日本へは、まずは両親の家に帰ることにした。となると、狭い団地住まいで、私のものを置く場所などない。


売れなかったものは、ご近所さんにあげたり、友達に押し付けたり、洋服や靴はグッドウィルにドーネーションしたり、思い切って捨てたりして、それでも捨てられないものだってある。


引越し荷物は、海外引越し便を利用することにした。重さで金額が変わってくる。かと言って、一体、どれくらいかかるのか、検討がつかなかった。


航空便で送るけど、課税されないようにするためには、箱に入った内容物をことこまかに書き出さないとならなかった。箱につめながら、ノートにひとつひとつ書き出していく。何番の箱に何が入っているか。


やりはじめると、途方にくれてきて、一旦、業者に電話してみた。「どれくらい細かく書かなくちゃならないんですか?」


たとえばシャツなら、ハーフスリーブか、ロングスリーブか書かなくちゃならない。ペンなら何本あるか、数も書く。どうやら、やっぱり事細かに書くしかなかった。


根がクソがつくほど真面目な私は、たとえばプラスチックケースにピアスを入れたとして、ピアスをひとつひとつペーパーナプキンで包みつつ「ピアス プラスチックケース入り 何個」とか、陶器の小さな招き猫にしても「オーナメント ボックス入り 何個」とか、一個一個包みつつ書き出す作業をただひたすら続けた。


日本からアメリカに荷物を送ったときは、詰め方を知らずに散々な思いをした。たとえばガラス瓶に入ったドクターマーチンのカラーインクなんてのは、ビンが割れて周りに色がにじんでひどかったし、ダンボール箱だって、角がへんまがっていた。荷物なんてのは、放り投げるものだから、そんなものだと後から知ったけど。


そんなこともあったから、eBayで売ったものを搬送した後のコメントで多かったのは、迅速さと丁寧なパッキングのことだった。パッキング命!たとえどんな格好で放り投げられようとも型崩れしないように、ぷちぷちとピーナツを駆使して、結局、引越し荷物は16箱にもなってしまった。


後日、請求額を知らせてもらったが、1000ドルくらいだった。こんなもん?