いよいよアメリカ最後の日。
帰国は、一番安いチケットだった、台北経由成田行きのチャイナ・エアラインにした。サンフランシスコを深夜出発し、翌日のお昼に成田に着く。チャイナ物が好きな私は、ちょっとどんな風なのか楽しみでもあった。
夜9時に、Mちゃんが空港までピックアップしてくれることになっていた。それまで、何もない部屋で、最後のぞうきんがけなんかをして過ごした。
Norahはいよいよ、不穏な空気を読んでいた。
キッチンで雑巾を絞っていると、いつものように水をせがむでもなく、ガスレンジの上にお座りして、ジッとうつむいている。
「どうした?ノーラ?」
Norahは黙りこくって動かない。
普段、カメラを向けると、グルグル言って私の手に擦り寄ったり、足に擦り寄ったりして、なかなか写真を撮らせてくれないのに、この時ばかりは、デジカメでパシャパシャ撮っても、ただ、ジィーっとしてるのだ。もう、Norahは悟ったのだろう。私が去ってしまうこと…。
のぞきこんで写真を撮っても、じっとしてるノーラ
もう、私はこの写真を見るたびに泣けてくる…うう…