続け、何とか子どもに会って祝ってあげたい。 そう願ったが叶う事は無かった。

 

離婚をしても面会交流という方法で子どもと会える幸せな親子がいるが自分はさせてもらえない。 面会交流に強制力はないからだ。毎年、会えない事に泣いて泣いて、悔やんで子どもに詫びる思い。

 

たぶん10年間の流した涙の量は1リットルじゃきかない。

申し訳なくてホント泣いてばかりだった・・・。

 

しかし、それでは子どもに想いが伝わる事ないし、いつか再会出来た時があっても子どもは父親の悲しみの実感はないだろう。

 

そこで今年の誕生日は、いつもの渡す事が出来ないプレゼントパターンから、「いつか未来で渡せられる誕生日プレゼント形式」にする事にした。

 

あれこれ考えて子どもが大きくなった時にお酒や冷たいものを飲む時に使えるロックグラスがいいのでは?と思いました。

 

さらにグラスに子どもの名前やメッセージを書いたらいいかもと思い、まずは渋い碧の琉球ガラスのコップを通販で購入。 

 

 

そして彫刻内容をパソコンで作る。

 

出来上がった画像とグラスの見せて店を回るがグラスに凹凸があり「鷹寛」という名前が細かく無理と断られる・・・。

 

ナイスアイディアと思われたロックグラスプレゼント計画が頓挫する。

 

が、そこで諦めたら終わりなので何とか彫刻出来るよう、思い切って自分でグラスを作る事にした。

 

そうすれば文字を入れられる位の大きいグラスを作れるし、手作りの方が父の愛も加わるし。

 

そこで、自分でグラスを作れる所を探すとありました。

「東京ガラス工芸研究所」

http://tgai.xsrv.jp/

 

こちらの「吹きガラス体験」で色や形を自分の好きなイメージでグラスを作れます。

※夏休み以外もやってます。

 

作る前にグラスの形や模様のイメージを希望する事ができるので、イメージ写真をガラス職人のお姉さんに見せてお願いしました。

 

※受付にサンプルもあり選べます。

 

あと、彫刻するので通常より大きいサイズと厚めに作る事をお願いすると意図をくんでもらい聞いてもらえました。

 

まず最初に青と水色の水玉模様のグラスから。

こんなイメージ写真を見せていざ開始。

 

 

鉄の吹き竿に透明のガラスを付け、そこに細かく砕いた青と水色のガラスを付けてゴロゴロします。

 

 

これが水玉模様の元になります。 そしてTVで見たように吹いて膨らませるんだけど、これが風船のように簡単には膨らまない。

溶けたガラスは固い感じというより重い抵抗感のような妙な感覚。

 

そんな固いガラスを膨らますせいででホッペや唇が痛い。

 

「もっと吹いて」というので「フン!!」と腹に力を入れて強く吹くとバーーン!!と漫画の北斗の拳のように変形しながら爆発。

 

薄い所がプクっと膨らんで爆発した時、普段は固いガラスは熱いとサランラップのような膜になり、フャニャフニャと薄くヒラヒラしながら一瞬で冷えて固まり、今度は粉のように砕け壊れて落ちていく。

 

スローモーションのような光景の後、お姉さんを見ると「やりやがったな!!」というような苦笑い。

 

子どもへの想いを込めて吹くつもりが、お姉さんの熱い視線でそれどころではなくなってきたw

 

また1からやり直しになり、今度は慎重に慎重に! やっと膨らんでお姉さんも笑顔に。 最初の3cm位膨らますのが大変で、その後は順調にいき、透明ガラスを付けたし大きくしながら形を整えて水玉模様のロックグラスが完成。

 

あんまりキレイに作ると工場の既製品と一緒に見えるので、あえて不格好な位にして、手作り感があって丁度いい感じになりました。

 

2個目は赤のマーブルという下の画像のような模様のグラス作りに挑戦。

 

 

赤の単色よりは他も混ぜた方がいいというので黄色を混ぜてもらう。 同じく透明ガラスに赤と黄色の砕いた細かいガラスをくっつけてゴロゴロ。

 

本日3回目なので今度は順調w

 

プレゼントする子どもの事を考えながら「鷹寛にとどけ!この想い」と念じながら膨らませる。

 

そしてまた3cm位膨らませてから窯に入れると熱でガラスが溶けて垂れ下がってくる。砕いた赤と黄色のガラスが伸びて線状になります。それを落ちないようにクルクルと巻き反転、また反転の繰り返しで伸びた色が線状の独特の模様となる。

 

こちらのグラスは琉球ガラスのコップでお馴染みの丸いタル型の形にする。 グラスを成型する時は水で濡れた新聞紙や木のヘラを使い平らにしたり丸い傾斜をつける。

 

 

手に熱は伝わってこないが、ガラス工房だけあって窯とガラスから出る温度で汗がすごい落ちる。

 

2つ目は作り方が違うので手がかかったが無事完成。赤のガラスは熱の関係で黒く見えて模様の出来栄えが分からないので不安が・・・。

 

※ちなみにガラスはゆっくり冷やさないと割れてしまうので当日は持ち帰れません。

※郵送か取りに行く事になります。

 

2つ作るのに1時間位でとても楽しかったです。 8月12日は大人だけの日だったので1人でゆっくり作れました。

 

面白いので、またやりたいです。

 

後日出来たグラスを取りに行くと大人とちびっ子達で順番待ちになる位に賑わってました。

 

 

で、完成したグラスを見ると、ガーン! 2個とも全然イメージが違うんですがーっ。

 

 

制作中は熱で変色して出来上がり時のような色がよく分からないんですが、冷めると模様がハッキリ見えて、作る前に見せたイメージ画像に程遠い・・・。

 

特に赤いロックグラス予定の色はオレンジ色でスジ状のマーブルでもないような。

 

ショック・・・。

 

敗因は色付きガラスの粒を自分で並べなかった事だな・・・。 やる時は任せず自分で並べる事をお勧めします。

 

これ2個とも彫刻していいものやら悩む。

どう見ても失敗作・・・。

 

とはいえガラス彫刻の予約時間まであと1時間で、もう行くしかない。 はぁ・・・、足取り重い・・・。

 

その足で近くにある「ガラス制作工房ANON」さんの所へグラスを彫刻しに移動。

http://anon.glass/

 

ここへ来たのは、いろんな所で彫刻を断られてメールをすると優しい返事が来たので、まずは相談という形でお伺いしてみました。

 

ちなみにガラス彫刻の方法はサンドブラストといって、砂を吹きかけてガラスを削る方法が多いです。 http://www.hozan.co.jp/catalog/Metal_Working_Tools/SG106a.htm

 

一般的なやり方は、ガラスの上にテープを貼り、テープの上に文字やイラストを描きます。そして砂で削る部分のテープをカッターなどで切り抜きます。

 

 

そこに砂を吹きかけると露出しているガラスの面だけが削れていきます。テープが貼ってある所は保護されて削れません。

 

その為、細かい字や複雑なイラストはテープカットが無理なのと文字が潰れてしまうので敬遠されます。

 

ANONさんの所はコピーの様なフィルムを使って彫刻できるのとレーザー彫刻もやっているので、最悪ダメならレーザーで彫ってもらえたらいいかなと思い、無理をお願いしてみました。

 

※ちなみにレーザー彫刻は印刷と同じように細かく彫れますが、サンドブラストの方が仕上がり感がいいのだとか。

 

そして、他で断られたイラストとメッセージ画像(jpg)を見せて、 会えない子どもに想いを込めて渡したいと話すとANONさんの社長こと加藤さん(以後師匠)のスイッチが入り、黙々とパソコンのPhotoshopで画像を修正してくれます。

 

 

他店では画像変換やデザインの手直しは有料なのに「任せろ!」と無料です。 しかも「このオレンジ色のグラスは失敗作なんです」と話すと、「なら、これ使って練習(無料)しよう」と言ってくれました(涙)。

 

※でも後で払いました。

 

練習とはいえ同じ画像もあれなので、「それなら、もう1枚画像があるんですが・・・」と見せると、カラー画像(jpg)なので白色と黒色だけで作ったデータとは違い、色の違いを表現する為に白黒写真と同じ技法で彫刻する事になりました。

 

時間をかけてパソコンのPhotoshopでカラー画像を白黒写真データー用に修正と加工。

 

※白黒のイラストで作ったデータ(青グラス)で彫った出来と写真用データ(オレンジ色グラス)で彫った違いは最後の完成品を見ると違いが分かります。

 

次に画像をいくつか印刷し、コップにあった大きさを考えます。 画像の大きさが決まると、ここからが本番です。 本番用画像を印刷し、青い露光フィルムと重ねて紫外線露光機の紫外線をあてます。

 

 

紫外線を当てた後、次に青いフィルムを現像液に浸します。

 

 

すると砂で削る部分が透明になります。

(※くまモンだと黒い部分が透明に)

 

 

フィルムを水洗いして乾かします。 普段は1日干しますが今日はすぐ彫るのでドライヤーで乾かします。

 

コップを一度洗って表面に接着剤を塗ります。 そして先ほどの青いフィルムを貼ります。

 

 

少しおいて乾いてから、いよいよサンドブラス機を使って彫刻します。 最初に砂を吹きかけるとガラス表面に接着剤が付いているので砂が付き白く見えます。

 

 

そして段々削れていくと、白さが吹き飛び透明な感じになります。 その為、どこまで削れているのか分かりにくいです。 ずっとやり続けると穴があいたり凹凸の段差が酷くなるので最後は師匠の仕上げになります。

 

吹きが終わると、取り出してグラスを水に浸けて接着剤とフィルムを剥がしていきます。 そして出来上がり。

 

ん?絵が見えません!!! 彫が甘い??

全然見えない。

 

どうやらグラスが濡れていると彫刻は見えないようです。 ドライヤーで乾かすと彫刻が浮き出てきましたw

画像だと見にくいかもしれませんが、実物はキレイに彫れてました。

 

 

オレンジ色の試しに作った練習グラスも出来上がるといいじゃないですか!

 

 

失敗作と思った2つのグラスも子どもの名前が入ると我が子のように可愛く見えるから不思議ですw 帰りの電車の中では袋から何度も出しては見てニヤニヤとしてしまいました。

 

ちなみに青いグラスは、白色と黒色のみで作った画像データの作品です。透明か白だけのはっきりした感じになります。

 

オレンジ色のグラスはカラー画像のデーターを元に白黒写真のような方法で印刷したもので彫刻しました。 同じように彫った部分は白くなりますが、彫った色の違いが分かるでしょうか?

 

 

ホッペやお腹のハートマークと「我が子LOVE」の所が分かりやすいかと。 白と黒だけで作るだけでなく、このように白黒写真のように色の表現を付けて彫る事も出来ます。

 

この彫刻は写真を使っての彫刻も出来るので、グラスや盾、お皿など使って思い出の写真作品も作る事が出来ます。

 

制作時間は2個で2時間でした。といっても師匠のガラス工芸の講義と一緒にいい物を作ろうという熱意の時間で、先にデーターを送っていれば制作時間は1個作るのに20分もかからないと思います。

 

イラストデーター作成とフィルムを貼るまでが大変で後は速攻で終わります。

 

子どもに会えないお父さん、お母さん、こんな方法で子どもの為に、いつか手渡せる誕生プレゼントを作る事が出来ますよ。 渡せない事を嘆かずに、いつか喜んで受け取ってもらえよう想いを残してはいかがでしょうか。

 

ガラス制作工房ANONの加藤師匠は優しく最高にいい方です。いろんな事を相談すると断らずやってくれます。データー等に全くの無知でも大丈夫です。

 

制作にあたり基本自分でやらせてくれます。だからこそ親の愛を込めて作る事が出来ます。 

 

ちなみに彫刻素材はガラスだけでなく、金属、瀬戸物、プラスチック、石など何でも彫刻出来ます。 まさに「メイドイン自分の作品」を我が子へ渡せます。

 

もちろん、子どもに会えてる方や大好きな人へもいいし、自分用としてもいいですよ。 ご興味ある方も是非どうぞ!

 

カラス制作工房ANON(彫刻)と東京ガラス工芸研究所(吹きガラス体験)は、同じ京浜急行の雑色駅から徒歩5分位です。(方向違うけど)

 

<あとがき>

 

9月12日は鷹寛の11歳の誕生日でしたが今年も会う事も渡す事も出来ませんでした。

 

ただ今年は、このグラスを抱きしめると何だか嬉しくて、必ず想いを将来伝えるんだという気持ちになれました。 

 

喜んでくれるかな?とか、どんな顔で受け取るんだろうか?なんて思うと、いつものような泣いて過ごすだけの誕生日とは少しだけ違いました。

 

このグラス使った感じですが、大き目に作ったので青は缶ビール1本、オレンジ色は400cc以上入ります。酒を入れて飲むには最高です。

 

ガラスが厚いせいか、口にあたった感触がすごく柔らかくていいです。

 

子どもが成人した時にはこれでお酒を飲んで父の想いと涙を感じて欲しいです。

 

そしていつかこのブログを見る鷹寛へ、

 

この2つのグラスは不格好だけど、会えない父親の意図をくんで親切な人が多く関わって作ってくれた最高の贈り物です。

 

 

渡せるまで時々パパが使うけどねw

そして11歳のお誕生日おめでとう!

 

 

会えなくても、誰にも負けない位いつも大切に思っています。

                                

                                パパより