たぬきの遺言 | のら犬なのら(笑) U^ェ^U

たぬきの遺言

たぬきのおじいさんが死にそうです。
家族みんなが寝床のまわりに集まりました。
さあ、遺言です。

「ポンボコポン。人を呪わば穴ふたつ」

お父さんたぬきから、
遺言をみんなで繰り返すようにうながされて、
子どもたちも言いました。

「ポンボコポン。人を呪わば穴ふたつ」

「ちょっと待て、今のはもといだ」

「ちょっと待て、今のはもといだ」

そしたらお父さんたぬきが
「今のは繰り返さなくていい!」
とイライラしながら言いました。


「ちょっと果報は寝て待てだ」

・・・・・

お父さんたぬきは
「今のは繰り返すんだ!」
と、イライラを通り越して、怒って言いました。

子どものたぬきたちは、あわてて繰り返しました。

「ちょっと果報は寝て待てだ」

ところが、末っ子のたぬきが、大きな声で

「ちょっと、まほうは、ねてまてだ」

と言ってしまいました。

お父さんたぬきは
「魔法じゃない果報だ!!」
とものすごくキレて言いました。
おじいさんの大切な遺言の場だからイライラする気持ちもわかります。それはわかります。でも、まだちっちゃい子どもに果報という言葉も意味も、理解できないのではないでしょうか。

するとおじいさんたぬきは
「いや、今のでやっとわかった。
 この子の言うとおりだ」
と言いました。


「ちょっと魔法は、寝て待とう」

そう言って少しほほ笑みながら、
すてきな長い眠りに就いていきました。